中沢氏は大学の薬学部を卒業後、新卒で中堅の調剤薬局チェーンに入社。薬剤師として勤務していた。入社前から独立を考えていたという。
「学生の頃から独立を考えていて、35歳までには自分で薬局を始めようと決めていました。会社員を続けることに魅力を感じなかったからです。チェーンに務めている頃、ゼロから薬局を始めるのには1000万円くらいの資金が必要だと聞きました。借りるのは好きではなかったので、1000万円を目標にして貯金を始めました」
深夜の繁華街で営業するアイデアを得たのは、チェーンに入社して間もない頃だった。その会社で、夜働く人向けの薬局を銀座に作る企画が持ち上がった。銀座の飲食店に薬を届けることを想定したものだったが、「複数のスタッフが必要だったことから、人件費や賃料のコストと、そのリターンが合わないと判断したのかもしれない」と結局は頓挫した。
当時、中沢氏はプロジェクトに入っていたわけではなかったものの、この企画に魅力を感じたという。企画が頓挫したことをきっかけに、自分で深夜薬局を作ることを決心した。
「当時は深夜に営業している薬局はありませんでした。繁華街にはこれだけ人がいるのに、開いている薬局がないのは普通に考えてもおかしいと思いました。独立するならこれだと決めました」
具体的に独立を決心した中沢氏は、JR阿佐ヶ谷駅近くの薬局に転職。チェーンとは違って規模が小さな薬局だったので、保険の申請業務など、薬局を経営していく上での事務作業を学ぶことができた。そして、開業資金を貯(た)めるペースが遅いと感じると、週6日勤務を申し出る。
「33歳の時に、このペースだと35歳までに目標金額に届かないと思って、休みを返上して働かせてもらいました。家庭的な薬局で、入社当時から独立したいと伝えた上で受け入れていただいて、ある程度わがままを聞いていただきました。それで何とか35歳で目標の1000万円を貯めました」
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