こうなってくると、来年のiPhone……(iPhone Xの後継ではなくiPhone 8シリーズの後継)は、iPhone Xの要素がかなり入り込んでくるのではないかと感じている。いったん「iPhoneのフォーマット」という制約を外して、操作性を練り直しているだけに、使い込むほどに従来のiPhoneよりもiPhone Xの方が楽だと感じるようになっているからだ。
ここでiPhone X世代への移行ハードルが高くない、あるいはハードルとなるポイントが見極められれば、iPhoneのX的要素の取り込みは加速するだろう。
もっとも、発売直後は爆発的に注目が集まっているiPhone Xだが、当面は傍流になるのではないか、というのが個人的な予想だ。日本はiPhoneユーザーの比率が極めて高いが、その理由はiPhoneがグローバルで見ても安価に購入できる国だったからだ。
現在は以前のようなゼロ円、あるいはそれに相当するiPhoneはなくなったものの、格安通信プランを用意するmineoやUQ mobile、Y!mobileなどは、少し前までは「iPhone SE」、直近では「iPhone 6S」シリーズを主力にシェアを伸ばしてきた。
3万円も出せばSIMロックフリーのスマートフォンが入手できる時代、iPhoneも6Sクラスならば格安で手に入る。その中でiPhone Xは64GB版が12万1824円、256GB版は14万184円(いずれもApple Storeでの税込価格)と高価で、保証サービスも込みでは15万円を超える超高級機だ。
ただ、それでもiPhone Xの新鮮さ、それに新鮮にもかかわらず高い完成度などを加味すれば、iPhone Plus系を購入していたユーザーはiPhone Xを検討すべきかもしれない。何しろ4.7型のiPhoneと同等の持ちやすさと、iPhone Plus系の大画面&カメラ機能があるのだから、最良の物を望んでいるならiPhone Xに行く方が満足度は高いと思う。
ちなみに筆者が最も気に入ったiPhone Xのよい部分は有機ELとなったディスプレイである。液晶を使ったiPhoneに比べ、色温度を自動調整する「True Tone」の動作も的確。暗部の色が安定しており、自然な映像を見せてくれる。動画を見るため……というよりも、日常的な写真の閲覧、Webの閲覧などなど、あらゆる場面で納得感のある絵を出してくれるのだ。
毎日使い、毎日見つめるディスプレイだけに、この安心感、安定感、何も考えずとも適した色温度と明るさで表示してくれる。地味な要素と言えるが、こうしたところにも心配りがされているところに、Appleのすごみを感じた。
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