KDDIとイオンエンターテイメント(以下、イオン)は7月17日、映画館で音楽ライブの生中継を配信するサービス「Live'Spot」の発表会を、イオンシネマ みなとみらいで行った。同日にサービスを開始した。発表会にはKDDIのサービス企画本部本部長片岡浩一氏、イオンの営業本部長大山義人氏が登壇し、サービス提供の狙いや背景などを説明した。スペシャルゲストとして、品川祐さん、水沢アリーさん、しずるの池田一真さん、村上純さんも応援に駆け付けた。
片岡氏は「近年、音楽ライブ市場が活性化し、ODS(Other Digital Stuff/映画館での映画以外のコンテンツの総称)市場も成長している」と、Live'Spotの狙いを語った。ODS市場は、2010年の10億円から毎年2倍以上増加しており、オリンピックやW杯などのスポーツコンテンツにより、「パブリックビューイングは一般化している」と同氏。
また、「競争倍率が高く、高額なチケット」「ライブ会場へのアクセス」「ライブ現場での暑さ、疲れ」などライブのマイナス要素をすべて取り除くのがLive'Spotだと片岡氏は説明する。「映画館なら、ドリンクやスナックを片手に快適な環境でライブを楽しめる。価格もライブの半分ほどで楽しめ、交通アクセスも容易になる」と片岡氏はメリットを語った。さらに、TwitterやFacebookなどでファン同士が交流することで「ネットプラットフォームを使った新しい音楽の楽しみ方を提供したい」と片岡氏。「LINEアプリやauスマートパスなどで情報を発信するが、SNSで口コミが広がっていって欲しい」と思いを語った。
サービス開始に伴い、第1弾としてJUJU「JAZZ TOUR 2013-DELICIOUS 2ND DISH-」ファイナル公演のライブビューイングが8月15日に全国60劇場で行われる。「最終公演会場はあまり広くなく、チケット価格も高い。近場の映画館で気軽に楽しむメリットを感じられるのではないか」と片岡氏は言う。また、特別イベントとして「劇場版きゃりーぱみゅぱみゅ」の限定上映を8月8日に全国8劇場で行う。応募期間は7月17日からで、Live'Spotのサイトから応募できる。「参加アーティストは毎月増やしていく予定」(片岡氏)
イオンの大山氏は、「映画に限らず、バレエ、オペラ、スポーツなどさまざまなライブビューイングを行ってきたが、音楽は人気の高いコンテンツ」と説明する。平井堅さんのコンサート中継をした際は「全国約40の劇場で実施し、8000人超の集客に成功した」と言い、「これからも幅広いジャンルのアーティストのライブを5.1chのど迫力のサウンドと大型スクリーンで提供したい」と意欲的だ。
映画館の稼働率に影響があるのではという質問には、「休日と平日の上映を組み合わせて稼働率を上げていく。映画上映と比べて平均単価が高いのが大きなメリットで、ODSと映画の相乗効果を期待している」と大山氏は前向きな姿勢だった。
従来は2chステレオ配信が主だったため、発表会では2chステレオと5.1chサラウンドの違いを体感できるよう、6月に行われたBOYFRIENDの比較ライブ映像が流れた。ゲストの品川さんは「クラブと田舎のスナックくらい違う」と表現し、会場の笑いを誘った。また、「生放送を録画で見るとダルいことがある。ライブビューイングなら、生の臨場感と編集したような映像の両方が楽しめる。ライブツアーの予習、復習にも最適」と品川さんは言う。村上さんも、「ライブだと本人が見えないまま終わってしまうこともある。映画館ならアーティストの顔もはっきり見える」とLive'Spotのメリットを語った
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