ソーシャルメディア別ワンランク上の活用法ソーシャルブランディングの時代(8/8 ページ)

» 2011年08月31日 17時00分 公開
[大元隆志,Business Media 誠]
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コラム:Facebookでつなぐ家族の絆

 私には父がいます。両親は共働きで、私が小さい頃はほとんど家にいませんでした。そんな環境のせいか、私は父を尊敬していませんでした。恐らく20代半ばごろまで、父を見下していたと思います。いつだったか私の給与明細を見た父がこう言いました。「お父さんの給料をもう抜いてる。立派になったな」と。そんなことを言う父が、私にはとても小さく見えました。それからしばらくして、父の会社が倒産しました。失業した父を私は情けないと思いました。

 ある日「ライフイズビューティフル」というイタリア映画を観ました。お調子者の父親が、綺麗な女性をナンパして結婚し、子供が生まれるというお話です。いつもお調子者のお父さんが主役の、チャラチャラした映画だとはじめは思いました。しかし、戦争をテーマにしたその映画は、悲しい結末を迎えます。

 この映画を見て、私は涙が止まりませんでした。映画で感動した以上に、自分の父親がどれほど素晴らしい人だったかを理解したからです。父親という存在は、常に家族を安心させるためにあったのだと。私が生まれてまもないころ、私に貧しい想いをさせないために昼夜を問わず働いていたんだと。父の会社が倒産したとき、どれほど辛い思いをしていたんだろうと、当時の父の気持ちを初めて思いやりました。私が父を見下し、情けないと感じ、小さく見えたその背中は、子供に対する優しさと、家族を守る愛情で一杯だったんだと私は気づきました。こんなにも大切なことを1本の映画から教えられました。それ以来、私にとって自分の父は、誰よりも誇れる存在となりました。

 どんなに深い愛情を注がれていたとしても、その深さに中々人は気付くことができません。そう思ったとき、Facebookの中はたくさんの愛情であふれていることに気づきました。子供が生まれ、大きくなっていく姿をアップロードし、子供の成長をFacebookでアルバムにしている様子をたくさん見ることができます。アルバムにすることで友達から「いいね!」が付き「可愛いね」という言葉にうれしそうにコメントを返している人達の姿をよく見ます。

 そんな光景を見て、私はこう想います。やがてその子達が大きくなって、Facebookに参加したとき、自分がどれほど愛されて育ったか知ることができるだろうと。日本人は愛情表現が苦手です。そんな日本人の愛情を可視化することを、Facebookは手伝ってくれるでしょう。あなたと、あなたの家族の絆をつなぐFacebook。家族の数だけ「いいね!」が生まれる。そんな使い方もあるのです。

連載「ソーシャルブランディングの時代」について

 本連載は書籍『ソーシャルメディア実践の書』から抜粋したもの。人と人の“絆”を紡ぐソーシャルメディア――。個人が自力でネットデビューし活躍できるときがきました。本書では、Facebookページのファン数ランキングで国内4位(2011年2月)。の著者が秘けつを全部公開。Facebook、Twitter、Ustreamなどの使い方に止まらず、共感を呼ぶブログの書き方、ファンとの対話、日ごろの情報活動など、個人でできるブランディング活動のヒントがいっぱいです。



著者紹介:大元隆志(おおもと・たかし)

 「ITmedia オルタナティブ・ブログ」に執筆を続けるITジャーナリスト。SNSビジネスの論客として、NHK教育テレビ「ITホワイトボックス2」に出演。2011年2月時点で日本語Facebookページのファン数ランキング第4位。ソーシャルメディア関連のビジネス系イベントとしては最大級となる「SOCIAL CONFERENCE 2011」を主催するなど、精力的に活動中。IPv6普及・高度化推進協議会メンバー。MCPCシニアモバイルコンサルタント、米国PMI認定PMP(Project Management Professional)などの資格を所持。


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