ZenFoneシリーズの新しいスマートフォン5機種が発表された。中でも注目したいのが、フラグシップに位置付けられる「ZenFone 4」と「ZenFone 4 Pro」だ。2機種の違いは、アウトカメラの2つ目のカメラが、4は広角、4 Proは望遠になっていること。他はディスプレイ、プロセッサ、メモリ、バッテリー容量などが向上し、4 Proが最上位にふさわしいスペックを備えている。
ZenFone 4シリーズの日本導入はまだ明らかになっていないが、ZenFone 5以降、多くのモデルが日本で発売されたことを考えると、ZenFone 4シリーズのいずれかの機種は、日本でも投入されるはずだ。ちなみに、グローバルの製品サイトでは、ZenFone 4 Proのみ、日本の周波数帯が掲載されている。
2016年に発売された「ZenFone 3」シリーズと比べて、2機種はどんな進化を果たしているのだろうか。ZenFone 4は「ZenFone 3」と、ZenFone 4 Proは「ZenFone 3 Deluxe」と比べながら見ていきたい。スペックは基本的にグローバル版を参照した。また、本文ではZenFone 3は5.2型のZE520KL、ZenFone 3 Deluxeは5.5型のZS550KLをベースに比較する。
角や側面が丸みを帯びており、両面にガラス、側面のフレームに金属を採用するデザインは4機種とも共通している。大きな変化が指紋センサーの位置。ZenFone 3/3 Deluxeでは背面にあったセンサーが、ZenFone 4/4 Proではホームキーに搭載されている。
機能面で大きいのがカメラの進化だ。ZenFone 3/3 Deluxeは正面と背面どちらもシングルカメラだが、ZenFone 4/4 Proは背面にデュアルカメラを搭載している。
セカンドカメラとして、ZenFone 4はワイドアングルで撮影できる広角カメラ、ZenFone 4 Proは光学2倍相当のズームができる望遠カメラを搭載しており、撮影シーンの幅が広がる。また通常カメラの性能も向上している。画素数はZenFone 3/3 Deluxeの1600万からZenFone 4/4 Proは1200万に下がったが、レンズのF値は2.0から1.8(ZenFone 4)、1.7(ZenFone 4 Pro)に、センサーの画素ピッチ(画素間の距離)は1.12μmから1.4μmへと大きくなっている。
同じセンサーサイズで画素数が大きくなるほど1画素あたりの面積が小さくなり、光を取り込む面積も減ってしまい、逆に画質が悪くなることがある。しかしZenFone 4/4 Proでは1/2.55という従来よりも大きなCMOSセンサーを積んで画素数を下げたことで、より広い画素ピッチを確保できたと考えられる。これによって受光面積が増え、より明るく撮影できることが期待される。
ZenFone 4のプロセッサはZenFone 3のSnapdragon 625からSnapdragon 660または630にバージョンアップした。Snapdragon 630は625の後継チップで、CPUは10%、GPUは30%性能が向上しているという。CPUは625と同じARMの「Cortex A53」(8コア)、GPUは「Adreno 508」を採用。625のGPUは「Adreno 506」だった。
Snapdragon 660のCPUはQualcommの「Kryo 260」(8コア)、GPUは「Adreno 512」を採用しており、Snapdragon 653との比較でCPUは20%、GPUは30%性能が向上しているという。
どちらも理論値で下り最大600Mbpsの通信に対応する。日本発売のモデルがどちらのチップを採用するかは分からないが、いずれのチップでも、ZenFone 3から大きな性能アップが期待できる。
ZenFone 4 Proは、現行のスマートフォンでは最上位のプロセッサであるQualcommのSnapdragon 835を採用。CPUは「Kryo 280」、GPUは「Adreno 540」、通信速度は下り最大1Gbpsをサポートする。835は、ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)が搭載するSnapdragon 820シリーズよりもサイズが小さく、省電力化も図られている。
ZenFone 4のメインメモリは、ZenFone 3は3GBか4GBから4GBか6GBに拡張された。内蔵ストレージは64GBで変わらず(日本のZenFone 3は32GB)。ZenFone 4 Proのメインメモリは6GB、内蔵ストレージは64GBか128GBで、ZenFone 3 Deluxeの4GB、64GBから拡張されている。
ZenFone 4のバッテリー容量はZenFone 3の2650mAhから3300mAhに拡張され、ZenFone 4 Proも3600mAhという大容量のバッテリーを積んでいる。2機種ともスタミナは十分といえるだろう。
ZenFone 4のディスプレイはZenFone 3の5.2型から5.5型へと大きくなったが、ZenFone 4はベゼルの幅を2.1mmに抑えていることもあり、本体幅はZenFone 4の方が約1.2mm大きくなったのみ(73.98mm→75.2mm)。ちなみにZenFone 3にも5.5型のモデル(ZE552KL)があるが、幅は77.38mmで、ZenFone 4より約2mm太い。ZenFone 4 Proの幅も75.6mmでZenFone 4とほぼ同じ。
機種名 | ZenFone 4(ZE554KL) | ZenFone 3(ZE520KL) | ZenFone 3(ZE552KL) |
---|---|---|---|
OS | Android 7.0 | Android 6.0(アップデートで7.0に) | Android 6.0(アップデートで7.0に) |
プロセッサ | Qualcomm Snapdragon 660/2.2GHz 8コア Snapdragon 630/8コア |
Qualcomm Snapdragon 625/2GHz 8コア | Qualcomm Snapdragon 625/2GHz 8コア |
メインメモリ | 4GB/6GB | 3GB/4GB | 3GB/4GB |
ストレージ | 64GB | 64GB | 64GB |
外部メモリ | microSDXC(最大2TB) | microSDXC(最大2TB) | microSDXC(最大2TB) |
ディスプレイ | 約5.5型フルHD TFT液晶 | 約5.2型フルHD TFT液晶 | 約5.5型フルHD TFT液晶 |
解像度 | 1080×1920ピクセル | 1080×1920ピクセル | 1080×1920ピクセル |
バッテリー容量 | 3300mAh | 2650mAh | 3000mAh |
アウトカメラ(通常) | 有効約1200万画素CMOS F1.8 画素ピッチ1.4μm デュアルピクセルセンサー |
有効約1600万画素CMOS F2.0 画素ピッチ1.12μm |
有効約1600万画素CMOS F2.0 画素ピッチ1.12μm |
アウトカメラ(広角) | 有効約800万画素 F2.2 画素ピッチ1.12μm 画角120度 |
− | − |
インカメラ | 有効約800万画素CMOS F2.0 画素ピッチ1.12μm |
有効約800万画素CMOS F2.0 画素ピッチ非公表 |
有効約800万画素CMOS F2.0 画素ピッチ非公表 |
ボディーカラー | Midnigt black、Moonlight white、Mint green | Moonlight White、Shimmer Gold、Aqua Blue、Sapphire Black | Moonlight White、Shimmer Gold、 Sparkling Pink、Sapphire Black |
サイズ | 約75.2(幅)×155.4(高さ)×7.5(奥行き)mm | 73.98(幅)×146.87(高さ)×7.69(奥行き)mm | 77.38(幅)×152.59(高さ)×7.69(奥行き)mm |
重量 | 約165g | 約144g | 約155g |
機種名 | ZenFone 4 Pro(ZS551KL) | ZenFone 3 Deluxe(ZS550KL) | ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL) |
---|---|---|---|
OS | Android 7.1 | Android 6.0(アップデートで7.0に) | Android 6.0(アップデートで7.0に) |
プロセッサ | Qualcomm Snapdragon 835/2.45GHz×4コア+1.8GHz×4コア) | Qualcomm Snapdragon 625/2GHz 8コア | Qualcomm Snapdragon 821/2.4GHz 4コア Snapdragon 820/2.15GHz 4コア |
メインメモリ | 6GB | 4GB | 4GB/6GB |
ストレージ | 64GB/128GB | 64GB | 32GB/64GB/256GB |
外部メモリ | microSDXC(最大2TB) | microSDXC(最大2TB) | microSDXC(最大2TB) |
ディスプレイ | 約5.5型フルHD 有機EL | 約5.5型フルHD TFT液晶 | 約5.7型フルHD 有機EL |
解像度 | 1080×1920ピクセル | 1080×1920ピクセル | 1080×1920ピクセル |
バッテリー容量 | 3600mAh | 3000mAh | 3000mAh |
アウトカメラ (通常) | 有効約1200万画素CMOS F1.7 画素ピッチ1.4μm デュアルピクセルセンサー |
有効約1600万画素CMOS F2.0 画素ピッチ1.12μm |
有効約2300万画素CMOS F2.0 画素ピッチ1.0μm |
アウトカメラ(望遠) | 有効約1600万画素CMOS F2.6 画素ピッチ1.4μm 焦点距離50mm |
− | − |
インカメラ | 有効約800万画素CMOS F1.9 画素ピッチ1.4μm |
有効約800万画素CMOS F2.0 画素ピッチ非公表 |
有効約800万画素CMOS F2.0 画素ピッチ非公表 |
ボディーカラー | Pure Black、Moonlight white | Glacier Silver、Sand Gold | Glacier Silver、Sand Gold |
サイズ | 75.6(幅)×156.9(高さ)×7.6(奥行き)mm | 76.7(幅)×151.45(高さ)×7.8(奥行き)mm | 77.4(幅)×156.4(高さ)×7.5(奥行き)mm |
重量 | 約175g | 約150g | 約172g |
まとめると、カメラはデュアルカメラによって、ZenFone 4ならワイドアングルでの撮影、ZenFone 4 Proなら画質劣化の少ない2倍ズームが可能になるほか、通常カメラの画質もアップ。プロセッサ、メモリ、スタミナも大きく向上しており、ZenFone 3/3 DeluxeからZenFone 4/4 Proに乗り換える価値は大いにあるといえる。
ただ、ZenFone 4と4 Proでカメラ機能が違うのはちょっと混乱を招きそうだし、広角・望遠カメラの両方を使いたいという声もあるはず。将来的には、通常カメラに広角・望遠カメラを加えた“トリプルカメラ”の搭載にも期待したい。
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