勝てるのか日本! 「MOA 2011」APAC決勝!!赤道直下でガンガン冷せ(3/5 ページ)

» 2011年07月08日 16時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

SuperPI 32M、日本苦戦!

 2時間半のセッティングタイムが終了して、ついにSuperPI 32Mが始まった。試走のSuper PI 8Mは1分十数秒で終了するが、32Mになると6分を超えて走ることになる。その間に「一番走る温度」を維持しなくてはならない。これは、温度計の値を見つつ、液体窒素の注水量と温度下降を食い止めるバーナーの点火タイミングと加熱時間を、すべて“経験の勘”で制御しなければならない。

 開始15分、フィリピンチームが6分41秒547で記録をアップした。各チームの記録は公式記録員に申告し、記録員がスクリーンショットの内容を確認した上で、“手書き”でシートに記入し、そのシートを競技本部に提出する。競技本部では、シートに書かれた値を集計用PCに入力し、その結果が会場の大スクリーンに表示される。この過程を通らないと公式記録として認定されない。

SuperPI 32Mが走り始めた。ベースクロック107MHzで動く“当たり”だけに期待がかかる(写真=左)。記録はMSIの公式記録員に申告してシートに書き写す。このシートを競技本部に渡して受理されると公式記録となる(写真=中央)。会場に設置された大スクリーンに順位と記録がリアルタイムで表示される。トップチームはメンバーの顔画像付きで紹介する(写真=右)

 フィリピンに続いて、マレーシアが記録を申請、6分31秒202でトップに立つ。残り時間1時間50分でTeam “KATANA” Japanも6分33秒734で最初の記録を申請した。日本予選のトップ記録はCAL930氏の6分29秒671。Team “KATANA” Japanの上にいるのはマレーシアの6分30秒531と台湾の6分31秒186で、まだまだ余裕がある。

 しかし、この時点で韓国が6分28秒906を出してトップに出た。Team “KATANA” Japanもチューニングを進めるが、システムが起動しなくなってきた。どこに原因があるのか分からない。メモリタイミングの設定を調整し始める。このとき、マレーシアと台湾が記録を更新してそれぞれ29秒台に突入、さらに、中国が6分28秒485を出してトップを奪った。残り1時間34分でTeam “KATANA” Japanの上を行くチームがすべて29秒台に達したことになる。

 Team “KATANA” Japanは、駆動電圧を下げることでシステムの起動に成功し、SuperPI 32Mを再び走らせることができた。いったん走れば、当たりのいいCPUだけに期待がかかる。まず、6分31秒015で記録を縮め、続いて6分29秒297と29秒台に到達したが、そのとき、マレーシアは6分26秒32、そしてタイが6分26秒562と、トップ争いは26秒台の世界に突入していた。5位までが29秒を切っていてTeam “KATANA” Japanは6位。この時点で残り時間は23分しか残っていない。セッティングと実行時間の6分半を考えると、あと1〜2回しか走れない。Team “KATANA” Japanはセッティングを慎重に定めてシステムを起動するがSuperPI 32Mを走らせることができず。結局SuperPI 32Mは6位という結果に終わった。

最初の記録でTeam “KATANA” Japanは4位に食い込む(写真=左)。しかし、その後はスコアが伸びない。ほかのチームに抜かされ苦悶するTeam “KATANA” Japan(写真=中央)。電圧設定を下げて再トライし、6分29秒台までスコアを伸ばしたものの、SuperPI 32MでTeam “KATANA” Japanは6位にとどまった(写真=右)

 決勝前日、CAL930氏とGyrock氏は日本のベンチマークテストレースの現状について、「日本のオーバークロッカーはSuperPIに長年集中して取り組んできたので、CPUベンチマークテストの実力はかなり高いレベルにある。しかし、3DMarkをはじめとするGPUベンチマークテストは、ようやく始まったといえる段階だ。現在、世界のベンチマークテストレースはGPUを重視するようになっている。そのため、日本のオーバークロッカーは世界の大会で苦戦している」と語っていた。MOA 2011も配点はSuperPI 32Mが4割で3DMark11は6割というウェイトだ。得意とするSuperPI 32Mで好成績を残し、3DMark11で迫るライバルから逃げ切りたいところだったが、果たしてどうなるだろうか。

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