NTTドコモは5月11日、携帯電話向けの新しいサラウンド音声伝送技術を開発したと発表した。同技術は、ユーザーが設定した空間配置で複数の音声を再生するというもの。
従来のサラウンド音声伝送技術は、音声データを圧縮する「符号化」と、圧縮データを音声に復元する「復号」、音の広がりを加える「サラウンド化」の処理を独立して行っていた。一方、新しい音声伝送技術はネットワークと端末を連携させ、これらの処理を統合するので、ネットワークや端末の負荷を抑えられるメリットがある。
同技術では、複数の音声の中から聴覚的に重要な成分のみをネットワーク上のサーバで判別、符号化し、端末で音声復号とサラウンド化の処理を同時に行う。ユーザーは携帯電話に搭載する専用ソフトとヘッドフォンを使うことで、設定した空間配置で複数の音声を視聴できる。
同技術が実用化されれば、音声チャットなど、携帯で複数人で同時通話をする際にも、会って話すような、高い通話品質でコミュニケーションができるようになる。ビジネスシーンでの電話会議や、遠隔教育、オンラインゲームなどでも一体感のあるコミュニケーションの実現が期待される。同技術は「固定電話と連携した応用も可能」(広報部)だという。
チャット感覚でグループ通話ができるサービスとしてドコモは「プッシュトーク」を提供しているが、同サービスは2010年9月に終了となる。「新しい音声伝送技術を使った、プッシュトークに代わるサービスを提供するかは現時点では未定」(同)とのこと。ドコモは、同技術の実用化を目指してさらに研究開発を進めるとしている。
なお、5月12日からパシフィコ横浜で開催される「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2009」では、同技術を活用した「HT-01A」による音声チャットシステムが紹介される予定。
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