冒頭でも触れたが、一般的なNetbookに比べて高性能・高機能な基本スペックを搭載するのも大きな特徴だ。ジャストA4サイズで約1.5キロというボディのEee PC VX6がNetbookの範ちゅうに入るかどうかは微妙なところだが、これまでのEee PCシリーズの枠を超えるハイパフォーマンスを実現しており、こうした面からもランボルギーニのブランドイメージを再現しているといえるだろう。
CPUにはデュアルコアのAtomを採用している。ただし、モバイル向けとして発表されているAtom N550(1.5GHz、2次キャッシュ512Kバイト×2)ではなく、低価格デスクトップ向けのAtom D525(1.8GHz、2次キャッシュ512Kバイト×2)を採用している点がユニークだ。
Atom D525とAtom N550の主な違いは下表にまとめてみた。Atom D525はTDP(熱設計電力)が13ワットと高いため、小型軽量のボディでは放熱がしにくく、バッテリー駆動時間は不利だが、CPUコア/GPUコアの動作クロックや最大メモリ容量などパフォーマンス面ではメリットが大きい。また、1000個ロット時の出荷価格もAtom D525のほうが低く、価格を抑えることにも貢献している。
Atom D525/N550の違い | ||
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モデル | Atom D525 | Atom N550 |
動作クロック | 1.8GHz | 1.5GHz |
コア数/スレッド数 | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド |
2次キャッシュ | 512Kバイト×2 | 512Kバイト×2 |
対応メモリ | DDR3-800、DDR2-800/667 | DDR3-667 |
最大メモリ | 4Gバイト | 2Gバイト |
GPUコアクロック | 400MHz | 200MHz |
TDP | 13ワット | 8.5ワット |
1000個ロット時の価格(米ドル) | 63ドル | 86ドル |
Atom D525とAtom N550の主なスペック比較。動画クロックとTDP以外にも最大メモリ容量などさまざま違いがある |
CPUにはグラフィックスコアのIntel GMA 3150を内蔵するが、外部GPUとしてより高性能なNVIDIA ION 2を装備している点にも注目したい。NVIDIA Optimusテクノロジーによって、利用するアプリケーションごとにGPUがシームレスに切り替わる仕組みだ。
例えば、3Dゲームなど3D描画を行うアプリケーションやHD動画再生支援機能のPure Videoに対応したアプリケーション、GPGPU技術のCUDAに対応したアプリケーションなどの場合には自動的にION 2が使われ、それ以外のアプリケーションではIntel GMA 3150が使われる。この判断はNVIDIAのグラフィックスドライバが行うが、NVIDIAコントロールパネルからカスタマイズすることも可能だ。
ION 2はローエンドのGPUであるため、NVIDIA製GPUとしては高性能とはいえないが、それでもIntel GMA 3150と比べれば3D描画性能、動画再生能力ともにはるかに上であり、CUDA対応ソフトであれば、動画のエンコードも実用レベルの速度で行なえる。
ちょっとした息抜きに楽しめるようなカジュアルゲームのプレイや、AVCHDムービー、YouTubeなどの動画再生がAtom Nシリーズを搭載した一般のNetbookよりも格段に快適に楽しめるのは、大きなアドバンテージだろう。
メモリはPC3-6400に対応しており、標準搭載のメモリ容量は2Gバイト(2Gバイト×1)と控えめだ。ただし、SO-DIMMスロットは2基用意されており、1基は空いている。底面のネジ止めされたカバーを開けるだけで、空きのSO-DIMMスロットにアクセスでき、ここに2Gバイトのモジュールを装着して最大4Gバイトまで増設が可能だ。
メモリの増設や交換で生じた問題についてはメーカーのサポートの対象外になるが、ユーザーによる増設は比較的簡単に行える。なお、工場出荷時の状態にメモリを戻せば、メーカーの修理は受けられる。
データストレージには2.5インチのSerial ATA HDDを採用しており、容量は320Gバイトを搭載している。ほかのEee PCシリーズと同様、光学ドライブは内蔵しない。
本体装備の端子類も通常のNetbookより豪華な内容だ。USBポートは右側面に2基のUSB 3.0ポート、左側面にも1基のUSB 2.0ポートを備え、合計3基を備える。また、左側面の手前にはSDメモリーカードの最新規格SDXCにも対応するSDメモリーカードスロットを装備(ダミーカード装着済み)。ディスプレイ出力はアナログRGBに加えて、HDMIも利用可能だ。液晶フレームの上部には130万画素Webカメラも内蔵している。
USB 3.0では、従来USB 2.0で規定されていたハイスピードモード(480Mbps)に加えて、新たにその10倍以上(5Gbps)の転送速度を実現したスーパースピードモードを用意しており、同じくUSB 3.0(スーパースピードモード)に対応した外付けHDDなどとのデータ転送が高速に行なえる。広く普及しているUSB 1.1/2.0の下位互換性と高速転送を両立しているため、今後のさらなる普及が期待されている。評価機のデバイスマネージャを見ると、USB 3.0コントローラにはNECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)製が採用されていた。
通信機能は、有線LANが100BASE-T対応にとどまるが、IEEE802.11b/g/n対応の無線LANのほか、Bluetooth 3.0+HSにも対応する。Bluetooth 3.0+HSは、無線LANの通信方式を取り入れることで最大24Mbpsの高速データ転送を実現していることが特徴だ。
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