「VAIO Duo 11」徹底検証(中編)――11.6型フルHDのIPS液晶と筆圧検知ペンを味わうWindows 8 “+α”の魅力に迫る(1/5 ページ)

» 2012年10月11日 12時00分 公開

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VAIO Duo 11の強みはユニークな変形機構だけにあらず

 指で触れるか、ペンで描くか、キーボードと光学式ポインターを使うか、それが問題だ――。

 ソニーの「VAIO Duo 11」は、タブレットモードとキーボードモードを素早く切り替えながら利用できるハイブリッド型の11.6型モバイルノートPCだ。同社はこれを「スライダーハイブリッドPC」と名付けており、Windows 8に最適化した新しいスタイルのPCであることをアピールしている。

「VAIO Duo 11」は、タブレットモード(写真=左)とキーボードモード(写真=中央/右)をワンアクションで素早く切り替えながら利用できるのが特徴だ

 状況に応じて2つのモードを自在に使い分けるコンセプトのため、VAIO Duo 11の入力環境はモバイルPCで他に類を見ない充実ぶりだ。広視野角の11.6型フルHD液晶をベースとして、10点マルチタッチ対応のタッチパネル、筆圧検知が可能なデジタイザスタイラス(ペン)、そしてキーボードと小型の光学式ポインターと、薄型軽量ボディに多彩な入力装置が詰め込まれていることに感心させられる。

 今回のレビュー中編では、前編で簡単に紹介した液晶ディスプレイの表示品質や、複数用意された入力装置の使い勝手を改めてじっくり調べていこう。

 なお、先に掲載したレビュー前編では、同社が「Surf Slider」デザインと呼ぶ独特の変形機構をはじめ、ボディデザインや各部の仕様について一通りチェックしているので、併せてご覧いただきたい。

液晶ディスプレイは高精細かつ広視野角が自慢

11.6型ワイド液晶ディスプレイは、1920×1080ドット表示のフルHDに対応。高精細な表示が可能だ

 まずは、液晶ディスプレイから見ていこう。VAIO Duo 11は、11.6型ワイド液晶ディスプレイを採用する。ノートPCでは小さめの画面サイズだが、これはモバイルノートとしての持ち運びやすさに加えて、タブレットモードでの使いやすさ、ペン入力のための領域確保、高解像度の実現など、全体のバランスを考慮した結果という。

 特筆すべきは、この11.6型ワイド液晶が1920×1080ドット表示のフルHDに対応していることだ。画素密度は約190ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)に達しており、「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」の220ppiには届かないものの、現行のVAIOノートでは最高の画素密度で、Windows搭載ノートPC全体を見ても非常に高精細な表示となる。

 もっとも、表示が細かすぎて、かえって見づらいといったことはない。初期状態ではWindows 8のスケーリング設定が「中(125%)」に設定されており、標準的な「小(100%)」設定に比べて、デスクトップの文字サイズなどが25%拡大表示されるようになっているのだ。これにより、精細な表示と視認性を両立している。もちろん、Windows 8スタイル(Modern UI)のスタート画面やWindowsストアアプリでは、タイルや各メニューが大きく表示されるので問題ない。

 とはいえ、13.1型フルHD液晶を採用したかつての最上位モバイルノート「VAIO Z」(約168ppi)の「中(125%)」設定と比較して、デスクトップの文字サイズが一回り小さく表示されるので、細かい表示を好まない向きは注意が必要だ。

 また、デスクトップの高ppi環境を想定していないアプリではウィンドウのレイアウトが崩れたり、アプリ内で画像として埋め込まれている文字が大きく表示されないなど、不都合が生じることは覚えておきたい。スケーリングの設定などを変更すれば、フォントやアイコンのサイズをより大きく見やすく調整することも可能だが、こうした表示崩れの問題はつきまとう。

 このようにVAIO Duo 11の画面サイズは、解像度に対して11.6型ワイドと小さいため、スケーリングでの拡大表示が基本だ。よって、フルHDの高解像度によって作業領域を大きく広げることより、ドットのつぶつぶを意識させない精細な表示を味わえることのほうがメリットとなる。実際の見た目も実にきめが細かく、高画素の写真やフルHD動画が緻密に表現できるのはもちろん、Windows 8スタイルのスタート画面や全画面アプリの表示も美しい。この点はiPadやiPhoneのRetinaディスプレイと同じような効果といえる。

表示が細かすぎないよう、初期状態ではWindows 8のスケーリング設定が「中(125%)」に設定されている(画面=左)。デスクトップ(写真=中央)も、Windows 8スタイルのスタート画面(写真=右)も、文字やアイコンが小さくなりすぎずに表示できている。ドットを意識させない高密度な表示が魅力だ

視野角が広いIPS方式の液晶パネルは、タブレットモードでの視認性確保に大きな役割を果たす

 画質面では、視野角が広いIPS方式の液晶パネルを搭載していることも貢献している。横位置と縦位置の表示を使い分けられるタブレットモードにおいて、画面の向きによってコントラストや色度が変化しにくい広視野角パネルは重要だ。

 またVAIO Duo 11では、キーボードモードで液晶ディスプレイを立ち上げた場合、画面のチルド角度が約130度(実測値)に固定されるため、膝の上やローテーブルに本体を載せると画面を少し斜め上から見ることになるが、広視野角パネルなので多少上からのぞき込むような格好でも、表示内容や色をしっかり判別できる。VAIO Duo 11独特のボディデザインと視認性を両立するには、IPSパネル以外の選択肢はなかっただろう。

 実際の見た目も非常によい。モバイルノートPCの液晶ディスプレイとしては高輝度かつ高コントラストで、色味も自然だ。画面下端に輝度落ちは少し見られるが、IPSパネルの採用もあって、全体の表示はかなり均一に保たれている。LEDバックライトの輝度は11段階に調整でき、最低輝度では十分暗く設定可能だ。内蔵の照度センサーにより、周囲の明るさに応じてリアルタイムで画面輝度を自動調整する機能も持つ。

 この高コントラストの表示には、ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」やAndroidタブレット「Xperia Tablet S」で使われている「オプティコントラストパネル」の採用も効いている。これは通常、空気層となっている液晶パネルとガラスの間に透明な樹脂を流し込んで埋めることで、外光の反射を抑えつつ、黒浮きのない深く締まった黒を表現できるというものだ。

 VAIO Duo 11の液晶ディスプレイは表面が強化ガラスなので、それでも外光の反射や映り込みはかなりあるのだが、確かに黒色の深みは感じられる。映り込みが気になる場合は、純正アクセサリの液晶保護シート「VGP-FLS10」(実売2000円前後)を貼り付けるのも手だ。コントラストや発色のよさは少し損なわれるが、外光の反射や映り込みを抑えつつ、画面に傷や汚れがつくことから保護できる。

IPS方式の液晶パネルを採用したため、キーボードモードにおける液晶ディスプレイの角度が固定でも視認性に問題はない(写真=左)。液晶保護シートを付けていない状態(写真=中央)と、装着した状態(写真=右)。液晶保護シートを付けると、外光の反射や映り込みが低減される一方、輝度や発色も少し抑えられる

キーボードモードでは、液晶ディスプレイの角度が約130度(実測値)に固定される(写真=左)。液晶ディスプレイの輝度は、照度センサーと連動した自動調整が行える(画面=中央)。用途別に最適と思われる画質モードを自動もしくは手動で適用できる「色モード」の設定にも対応する(画面=右)

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