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» 2012年01月25日 20時39分 UPDATE

“固定+モバイル”の強み、法人でも――KDDI、中小企業のスマホ導入を支援

自社の導入経験を生かしたサービスを提供。便利なクラウドサービスを安価に提供するほか、固定とセットでスマートフォンの利用料を割り引くなど、同社ならではの強みを全面に押し出したサービスを展開する。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo KDDI 執行役員の東海林崇氏

 取引先への訪問回数が15〜20%近く増え、商談件数も増加。残業が減り、コピーの量は10%以上減少――。こうした業務効率化を約半年でやってのけたのがKDDIだ。

 その立役者となったのは、スマートフォンやタブレット端末。KDDIでソリューション事業本部長を務める東海林崇氏は、2012年はスマートデバイスで働き方が変わる「モバイルワークスタイル元年になる」と予言する。

 同社は夏頃から、営業部門の2000人にスマートフォン、バックオフィスのスタッフを含む3000人にタブレット端末を導入。時間や場所を選ばず業務を行える仮想デスクトップ環境や、スマートデバイスで資料を扱えるようにするコンテンツ配信ソリューションなどを導入したところ、上記のような効果が得られたという。

 会社の業務といえば、これまでは出社してPCの前に座り、営業に出てもまた戻ってPCに向かう――というスタイルが一般的だった。しかし、モバイル網の通信速度が高速化し、どこからでも企業内のデータにアクセスできるクラウドサービスが進展するのに伴って、働き方が変わっていくと東海林氏。KDDIではこうした変化に対応するための企業向けサービスを、自らが“スマートデバイス導入の実験台”となる中で得たノウハウを生かしながら提供していく考えだ。

 「スマートフォンの投入で出遅れ、企業向けの導入提案でも遅れをとっていた」(東海林氏)というKDDIだが、今や3キャリアで唯一、AndroidとiPhone、Windows Phone “Mango”を扱うキャリアとなり、ネットワーク面でも固定網と無線網を1社で提供できるという強みがある。東海林氏によれば、スマートフォンのラインアップが充実するにつれて、大手企業を中心に引き合いが増えており、10月にiPhoneやAndroidの新モデルを発表したタイミングで「すごく増えている感覚がある」という。

 こうしたモバイルワークスタイルのさらなる推進を目指して、同社が4月から提供するのが、中小企業(10人〜300人規模)のスマートデバイス導入を支援するサービスだ。

sa_au02.jpgPhoto 新サービスのプレゼンテーションにもiPhoneを活用。クラウド上のサーバに置いたプレゼン資料をiPhoneから呼び出し、プロジェクターに投影している

sa_au30.jpgPhoto 通信の高速化や端末の進化が働き方を変えつつあると東海林氏。KDDIでは自らを実験台にしてノウハウを蓄えた

中小企業のスマートデバイス導入を支援

 業務活用の可能性に注目が集まるスマートデバイスだが、実際に導入する際にはいくつものハードルが待ちかまえている。

 1つは契約コストや初期導入コストがかかる上、フィーチャーフォンに比べて通信料が上がってしまう点だ。また、“そもそも、業務にどう生かせるのか”“どんな効果が期待できるのか”が検証しづらいのも課題の1つ。さらに、セキュリティ対策や運用管理も頭が痛い問題だ。

 KDDIが提供するのは、こうした課題の解決を目指したサービス。スマートデバイスを活用する上で便利なクラウド型サービスを月額390円(1ID)で使える「ベーシックパック」を提供するとともに、企業向けの固定通信サービスとセットで申し込むことで、スマートフォンの月額利用料を割り引くプラン「スマートバリュー for Business」を用意した。

 ベーシックパックは、メールや名刺管理、オンラインストレージ、グループウェア、セキュリティ管理などを提供。これにより、スマートデバイスからメールやスケジュールの確認が可能になり、どこからでも業務用データにアクセスできるようになる。Android端末で不安視されるセキュリティについても、OSレベルで端末を保護するサービスを利用できるので安心だ。

 スマートバリュー for Businessは、固定通信とスマートフォン、クラウド型サービスをセットで導入することで安価に利用できるようにする割引プラン。各サービスを個別に申し込むより、運用コストを下げられるようにした。

 また、中小規模では、情報システム部門や専任スタッフを置けない企業があることにも配慮して、スマートフォンやクラウドサービス、固定サービスの質問に1つの窓口で対応する専用カスタマーセンターも設置。FTTHに切り替える際の問題から、クラウドサービスに関する疑問、端末の操作方法まで幅広く対応する。

 なお、企業での導入にあたっては、フィーチャーフォンに比べて高いといわれる端末価格がハードルになることもあるが、KDDIでは防水・防塵対応ながら安価な「MIRACH IS11PT」を提案できるとしている。また、中小企業へのサービス訴求の方法については、動画や事例での紹介を充実させるとともに、代理店営業の強化で対応するという。

sa_au32.jpgPhoto 月額390円で5つのクラウドサービスを使える「ベーシックパック」を提供。中小企業の利用に最適化したFTTHサービスも新たに提供する

sa_au34.jpgPhoto 固定網とモバイル網、クラウドサービスをセットで安価に提供する「スマートバリュー for Business」で、導入課題の解決を目指す

sa_au36.jpgPhoto 個別に申し込むより運用コストを安く上げられる。サポートデスクも専用のものを用意した


 KDDIはこれまで中小企業向けに、オフィスのIT環境の構築をコンサルティングする会員サービス「KDDI まとめてオフィス」や、中小企業のサイト構築を支援する「みんなのビジネスオンライン」を提供しており、新サービスのスマートバリュー for Businessの提供で、より幅広いニーズへの対応を目指す。また今後は、端末やネットワーク、アプリを個別で契約することなく、1つのIDで利用できる世界を大企業向けサービスにも広げたい考えだ。

 KDDIは、さまざまなサービスをいつでもどこでも最適なネットワークで利用できるようにする3M戦略を加速させており、1月16日にはコンシューマー向けサービスを発表したばかり。個人、法人と相次いで新たな施策を展開し、スマートフォン市場での巻き返しを目指す。

sa_au38.jpgPhoto 今後は大企業のニーズに合ったサービスを展開。3M戦略を加速させる

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