「ベンチマーク」「CPU」「GPU」「エコシステム」で読み解くSnapdragonの今:Qualcomm Mobile Benchmarking Workshop(2/3 ページ)

» 2012年08月02日 18時22分 公開
[田中聡,ITmedia]

進化したGPU「Adreno 320」の特長とは

photo ティム・レーランド氏

 SnapdragonのGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)には「Adreno」が採用されているが、Snapdragon S4ではどのような特性を持つのだろうか。プロダクトマネジメントのディレクター、ティム・レーランド(Tim Leland)氏が説明した。Adrenoは、QualcommがSnapdragon向けに開発したGPUで、最新バージョンはSnapdragon S4 Pro(APQ8064、MSM8960T)とPrime(MPQ8064)に使われている「Adreno 320」となる。Adreno GPUでは、レンダリング、カメラ撮影、キャプチャや、汎用的な計算処理を行う「GPGPU」を特徴とする。

 Adreno 320では旧バージョンのAdreno 225に比べてグラフィック性能が3〜4倍向上したほか、より豊かな陰影処理が可能になった。解像度はHD以上をサポートし、フレームレートやゲームなどのアニメーション表現も向上している。3Dは三角形の集合体で描かれ、画素処理が行われる。三角形処理と画素処理の割合はアプリケーションごとに異なるが、Adreno 320では三角形/画素処理の量を動的に変化させる「Unified Shader(ユニファイドシェーダ)」を採用しており、3D描画をする際にGPUの性能がフルに発揮される。他のGPUでは三角形/画素処理の量が固定されているため、GPUに働かない部分が出てくるという。

 「FlexRender」も新機能の1つ。グラフィックスメモリを介さずシステムメモリ経由でダイレクトに描画する「ダイレクトレンダリング」と、グラフィックスメモリを介してより複雑な絵を描画する「ビニングモード(Bining Mode)」を使い分けることで、負荷を抑えてGPUの性能を最大限発揮できるという。グラフィックスメモリは特定部位の描画に使う画素のバッファ(記憶領域)として機能し、より複雑な描画に使われる。描画内容の「80〜90%が(グラフィックスメモリを介する)ビニングモード」(レーランド氏)だという。このほか、携帯端末向けグラフィックスプログラミング用APIのサブセット「OpenGL ES 3.0」や、(画像内の)特定の対象物の複製や消去・ノイズ除去などの汎用的な計算処理を行う「GPGPU」も新たにサポートしている。

 レーランド氏はグラフィックパフォーマンスの評価方法について、「人気のゲームがスムーズにスクロールするか」「UI(ユーザーインタフェース)やブラウザスクロールの反応が良いか」「他の製品に比べてバッテリーが持つか」「評価の高いベンチマークアプリを使っているか」「複数の優れたベンチマークテストの平均値を出すこと」などを実現すべきポイントとして挙げた。

photo 「Adreno 320」の概要

photophoto 他社のGPUと画像処理のパフォーマンスを比較したもの。他のGPUでは画素処理や三角形処理の作業量がアプリケーションごとに固定されているため、遊びの部分(Wasted Cycle)ができてしまい、GPUの性能が最大限発揮されない(写真=左)。従来のAdreno 225に比べて、Adreno 320では陰影処理や解像度など描画性能全般が向上している(写真=右)
photophoto 2種類のレンダリング方法を柔軟に変更できる「FlexRender」(写真=左)。汎用的な計算処理を行う「GPGPU」もサポートしている(写真=右)
photo Snapdragon S4内部における、CPUやGPUの働き

グラフィックやブラウザの性能を測れるベンチマークアプリを紹介

photo ティム・ウオタリア氏

 スマートフォンや車載アプリのUIソリューション、ベンチマークソフトを手がけるRightware社のディレクターを務めるティム・ウオタリア(Teem Uotalia)氏も登壇し、ベンチマークテストの必要性とメリットを語った。1つのベンチマークプログラムしか使わないと、偏った評価になってしまう危険性があるが、ベンチマークテストでは既存のゲームよりも負荷の高い作業をさせ、特定のプラットフォームに最適化したものではないため、複数の端末で比較がしやすい、といった考えを述べた。同社はAndroid向けに、アプリやゲームにおける3Dグラフィック性能を測れる「Basemark ES 2.0 Taiji Free」を提供している。他機種とのスコア比較もできるため、1度試してみることをオススメする。

photophoto 「Basemark ES 2.0 Taiji Free」
alt
photo マイク・ジェネウィッチ氏

 Qualcommも「Vellamo」というAndroid向けのブラウザ用のベンチマークアプリも開発しており、こちらもGoogle Playからダウンロードして利用できる。このアプリではレンダリング、JavaScript、ネットワーク、ユーザー体験(スクロール速度、画像のデコード、テキストのレンダリングなど)の項目を総合的にテストできる。今後はモバイルブラウザに留まらず、RAMやFlashメモリの書き込み速度を図るテストも検討していることを、Qualcommのマイク・ジェネウィッチ(Mike Genewich)氏は明かした。なお、「Qualcomm製のベンチマークアプリなのだから、Qualcommのチップを搭載した機種が有利になるように作られているのではないか」との質問が記者から挙がったが、ジェネウィッチ氏は「リリースした当初は(Samsung製チップを搭載する)GALAXY Sのスコアが最も高かった」と話し、特定のチップが有利にはならないことを強調した。

photophotophotophoto Qualcommのベンチマークアプリ「Vellamo」
photophoto Vellamoの測定内容(写真=左)。Qualcommが考えるベンチマークテストの将来像(写真=右)
alt

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月29日 更新
  1. 20万円超のXperiaを「買い」に変えた3週間 ソニーが「モニタープログラム」を実施した理由 (2026年09月26日)
  2. 「SuicaでJR東海エリアをまたげない」問題、ついに解消か JR東海社長「勉強している」【訂正】 (2026年09月27日)
  3. なぜドコモはahamoの大幅値上げを避けたのか? 段階制で安くなるケースと「アップセル戦略」の狙い (2026年09月26日)
  4. ドコモ値上げの背景は? 副社長が語るahamoの競争力と、「楽天モバイル意識」の本音 (2026年09月25日)
  5. ソフトバンクとLINEヤフーが「Yahoo!スマホ買取」を始めた理由 スマホ高騰時代に目指す「中古の循環」 (2026年09月28日)
  6. ドコモが低容量プラン「ドコモ mini2」発表 6GB/12GBの2段階で月額3278円/4598円 (2026年09月25日)
  7. 高額な「iPhone Duo」を横目にどう選ぶ? Androidフォルダブルスマホをお得に買う方法【2026年9月版】 (2026年09月27日)
  8. “iPhone 18難民”の買い替え先は? 最新「iPhone 18 Pro」と型落ち「17/17e/16」から最適解を考える (2026年09月25日)
  9. パナの電動アシスト自転車、スマホ連携が可能に バッテリーの盗難防止や残量通知など 12月発売 (2026年09月28日)
  10. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー