Windows 8世代のハイブリッド型モバイルPCはどう選ぶ?各社の自信作がそろい踏み(1/4 ページ)

» 2012年11月08日 14時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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Windows 8世代ではモバイルPCの形が大きく変化

 2012年10月26日にWindows 8の一般販売が始まった。同日から発売されたPCメーカー各社の秋冬モデルは、ほぼすべてがWindows 8を搭載するが、既存のデスクトップUIと新しく追加されたタッチ向けUIをどちらも快適に利用したいならば、タッチ操作を考慮していない従来型のデスクトップPCやノートPCでは対応が不十分といえる。

 今回はOSがWindows 8に世代交代したからこそ、メーカー各社がこぞって製品を投入してきた、タッチ操作とキーボード入力の両方に注力した「ハイブリッド型」(昔ながらの言い方では「コンバーチブル型」)のモバイルPCをまとめてみた。これらは状況に応じて、タブレットとノートPCの2つのスタイルを切り替えて利用できるため、2つのUIが混在するWindows 8をフル活用したいユーザーにうってつけだ。

 現在販売中あるいは発表済みのハイブリッド型モバイルPCは、メーカーによって呼び方はいろいろだが、変形機構の違いによって以下の3つに大別できる。

  • 液晶ディスプレイスライド型
  • 液晶ディスプレイ回転型
  • キーボード着脱型
「液晶ディスプレイスライド型」を採用したソニーの「VAIO Duo 11」(写真=左)。「液晶ディスプレイ回転型」を採用したパナソニックの「Let'snote AX2」。「キーボード着脱型」を採用した日本ヒューレット・パッカードの「HP ENVY x2」
ハイブリッド型モバイルPCのカテゴリー
カテゴリー 液晶ディスプレイスライド型 液晶ディスプレイ回転型 キーボード着脱型
スタイルの切り替え方法 タブレットスタイルの状態から液晶ディスプレイをスライドさせることで、キーボードが現れてノートPCスタイルに変化 ノートPCスタイルの状態から液晶ディスプレイを回転させることで、タブレットスタイルに変化 タブレットスタイルの状態からキーボードをドッキングすることで、ノートPCスタイルに変化
特徴 タッチとキーボードの併用を想定した新しいスタイル(キーボードは一体型) 液晶の360度回転や独自の回転機構を採用(キーボードは一体型) キーボードを分離して単体のタブレットとして利用可能
おすすめユーザー ノートPCスタイルに重きを置きつつ、タッチも積極的に活用したいユーザー ノートPCスタイルを中心にタッチ操作をプラスしたいユーザー タブレット単体で携帯利用し、キーボードは自宅や職場で使いたいユーザー

 それでは、各カテゴリーの特徴とともに該当する製品を紹介しよう。

液晶ディスプレイスライド型

 「液晶ディスプレイスライド型」とは、液晶ディスプレイ部を閉じた状態ではタブレットのスタイルになり、液晶ディスプレイをスライドして開くことでキーボードが現れ、ノートPCのスタイルで利用可能になるものだ。

 携帯端末では同じようなデザインの製品も見られるが、Windows搭載のモバイルPCでは採用例が非常に少ない。Windows 8の登場とともに表舞台に出てきた新スタイルの製品といっていいだろう。現状ではソニーの「VAIO Duo 11」と東芝の「dynabook R822」がこれに当てはまる。いずれも独自に開発した複雑で機械的な変形機構が目を引く。

「VAIO Duo 11」のスタイル切り替え。タブレットスタイルの状態から液晶ディスプレイがスライドしながら立ち上がり、キーボードが現れてノートPCスタイルに変化する。液晶ディスプレイ部の上端に指を引っかけて軽い力で立ち上げれば、ワンアクションで素早くキーボードモードへ切り替えられる。液晶ディスプレイのチルト角度は固定され、筆圧検知に対応したペン入力も安定して行える

「dynabook R822」のスタイル切り替え。タブレットスタイルの状態から液晶ディスプレイを奥に滑らせた後、チルトさせることで、キーボードが現れてノートPCスタイルに変化する。VAIO Duo 11ほど素早くスタイルを変えられないが、液晶ディスプレイのチルト角度調整が可能なほか、キーボードと液晶ディスプレイを平らに伸ばした状態(フラットPCスタイル)でも利用できる

 このスタイルの特徴は、キーボードを内蔵していながら、液晶ディスプレイを閉じた状態では(厚さと重さはあるが)単体のタブレット製品とほぼ同じ見た目とそれに近い使用感で扱えることだ。

 タブレットスタイルとノートPCスタイルの切り替えの手間は比較的かからない。特にVAIO Duo 11はタブレットスタイルとノートPCスタイルをワンアクションで素早く切り替えられる。後述する液晶ディスプレイ回転型のようにタブレットスタイルで裏面にキーボードが位置することもないので、タブレットとして違和感なく使えるだろう。

 とはいえ、キーボードを内蔵することから、単体のタブレットとして見ると厚くて重い。iPadやAndroidタブレットのように片手で気軽に持って使うのは厳しく、タブレットスタイルではテーブルや膝の上などに置いて利用するのが無難だ。

 液晶ディスプレイをスライドさせてキーボードを露出した状態では、既存のクラムシェル型ノートPCとほとんど同じ操作感が得られる。もちろん、この状態でタッチ操作を行うこともでき、ノートPCスタイルをタブレットのスタンド代わりに使って、リラックスした姿勢でタッチ操作を楽しむことが可能だ。スライド機構とは直接関係ないが、この2機種はスタイラスペンの入力もサポートしている。

 モバイルでもタッチ操作とキーボード入力をアクティブに切り替えながら使いたい方、ペン入力も使いたい方(今後出てくる液晶ディスプレイスライド型がペン入力対応とは限らないが)、独特のメカニカルなスライド機構や先進的なスタイルに魅力を感じる方におすすめしたい。

 もっとも、今回は液晶ディスプレイスライド型というカテゴリーにまとめたが、この2製品はスライドの機構が大きく異なり、それぞれ違った特徴を持つ。詳しくは各製品のレビュー記事を参照していただきたい。

VAIO Duo 11(ソニー)

「VAIO Duo 11」(ソニー)

  • VAIO Duo 11の特徴
  • 独自の「Surf Slider」デザインにより2つのスタイルを高速に切り替え可能
  • IPS方式の11.6型フルHD液晶(1920×1080ドット)、チルト角度は固定
  • 256段階の筆圧検知に対応したデジタイザスタイラス(ペン)を付属
  • TDP 17ワットのCore i+64ビット版Windows 8による基本システム
  • 有線LANやアナログRGB出力の端子も搭載
  • オプションでシート型の拡張バッテリーを用意
  • バッテリー駆動時間は約7時間、シートバッテリー装着時で約14時間
  • 17.85ミリ厚、1.305キロ(店頭モデル)のボディ、Ultrabookに準拠

・レビュー(1)→「VAIO Duo 11」徹底検証(前編)――“スライダーハイブリッドPC”は新時代を告げる

・レビュー(2)→「VAIO Duo 11」徹底検証(中編)――11.6型フルHDのIPS液晶と筆圧検知ペンを味わう

・レビュー(3)→「VAIO Duo 11」徹底検証(後編)――変形ボディに秘められた真の実力とは?

・ニュース→Windows 8に最適化したタブレット/ノートのハイブリッドPC――「VAIO Duo 11」

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dynabook R822(東芝)

「dynabook R822」(東芝)

  • dynabook R822の特徴
  • スライド&チルトの独自ヒンジ機構(ノートPCスタイルで液晶のチルトが可能)
  • IPS方式の12.5型ワイド液晶(1366×768ドット)
  • オプションでスタイラスペンを用意
  • TDP 17ワットのCore i+64ビット版Windows 8による基本システム
  • バッテリー駆動時間は約6時間(店頭モデル)
  • 19.9ミリ厚、約1.49キロ(店頭モデル)のボディ、Ultrabookに準拠

・レビュー→世界のTOSHIBAが放つ、Windows 8時代の新たなPCのカタチ──可変Ultrabook「dynabook R822」検証

・ニュース(店頭モデル)→タブレットに“変形”、Windows 8時代のコンバーチブルUltrabook──「dynabook R822」

・ニュース(直販モデル)→“こだわり仕様”にカスタマイズOK、「東芝ダイレクト」直販限定のdynabook新モデル

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