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» 2017年11月08日 13時46分 公開

MVNOの深イイ話:「Apple Watch Series 3」のモバイル通信がMVNOで利用できない、根深い理由 (2/3)

[堂前清隆,ITmedia]

MVNOにはApple製品の情報がない

 さて、この記事でApple Watchのモバイル通信機能が利用できない原因を紹介するにあたり、わざわざ「筆者の推測である」とお断りを書きました。すっきりとしない表現ではありますが、ズバリ言い切ることができないのには理由があります。それは、Apple Watchを含んだApple製品について、公式な情報が入手できていないからです。

 「実際に試してみたら使えなかった」ということは事実としてお伝えできますが、「なぜ使えなかったのか」については、報道などの第三者情報をもとに「おそらくこうであろう」と推測するしかありません。

 Apple Watchと同時に発売されたiPhoneについても同様で、MVNO各社は「動作確認情報」を出していますが、これもあくまで市販のiPhoneを使って動作を確認した結果「動きました」という事実をご紹介しているに過ぎません。そして、このような動作確認にAppleは一切関与していません。

 IIJでは、iPhone本体の情報を解析するツールや、携帯電話の基地局を模擬する設備を使って、いくつかのケースについてはiPhone内部で何が起こっているかを調査し、ブログやイベントで紹介しています。しかし、Apple Watchについては今までと異なるカテゴリーの製品のため、調査の糸口も見つけられていません。


 Apple以外のSIMロックフリースマートフォンについては、開発元のメーカーや国内代理店が窓口となって情報交換が行われます。IIJでも動作確認用の端末を借用し、動作確認を行い、何か問題があればメーカーにフィードバックをしています。そのやりとりの中で回避方法の検討や、ファームウェアの修正などを行う場合もあります。

 ところが、Apple製品についてはMVNOがコンタクトできる窓口がなく、動作確認のために端末を借用することもできませんし、仮に問題が見つかったとしてもそれをフィードバックすることもできません。動作確認のための端末入手は、皆さんと同じように予約解禁日にスタッフが端末にはり付いて予約を行い、発売当日朝にApple Storeに並んで端末を受け取っています。

 ちなみに、過去にIIJの調査でiPhone(iOS)の不具合と思われる動作を見つけた際に、AppleのBug Reportサイトに投稿してみたことがあります。しばらく様子を見ていましたが、特別な応答がないままチケットはクローズされてしまいました(結局、その動作はiOSのメジャーアップデートの際に修正されたように思われます)。

 このように、MVNOにとってはApple製品の動作可否は、なかなかコメントしづらいという状況があります。

MVNOが扱うiPhoneは?

 ところで、最近一部のMVNOがiPhoneの販売を始めています。「MVNOがiPhoneを販売するなら、AppleにもMVNO向けの窓口があるのでは?」と考えた方もいらっしゃるかと思います。

 MVNOが扱っているiPhoneは「CPO品」(メーカー認定整備済品)と呼ばれるものが多いようです。CPO品はいったん市場に出たiPhoneが回収され、Appleの認定する方法で再整備を受けた後に再販売されているものです。新品とは異なりますが、Appleの製品保証があり、Apple Careに加入できるなど、一般的な中古品とも扱いが異なります。

 このCPO品、Apple認定のもと出荷はされているものの、実は日本国内向けに出荷されているわけではありません。海外の市場で販売されたCPO品のiPhoneを第三者が輸入して日本のMVNOに卸すという形を取っています。一種の並行輸入であり、Appleの管理する流通形態ではありません。

 iPhoneを扱っているMVNOだからといって、Appleとの間に取引関係があるわけではないのです。

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