今回は、エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro」を用いて、VAIO Duo 11の液晶ディスプレイ表示を計測してみた。試しに、純正アクセサリの液晶保護シートを貼り付けた状態でも計測している。結果は以下の通りだ。
i1Proで計測したVAIO Duo 11の液晶ディスプレイ表示 | ||
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製品名 | SVD11219CJB | SVD11219CJB+保護シート |
液晶パネル | 11.6型フルHD | 11.6型フルHD |
駆動方式 | IPS | IPS |
分類 | 液晶保護シートなし | 液晶保護シートあり |
輝度(最大) | 406カンデラ/平方メートル | 364カンデラ/平方メートル |
コントラスト比率 | 952:1 | 865:1 |
色温度 | 6697K | 6717K |
白色点 | x 0.310、y 0.322 | x 0.309、y 0.325 |
輝度は最大値に設定、自動輝度調整機能はオフ、色モードはオン(標準)の状態。液晶ディスプレイの表示を安定させるため、全画面に白を表示して1時間程度待ってから計測した結果 |
液晶保護シートを貼り付けない素の状態では、最大輝度が406カンデラ/平方メートル、コントラスト比が952:1と非常に高かった。色温度は6697Kと出ており、PCで標準的な色規格であるsRGBの6500Kにかなり近い。目視での高輝度、高コントラスト、自然な色味という印象が計測結果から裏付けられた形だ。
液晶保護シートを装着すると、色温度はほとんど変わらない一方、最大輝度は364カンデラ/平方メートルまで、コントラスト比は865:1まで下がった。最大輝度は10%ほど落ちたが、この状態でも輝度とコントラストは十分高いといえる。ただし、非装着の状態と見比べると輝度や発色はやはり見劣りしてしまう。ここは液晶保護と映り込み低減のトレードオフとして許容したい。
計測結果に示されるRGBガンマカーブの補正状況は、以下の通りだ。
よく見ると、青の線がわずかにずれているものの、赤と緑と青の3本線が暗部から明部までそろっており、色かぶりの少ないかなりニュートラルなグレーバランスを保持しているのが分かる。
ガンマカーブ自体は入力と出力が1:1の直線ではなく、暗部が持ち上がっているが、これはi1Proの測定によって、暗部でRGBの入力に対して出力が弱いのを強める補正がなされていることを意味する。つまり、黒が浮かないよう、S字に近いガンマカーブにあらかじめセットしてあり、映像コンテンツの見栄えを意識した画作りといえる。
実際にモノクロのグラデーションパターンを表示してみると、入出力が1:1のリニアな階調表示ではないこともあり、バンディングが散見されるが、普段利用するぶんには気にならないレベルだ。モバイルノートPCの液晶ディスプレイで、高度な階調表現力まで求めるのは酷だろう。
次にi1Proで作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、それぞれの色域を比べてみた。結果は以下の通りだ。
色域はsRGBと比較してかなり狭く、下位モデルの「VAIO T」と同程度だった。液晶保護シートを装着した状態では、ごくわずかに色域が狭まっている。いずれも青から紫にかけての色域がsRGBより大きく不足しているが、モバイルノートPC用の液晶パネルでは、この程度の色域で標準クラスだ。
sRGBプロファイルの画像を正確な色で再現したり、鮮やかな赤や緑、深い青などを表現するには力不足ではある。ただし、ディスプレイの発色に人間の目はかなり順応するので、高彩度の別のディスプレイと見比べない限り、写真や動画を表示して、特に彩度が低いとは感じないだろう。
なお、VAIO Duo 11の液晶ディスプレイは、VAIO独自のグレード分けでミドルレンジとなる「VAIOディスプレイプラス」に位置付けられる。かつての最上位モバイルノートであるVAIO Zは、広色域パネル(sRGBを超えるAdobe RGBの色域を96%カバー)を選択でき、ハイエンドの「VAIOディスプレイプレミアム」とされていた。
確かに色域については、VAIO Zに見劣りするが、IPS方式による広視野角はVAIO Z(TN方式)に大きく勝っており、オプティコントラストパネルが後押しするコントラストの高さや、画素密度が詰まった高精細な表示も加味され、総合的な表示品質はVAIOディスプレイプレミアムに匹敵するといえる。つまり、モバイルノートPCとしては非常に優れた表示環境と思って間違いない。
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