アナログの感覚で紙とペンをデジタル化 MetaMoJi浮川社長に聞く「Note Anytime」松村太郎のiPhone生活(2/2 ページ)

» 2012年11月06日 13時00分 公開
[松村太郎,ITmedia]
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マネタイズもアナログの感覚を活用

 Note Anytimeの手書きへのこだわりは、デジタルのフォント以前に用いられてきた手書き文字「カリグラフィ」の再現にも込められている。水鳥の羽根のペンで文字を書いていた頃のように、線の太さに変化を与え、アルファベットだけでなく日本語の手書き文字も美しく見せられるような工夫がなされている。

Photo Note Anytimeの説明をする浮川社長

 「Note Anytimeに描いた線を美しく見せるにはどうしたらよいか、という事を考え、カリグラフィの線を書けるようにしました。そのためには、線1つずつが独立したデータで構成されている必要がありました。おかげで拡大縮小をしても画質は落ちませんし、PDFでの書き出しもきれいです。また、編集も、線の単位で選択して削除したり、拡大縮小したりも自在です」(浮川氏)

 アナログの感覚でデジタルのメリットを最大限に生かすNote Anytimeは、無料で提供される。手書きによるデジタル体験の再構築を「まず使ってもらって、世界規模で推し進めよう」という浮川社長の強い意志によるものだが、その一方でどのようにマネタイズしていくかを考える必要もある。ここでも、アナログのアイディアに忠実に従った点が非常にユニークだ。

 「マネタイズのアイディアには、デジタルにあるまじきことかもしれませんが、一部のペンやインクを有料にしました。皆さんも、どこかでもらってくるペンとノートは無料ですが、お気に入りのペンやノート、カラーのマーカーはお金を払って文房具屋で買いますよね。これと同じで、基本的なペンや色は無料ですが、複雑なペン先やなぞるだけでグラデーションが書けるカラーのインクなどは有料にしました」(浮川氏)

 さらに、インクは書いていくにしたがって減っていき、なくなったら再び購入する仕組みというのも面白い。上に紹介した線のデータで長さを計算しながら、インクを消費していく仕組みにしており、美しい線を描けるようにすること、編集を自在にできるようにすることと、マネタイズの計算方法を全て叶える実装も鮮やかだ。

 カラーインクは170円や350円で購入できるが、本物のインク以上に長く描くことができるようにしてあるそうだ。そしてもちろん、しばらく使わないと乾いてしまって……ということもない。

こんどは、コンピュータが人間にすり寄る番

 コンピュータと人間の間のテクノロジーに携わってきた浮川氏は、これまでのコンピュータと人間の関係性を変えていくことに取り組もうとしている。タブレットはその非常にいいきっかけであり、チャンスだと語る。

 「これまで、人間が一生懸命コンピュータについて学び、使いこなせるように努力してきました。コンピュータに多くの人が合わせてきたのは、コンピュータが発展途上だったから、と見ることができます。しかしデバイスの性能や形が変化してきて、十分パワフルになってきました。今度は、コンピュータが人に合わせる番だと思います。

 アナログを感じさせるアプリケーションは、これまでの我々の習慣、人間らしさをデジタルに持ち込むことにつながりますし、手書きに表れる個性をデジタルの中でより表現しやすくなります。デジタルの良さとアナログの習慣が、コンピュータと人を発展させる、Note Anytimeはそんなきっかけになれば、と考えています」(浮川氏)

 Note AnytimeはiPad、iPad miniはもちろん、Windows 8に対応するほか、スマートフォン向けの対応も進めていくという。クラウドとデバイスサイズの多様化の中で、Note Anytimeが世界中の人々の個性をデジタル化する紙とペンになろうとしている。

Button Note Anytime

プロフィール:松村太郎

東京、渋谷に生まれ、現在は米国カリフォルニアのバークレイで生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(Web/モバイル)の関係性について追求している。


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