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“Webにも強いプリンタ”で買い替えを促進――「PIXUS」09年モデル発表会iPhoneプリントにも対応

» 2009年09月09日 00時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

買い替え促進でマーケットシェア50%を目指す

 キヤノンは9月8日、インクジェットプリンタ「PIXUS」シリーズの新製品発表会を開催した。既報(1万円前後の複合機も用意:キヤノン、Webプリントと大画面液晶で攻める「PIXUS」プリンタ09年モデル)の通り、A4複合機「PIXUS MP」6モデル、A4プリンタ「PIXUS iP」1モデル、A3プリンタ「PIXUS iX」1モデルの合計8製品を2009年9月中旬に発売する。

発表会の登壇者。左から、キヤノンマーケティングジャパン 常務取締役 コンスーマイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏、新しいCMキャラクターの岡田将生さん、キヤノン 常務取締役 インクジェット事業本部長の清水勝一氏

 発表会では、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長の川崎正己氏が最初に登壇し、国内のインクジェットプリンタ市場について言及した。川崎氏は「インクジェットプリンタは画質や性能の向上が一巡し、製品の買い替えサイクルが徐々に長くなっているため、国内の市場規模は微減傾向にある」としながらも、「キヤノンの出荷伸び率は2009年第1〜第2四半期に100〜102%と順調で、第3〜第4四半期はWindows 7など新OSの登場を受けて、インクジェットプリンタも昨年を上回る出荷が見込める」とPIXUSシリーズの動向を語り、新製品に対する期待を示した。

 買い替えを促進させる施策としては、新しい付属ソフト「Easy-WebPrint EX」によるWebページ印刷機能の向上を挙げ、「家庭ではWebページの印刷シーンが増えているが、これまでは肝心な部分が切れてしまったり、余計な部分まで印刷されて紙を無駄にしてしまうなど、思い通りにプリントするのが意外に難しかった。今年のPIXUSは写真に加えて、Webページも意のまま思いのままに印刷できる」と、その効果を力説した。新モデル投入による買い替えの促進やプリンタ用途提案の促進で、年末商戦ではマーケットシェア50%を目指す。

国内のインクジェットプリンタ市場動向(写真=左)。プリンタ消耗品の市場動向(写真=中央)。今回から「Webプリントに強い」というキーワードを新たに打ち出す(写真=右)

発表された8モデルの新製品(写真=左)。独自の環境対策やカートリッジの回収についても引き続き力を入れていく(写真=中央)。2008年に始めたプリンタメーカー6社共同の「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」では、全国3639カ所の郵便局にインクカートリッジ回収ボックスが設置され、回収数量も増加傾向にあるという(写真=右)

iPhoneからの印刷機能を準備、SOHO向けのA3プリンタも投入

 続いてキヤノン 常務取締役 インクジェット事業本部長の清水勝一氏が登壇し、新モデルの特徴を解説した。清水氏は、PIXUSの基幹技術である高密度プリントヘッド技術「FINE」が10周年を迎え、同技術の進化がPIXUSシリーズの画質と速度の両面を支えてきたことを改めて強調。2009年の春からは、ISOが策定したプリンタ/複合機の生産性測定方法規格(ISO/IEC 24734および24735)に基づいた標準設定でのIPM(Images Per Minute:毎分出力ページ数)の表記をカタログに採用し、多ノズル搭載のモデルは標準設定での普通紙印刷も高速だとアピールした。

 ちなみに、普通紙印刷速度のカタログ表記はPPM(Pages Per Minute)が広く知られているが、これは各社独自の測定チャートを使用した最速設定時の値が多く、異なるメーカー/製品間で正確な速度比較ができないという問題がある。キヤノンが採用したISOの新しい測定方法規格が広まることで、異なるメーカーの製品間であっても、統一した基準による公平な速度比較が可能になると期待される。

FINE技術は1999年のBJ F8500を皮切りに、累計123モデルに採用されてきた(写真=左)。FINE技術により、最小1ピコリットルという微細なインク滴と、9600dpiという高解像度を実現する(写真=中央)。PIXUSのボックス型デザインは、単機能プリンタから複合機へと受け継がれてきた(写真=右)

普通紙印刷については、標準設定での印刷速度を同一条件で測定するISOの生産性規格へいち早く対応した(写真=左/中央)。ISO/IEC 24734に基づく新モデルの普通紙印刷速度(写真=右)

 新モデルの強化点については、複合機上位モデルにおける液晶モニタの大型化、無線LAN対応モデルの拡充、無線LAN搭載モデルのiPhone印刷サポート、USBフラッシュメモリからの印刷サポート、自動写真補正機能の進化、Web印刷ソフトのEasy-WebPrint EXなどを列挙した。さらに新タイプの製品として、普通紙印刷を高品位に仕上げるクリアインク搭載のA3ノビ対応プリンタ「iX7000」を投入し、SOHO市場にも注力すると述べた。

複合機の最上位モデル「MP990」は従来機「MP980」に比べて、液晶モニタのサイズを3.5型から3.8型に大型化した(写真=左)。複合機の売れ筋モデル「MP640」も従来機「MP630」に比べて、液晶モニタのサイズを2.5型から3.0型に大きくした(写真=中央)。複合機の上位3モデルは無線LANをサポートし、WPS、WCN、AOSSといった簡単セットアップ機能に対応する(写真=右)

iPhone用の印刷ソフト「Easy-PhotoPrint for iPhone」を使えば、iPhoneやiPod touchに保存されている画像を無線LAN経由でPIXUSの新複合機から印刷できる(写真=左)。同ソフトはApp Storeから10月以降にダウンロードできるようになる予定だ。現時点での対応製品は、iPhone 3G/3GS、iPod touthとされている。USBフラッシュメモリからの印刷にも対応した(写真=中央)。写真の自動補正機能は「自動写真補正II」となり、写真の領域ごとに適正に明るさを補正する「エリア別明るさ補正」が追加された(写真=右)

32ビット版IE7/8用のプラグインソフト「Easy-WebPrint EX」を利用することで、複数ページにまたがるWebサイトも必要な部分だけを切り出してレイアウト印刷できる(写真=左/中央)。写真印刷用の染料インクと、文字印刷用の顔料インクを組み合わせたインクシステムは健在だ(写真=右)

SOHOユーザー向けのA3ノビ対応プリンタ「iX7000」は、クリアインクにより普通紙で高品位なカラー印刷と耐水性を両立する「PgR」(Pigment Reaction)技術を採用(写真=左)。後部トレイ、前面カセット、手差しトレイによる3Way給紙、自動両面印刷に対応する(写真=中央)。購入後はポスターやビジネス文書に利用できるiX7000専用のテンプレートをダウンロードできる(写真=右)

MP640は5年前の製品(MP770)と比べると、使用時のCO2を95%削減したほか、自動両面印刷機能など、省エネ・省資源につながる技術を搭載する(写真=左)。色覚の個人差を問わず、見やすいデザインに配慮しており、新モデルはすべてカラーユニバーサルデザインを取得している(写真=右)。コンシューマー向けインクジェット複合機では業界初の認証取得とのこと

PIXUSの“顔”は三姉妹から岡田将生さんへ

 製品のプロモーション展開については、キヤノンマーケティングジャパン 常務取締役 コンスーマイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏が説明。「Webページの印刷は、デジタルカメラの写真出力、年賀状に次ぐプリンタの用途だが、うまくいかないとの不満の声が多い」とのアンケート結果を提示し、改めてWebページ印刷機能を強化した新モデルで買い替え促進を図っていくことを説明した。

 新モデルのCMキャラクターは、山田優さん、蒼井優さん、夏帆さんによる“橘家の三姉妹”に代わり、俳優の岡田将生さんを起用。9月17日から全国でオンエアされるテレビCMでは、岡田さんがキヤノンマーケティングの新入社員にふんし、工夫しながら手作りのツールを使って接客することで成長していくというストーリー展開により、Web印刷などの機能を分かりやすく訴求するという。

「新人の営業担当として、皆さんに新PIXUSの便利さを知ってほしい」と岡田さん(写真=左)。家庭用プリンタのCMキャラクターは女性タレントが主流で、男性タレント1人での起用は異例といえる。両手に持って広げているのは、CMに登場する手作りの販促ツール「ピクサス説明キット」(写真=中央/右)。岡田さんの左に立つのはCMで共演している岩田さゆりさんで、「CM撮影は岡田さんが本当の新入社員みたいで、楽しかった」とコメント。Canonロゴが入った共通のユニフォームは、店頭などでキヤノンのスタッフが実際に着用しているもの。そのほか、CMにはエキストラとして100人近くのキヤノンマーケティング社員が登場する

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