アルミユニボディの新型「Mac mini」を試すこれが夏ボの使い道?(1/2 ページ)

» 2010年06月24日 12時30分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]

アルミユニボディを採用した新型Mac mini

Mac mini

 アップルの小型デスクトップPC「Mac mini」は、ノートから一体型まで幅広いラインアップをそろえるMacの中でも、最も安価なモデルだ。キーボードやマウスは付属しないが、日常用途には十分な性能と豊富なインタフェースを搭載し、購入してからすぐにMacライフを堪能できるアプリケーション群もプリインストールされている。それでいて価格は6万8800円(Apple Store)と、Windows機でメインストリームとなっている価格帯に比べれば数段安い。MacBookと並んで、「これからMacを始めよう」と考えているユーザーにはうってつけの製品といえるだろう。

 そのMac miniだが、アップルが6月15日に発表した新モデルは、約5年半に渡って踏襲してきた初代機のボディデザインをついに刷新し、ノート型Macでおなじみのユニボディデザインへと生まれ変わった。

 1枚のアルミから削り出したシャーシは、一部(背面の端子と底面パネル)を除き完全に継ぎ目がなく、表面には鈍い光を放つ酸化皮膜処理が施されている。その金属的な質感をたたえた外装は、ある部分で完全に直角のエッジを持ち、ある部分では緩やかにわん曲するシルエットを描いており、見た目はこれ以上ないくらいシンプルなデザインでありながら、非常に高度な成形技術を思わせる。アップルを象徴する天面に刻まれたリンゴのロゴも、ノート型Macのような白抜き(これは液晶のバックライトを透過させて起動中に光る意味合いもあるが)ではなく、黒色に近い鏡面仕上げとなっており、メタルの質感にアクセントを添えている。

1枚のアルミから削り出した継ぎ目のないユニボディを採用。酸化皮膜処理が施された外装は光の加減でグラデーションを描く。シンプルさを追求するために最先端の成形技術を用いたこのデザインはいかにもアップルらしい。底面はアルミが円形にくりぬかれ樹脂製のパネルがはめこまれている

電源を内蔵し、メンテナンス性も向上

 もちろん、注目ポイントは外観の変化だけではない。まず驚かされるのが、この小さなボディに電源を内蔵した点だ。旧Mac miniでは、ボディが小さい半面、かなり大きなACアダプタを使う必要があったが、新型Mac miniでは電源ケーブルを背面に接続するだけでいい。これまで机上にACアダプタを置いていたユーザーならその分スペースを省けるし、何より見た目が非常にすっきりとする。

 また、ボディも旧Mac miniに比べ20%ほど小型化された。特に本体の高さは36ミリまで薄型化されており、これはデスクトップリプレース向けの大型ノートPCとそれほど変わらない厚さだ。ただし、その分フットプリントは165ミリ正方から197ミリ正方に拡大してしまっている。厚みがないので机上に置いても圧迫感はないのだが、各種インタフェースが背面にレイアウトされているため壁際にぴたりとつけるわけにもいかず、新設されたSDメモリーカードスロットのことを考えると手が届きやすい場所に置いておきたいこともあり、数字以上にスペースを占める印象を受けた。電源の内蔵や薄型化などのメリットもあるが、(特に旧Mac miniユーザーにとっては)設置面積でのデメリットは無視できないかもしれない。

本体が薄型化された一方で設置面積は大きくなった。旧Mac mini(写真は初代)と並べるとその差がよく分かる。ただし、旧Mac miniに付属するACアダプタのサイズは、64.5(幅)×164(奥行き)×34.5(高さ)ミリとかなり大きいため、総合的な設置面積ではほとんど変わらない

 ボディデザインを変更したことによる恩恵ではもう1つ、メンテナンス性の向上が挙げられる。新型Mac miniの底面には円形の樹脂製パネルがはめ込まれ、半時計回りに少しスライドさせるだけで簡単に取り外すことができ、筐体内部のメモリスロットにツールなしでアクセスできる。標準では2基のメモリスロットに1Gバイトモジュールが1枚ずつ装着されているため、メモリを増設する際は出荷時のモジュールが無駄になるものの、旧Mac miniに比べてメモリの換装が格段に容易になったのはうれしい。また、メモリ容量は最大8Gバイトまで拡張できるので、高解像度のデジタル写真を頻繁に編集する人は積極的に増設したいところだ。なお、HDDの換装については、各部のネジを外して、最終的にマザーボードを背面側から引き抜かなければならないため、初心者には少しハードルが高い。

道具を使わずに底面からメモリスロットへアクセスできるようになったのもポイント。底面パネルは、Mac mini本体を両手で持ち、2つの丸いくぼみに親指を入れて、印のある位置まで反時計回りにスライドさせるだけで取り外せる。これまでのようにもんじゃ焼き用のヘラを常備しておく必要がなくなった

SDメモリーカードスロットとHDMI出力を新設

 インタフェースもさらに充実した。これまで同様、各種端子はすべて背面に集めたレイアウトで、新型モデルでは4基のUSB 2.0とFireWire 800、Mini DisplayPort、光デジタル音声入出力、ギガビットLANに、HDMI出力とSDメモリーカードスロットが新たに加わっている。HDMI出力はマルチチャンネルオーディオ出力をサポートしており、Mac miniをリビングに設置した大画面テレビのとなりに置いて、動画再生用のコンパクトなAVマシンとする用途にも最適だ。仮にmini-ITXで小型PCをイチから自作した場合、GeForce 9400M GベースのIONマザーで組んでも、OS(Windows)の価格を含めるとMac miniと大差ない金額になってしまう。流用できるパーツが多かったり、よほど自作が好きな人でない限りは、デザインも含めてMac miniに分がある。静音性の面でもMac miniは非常に優秀で、深夜の静かな環境でもファンノイズが気になることはまずないはずだ。

写真は左から、本体前面、背面、左側面。高さは約36ミリと、かなり薄くなった

 また、付属のHDMI−DVI変換アダプタとMini DisplayPortを併用することでデュアルディスプレイ環境も構築できる。大画面のワイド液晶ディスプレイを2枚置いても、小さなMac miniならスペースに余裕ができやすく、仕事の資料が積み重なっているオフィスの机を有効活用できるかもしれない。もちろん、広いデスクトップはそのまま作業効率の向上にもつながる。なお、Mini DisplayPort出力なら2560×1600ドット表示に対応するが、HDMI出力(付属のHDMI−DVI)だと1920×1200ドットまでしかサポートされないので注意が必要だ。

 SDメモリーカードスロットが新設されたことで、デジカメやHDビデオカメラとの連携がよりスマートにできるようになったのもポイント。ただ、デザインを優先させた結果なのか(あるいは内部レイアウトの制限か)、スロットが背面にあるためやや使いづらいと感じた。Mac mini自体が軽く、スロットが背面左端にあるので、本体を少し動かせばアクセスはできるものの、ディスプレイケーブルやLANケーブルがつながっているとやはり少し抵抗がある。また、差し込んだ状態でもカードがはみ出る構造のため、音声関連のケーブルと干渉しやすいのも気になった(もっともこのあたりの話は、スロットが前面にあったら「デザインを優先させて背面にするべき」という声も出ただろうが)。なお、旧Mac mini同様に内蔵スピーカーもあるが、さすがに音は貧弱で、ボリュームを上げるとボディが“びびる”。ビジネス用途以外ではヘッドフォンやスピーカーが必須だろう。

新型Mac miniではHDMI出力が搭載された。標準でHDMI−DVI変換ケーブルが付属する(写真=左)。SDメモリーカードスロットは(前方から見て)背面左端に並ぶ。ちなみにSDメモリーカードを挿した状態で7ミリほど出っ張る(写真=右)

 以上、アルミユニボディに生まれ変わった新型Mac miniの特徴を見てきた。次ページでは各種ベンチマークテストでシステム性能を測定していこう。

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