孫社長が「UQへの2.5GHz割り当て」に猛抗議――「泣き寝入りはしない。行政訴訟で断固戦う」石川温のスマホ業界新聞(3/4 ページ)

» 2013年08月02日 18時16分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

―― 公開ヒヤリングをさせて欲しいとお願いしたのはいつですか。

宮川CTO 一昨日です。いろんなやりとりがあって、皆さん知らないから。ちゃんと説明できる時期が来ればいいますけど、我々は10MHzと10MHzで出しておいて、(割り当ての周波数帯を)移動してもいいと思っていた。開設計画書は、みなさんわかっていないと思いますけど、10MHzで出してありますが、20MHz幅の割り当てのうち、どこでも移動できるように書いてあげたんです。わざと。それで自分たちがとって、移動できるように配慮した。(しかし、そんな細かいことを)短冊に書くわけないじゃないですか。

 あんな分厚い開設計画書を読んでない。短冊を読んだだけ。それだけですよ。その短冊で書いてある内容では足りないと言っているだから。

 それで評価しないとおかしい。

 われわれの書いた開設計画書ではなく、短冊一枚で評価されるのはまずもって納得いかない。その短冊一枚が、答えがあるために作られた短冊になっていたとしたら、おかしいと思うので、そこはチェックさせていただきたい。それだけですよ。

―― 短冊とはなんですか。

宮川CTO 最低技術基準を満たしているという短冊がずらりとあるのですが、計画書の一部を、これにまとめている。短冊にまとめられていて、(それを比較して)点数がつく。

 絶対に主観が入るからダメだと言っていた。結局、同じゴールに導くため、僕らのところが外されている。

 開設計画書に書いてあるのには自信があるので、計画書で比べてみてください。全然、勝てる自信があるし。今の現在のネットワークも、一回も誰も実物を見に来てないのに、どうやって評価できるんですかと。

―― 総務省はすべて資料で評価する。

宮川CTO 彼らが審査するので、彼らの理屈なのはいいんです。だけど、そのルールが、あまり横着じゃないかと。僕は別の機関を入れて、第三者の視点でやるべきだと言いたいだけ。技術の話においては、いまの総務省の人たちには、僕が先生と呼べるような人がいなくて、点数がつけられるのかと(疑問に)思っている。

 (内容は)もっと深いので、うちの計画書にある技術のところ、UQの計画書にある技術のところを世界にいる技術に詳しい人にチェックしてもらって、点数をつけてもらえばいい、とお願いしただけ。

―― それだけ思っているなら、パブコメに書くべきだったんじゃないですか。

宮川CTO それが10MHzと10MHzで折り合いをつけた方がいいんじゃないですか、と言われたから。

―― それは今回の2.5GHzに限らず、電波行政全体に関わる話なのではないですか。

宮川CTO そうですね。僕らが甘かったんですね。おっしゃるとおり。乗せられたと言えば乗せられた。結果なので、仕方がない。正直言って、(今回の決定が)ひっくり返るとは僕も思っていない。止まるなんて思っていない。でも、精一杯やる。落ちていると確定だと思ったら大声をあげた。

 行政に逆らったら、点数が悪くなるに決まっているじゃなないですか。だから3日前まで怒るわけがない。落ちてるとわかったから、もう一度がんばるしかないと。人間として当たり前でしょ。違いますかね。

―― 審査基準が出た段階で不利なることはわかってたでしょう。

宮川CTO お互い10MHzと10MHzで出したら、2番手でも合格なんですよ。おわかりですか。(記者「同点だったらですよね」)違います。10MHzと10MHzで出だしたら、1番、2番は両方合格なんです。わかってないです。

―― UQは2年ぐらい前から20MHzでやりますと言っていたはずです。

宮川CTO そうやって、我々だってマスコミに対して言う言葉と、社内で持っている数字は全部違うに決まっているでしょう。そんなの。今回は2番手通過でいいかと話していた。

―― UQが20MHzで申請したというのは先月、報道されてしましたが、その時点でまずいと思われていたのか。

宮川CTO まずいと思っていましたよ。20MHzできたかと。よく考えたら、同点という可能性もあるなと。同点だったら勝ちですから。これはちゃんと読みとってくれれば大丈夫だと。このあたりの材料はこの次の不服審判で戦う材料になるので、ここでは言えません。

 技術的には自信がありますから。前回の2.5GHzの時も、ウィルコムが勝った負けたという話よりも、僕はあのときにWiMAXをまじめにやるつもりだった。WiMAXを世界中に広めるために いろんな根回しもした。

 でも落ちちゃったから、僕にとってWiMAXは敵に回った。腹の中では。二度とWiMAX触らないぞと。もし、ウィルコムがWiMAXをやっていたら、WiMAXはシャットダウンさせていた。それぐらい、WiMAXは敵だと思っていたら、TD-LTEを育てなくてはいけないと感じている。XGPの話が来たときに、XGPだとまた倒れるなと思ったので、TD-LTE互換という言い方はしましたが、とにかくグローバルスタンダード化しないと勝てない。だからWiMAXという選択肢はなかった。

 あのときにキレていなければWiMAXをがんばってやっていた。

 結局、WiMAXをがんばってやりますといっていた人が、今回の開設書を見ると、WiMAXを捨てますと書いてある。WiMAXを最後まで追いかけていないじゃないですか。我々がTD-LTEを深掘りして、技術になるまでGTI(TD-LTEの推進団体)をつくって、会合をつくって、共同仕入れをやって、コストをさげて、やっとTD-LTEはものになってきた。

 そういう過程がある。申し訳ないですけど、TD-LTEをやるにはものすごく自信がある。

 20MHz対50MHz。1年半後に30MHz対50MHzでもいいですよ。絶対に周波数があるほうが勝ちです。

 ウィルコムとWCPを分割したという人がいますが、それは全然違いますよ。あれは債権者たちが分離しろといってきたまま押しつけてきた。

 我々が一体で買いたいといったら、ノーと突き返してきた。分離したまま残した。

 分離したままにしないと、債権者はWCPの投資には乗れないと言ってきたので、WCPの投資にはソフトバンクが乗った。そのかわりに、XGPの技術はやだと言って、AXGPというかたちでやれるように、総務省にネゴした。

 そういう過程がある。僕は洗いざらい喋りますから。黙っておこうと思っていたけど。

 PHSに対して、我々への要望はいくつかあった。まだいろんな話はあるが、これは裁判所でやります。もともとWCPの戦いなんで、WCPのかたちで、育てようとした思い、言ってきましたよね、WCPには手を抜いてきたことはない。本気でやってきたら。そういう風に、みなさん、うがってみているなら、WCPのネットワークを見に来てくださいよ。いいものができていますよ。世界中で見ても、誇れるものができているという自信がありますよ。

 そういうネットワークだから、負けているとは思わないので、技術者として戦いたいだけ。

―― その努力はわかるのですが、審査基準とは別の話なのではないですか。

宮川CTO 審査基準は既存局と新規局の合体でどんなサービスがつくれますかというもの。そのなかでの評価点では負けていないと思っている。

 10MHzというガードバンドは特殊で、使っていないんだけど、税金だけは払わされている。7年間の累計で60億払っている。

 いろんなやりとりもありましたから。ウィルコムがこっちにきちゃったので、うちも継承しようと。お金を払うのもすったもんだがあった。おかしいと思うという話はした。

 形を変えるなという指導が総務省からあったので、それも従った。

いろんな思いが僕のなかにはある。社長には、なんでそんなものに払うんだと怒られましたよ。だけど、それはそれで継承したので払うことにした。

 20MHzだけど、30MHz分の税金を7年間、払っているんです。そういうハンディキャップだって背負っているんですよ。いろんな恨み辛みがあるんですよ。

―― 10MHz幅の利用制限があるところの電波利用料は、ちょっと安くなる議論があるがようですが。

渉外担当 そういう話もあるが、今後であって、次の人たちには可能性がある。

宮川CTO そんな感じで、怒りモードで言って申し訳ないけど。気持ち的には、えっ、という答えだったというのが本音。書き方を間違えちゃうと『お前たちも密室だろ』と思われてしまうが、そうじゃなくて、総務省はよくやるんですよ。3つあってね、どこを取りますかって。真ん中が欲しいですと言うと、『真ん中はさすがにないでしょ』とか言うわけです。そうすると『じゃあ、こっちでいいです』というと、『そうです』という。もうこれ、お役所の裁量ですよ。権限者がそういうのであれば、そうなる。

 終盤に(UQが)20MHzでやるという噂も聞くので、20MHzならばいい商品が作れるので、『20MHzで出しておかないといけないですかね』と聞きに行ったら、『10MHzと10MHzのイコールフッティングがいいじゃないですかって言ったじゃないですか。最後はそうやってくださいよ』と言われるわけですよ。

 『そうですか』と理解して、帰ってくるわけです。

―― 疑っているところに教えを請いに行くというのが全然わからないのですが。

宮川CTO 全然、疑ってないですから。純粋に好きですよ。マジで。現場の人、大好きですよ。上はちょっとゆがんでるなと思って。現場の人は一生懸命にやってますよ。

―― 昨日の囲みではもう少しハッキリと総務省が10MHzと10MHzといっていた感じだったが。

宮川CTO 同じニュアンスですよ。

―― ハッキリ提示されたわけではなく?

宮川CTO そうです。向こうはプロですから、そんなことするわけないじゃないですか。

―― 行政訴訟のタイミングはどうなるのですか。

宮川CTO 次に、総務大臣が認定式をやります。認定式をやったあとに手続きが変わります。いまは審議会がここがいいですよと決めたというタイミング。総務大臣に推薦をする。総務大臣がわかりましたと認定する。この期間はこれが精一杯。今度は、認定式をやってしまうと、法的手続きに入る。

―― 認定式は月曜日にすんなりやりそうですか。

宮川CTO まぁ、大臣がいないから。副大臣でやるというのは、刺されるからやらないんではないですか。

―― 総務大臣はいま外遊に出ていて、1日ぐらいに戻ってくるという話。

宮川CTO 僕らは月末ぐらいにやると思っているんだけど。認定式をやったら、今度は大臣相手になりますから。大臣にわれわれ腹落ちしてませんから、さすがに認定待ってくださいと書類を出す。そんなことを関係ないですと認定するなら、我々警告しましたでしょ、おかしい裁量と思うので、我々も法廷で第三者を入れて評価させてくださいってやりはじめます。

―― それをやっている間、UQは身動きが取れなくなるのですか。

宮川CTO いやいや。動けます。我々は彼らを邪魔したいわけではない。

―― 仮処分はつけない?

宮川CTO まぁ、つけないですね。基本はやれるものはすべて出しますが、何かでロックがかかってUQが動けなくなるということはない。そういう法律もどうやらないみたい。知ってる限りでは。なんで知っているかと言えば、前から色々やっているので知っている。

―― 最終的には審査の透明性を求めているということですか。

宮川CTO 孫さんがだんだん完全に固まってしまったので、そこ一本になってしまうかも知れない。僕自身としては違う。本当に技術では負けていないので、一回、チェックさせてくれと。

 孫さん的には、外国から見ても、日本はやっぱりおかしいというところはとことんやると。たぶん変わります。900MHzの一個前の時は、みんな身構えていた。

 900MHzからは我々も静かにしていた。どうしても、オークションやると割り当ての時期が遅くなるから。これ以上遅くなると、俺たちは勝ち目ないなと思った。とにかく一番、最短で採れる方法に入った。それは静かに書類だけでやるという向こうの方針に乗った。書類は通せる自信はあった。周波数がないという点でも自信がある。さらに保険をかける意味で、工事を前倒しで始めてしまっているというのも、さすがに情もわくだろうとやった。そこで、静かにしてしまい、事業者が文句言わなくなったので、今度は総務省がさらっと通そうとした。それはちょっとないぞ、というので大声をだしている。

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