遊び感覚で生活習慣を改善できる――「ソフトバンクヘルスケア」の狙い(2/2 ページ)

» 2013年08月14日 07時00分 公開
[房野麻子,ITmedia]
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タイムマシンや健康相談などの独自サービスで継続力を高める

 専用アプリは、従来のFitbitアプリで閲覧できる項目を基本に、独自のサービスや配慮を加えたものになっている。

 「継続して利用してもらうサービスなので、アプリ側で継続して使ってもらうための工夫が重要です。データ管理だけだと『やらされている感』を与えてしまうので、見やすさやひと目で分かるUIに加え、楽しく使ってもらえて、意識しなくても健康管理ができるような工夫を入れています」(舘氏)

 その1つが、毎日の運動量や、1万歩歩く、42キロ歩くなどの「チャレンジ」に参加して達成することでコインがたまるというもの。集めたコインでくじにチャレンジでき、プレゼントが当たるといった特典がある。

 また、自分の未来の顔を予測する「タイムマシン」はお遊び的な要素のある楽しい機能だ。日々の活動内容から体力、美力、意識力、継続力、抗齢力の5つを5段階評価し、そのバランスレベルによって未来の姿が予測される。顔写真を撮るかギャラリーから選ぶと、5年後、10年後、20年後と移り変わる様子を見られる。バランスレベルが「Excellent」だと、5年、10年くらいならあまり変化は見られないが、不健康と判定されるとかなりシビアな姿になる。

 「楽しんで使ってもらいたいので、こういう機能も入れています。大げさに見せることで、頑張ろうという気持ちを湧き立たせるのが狙いです」(舘氏)

photophotophoto チャンレジ機能(写真=左)とタイムマシン機能(写真=中、右)
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 24時間365日、専門医や看護師、栄養士に電話で相談できる「健康相談」メニューも用意している(写真=右)。アプリから直接電話をかけることができ、毎回発行される受付番号をオペレーターに伝えると本人確認が行われ、相談ができる。数百名の現役の専門医と看護師などが対応するが、まずはオペレーターが内容を判断。より専門的な意見が必要なときに医師が対応するという。

今後も改善やサービスの追加を続ける

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 舘氏はこのサービスを継続して利用してもらう仕掛けの重要性を強調する。

 「実は1カ月も使うと歩数やカロリーなどは把握できます。データの管理だけではなく、得たデータを違うことに使って、継続して使ってもらうことが大切です。そのためにサービスの拡充が必要だと思っています」(舘氏)

 前述の通り、食事データの入力が手入力になることも気になっている点だという。他社の実証実験では画像認識による入力なども試されてはいるが、まだ誤差が大きい。「今回は見送りましたが、次のステップでどうするかは検討しています」(舘氏)

 専用アプリに対応するスマートフォンが少ないことも、ユーザーにとっては残念な部分だ。AndroidはBluetoothの仕様が各端末でバラバラのため、確認が難しく動作の保証ができないという。対応機種は、iOS 6.0以降のiPhone 4SとiPhone 5。Androidの対応機種は「AQUOS PHONE Xx 206SH」のみで(順次追加予定)、8月下旬以降の対応を予定している。

 「Androidは端末によって採用しているBluetoothチップが違ったり、機種依存の部分があります。仕様に合わせて作り込む必要があるので、すべての機種に対応するのは難しいのです。Android OS側で仕様を標準化してほしいと思っています」(舘氏)

 なお、アプリは現状、スマートフォン専用だ。シニア層に使ってもらうにはiPadへの対応も必要だと認識している。

 Fitbit Flexデバイスが2年間持つか、という不安もあるだろう。デバイスが進化し、後継機種が出る可能性もある。そうなった場合、デバイスを“機種変更”できるのか、解除料がかかるのかといったところは、まだ未定とのことだ。ただし、マルチデバイス対応は進めていくという。

 「アプリに対応するデバイスはどんどん増やしていく予定です。さまざまな健康データを取り込んでいけるようにしたい。将来的に、医療までどうつなげるかという課題もあります。薬事法の制限や、医療機器にならないようにするとか、我々ができることと、できないことがあります。やりたいことはたくさんありますし、改善のロードマップは詰まっているので、我々の中で、できることを提供していきたいと思っています」(舘氏)


 舘氏がヘルスケアサービスに取り組むようになったのは、入院という自身の体験がきっかけ。実体験をもとにサービスや仕掛けが考えられているので説得力があった。利用も基本的に1日中手首につけているだけでOK。体重と食事以外は、アプリと同期すると自動でデータが吸い上げられていくので簡単だ。

 そして1カ月ほど使っていると、自分の活動量や消費カロリーを把握できるようになり、「生活習慣の改善が遊び感覚でできる」(舘氏)。毎月利用料を支払う価値を提供し続けていけるかは、ソフトバンクモバイルのお手並み拝見といったところだが、2年間利用を続けたとして、アメリカで販売されているデバイス本体の価格と、それほど大きな差はない。最近、健康に自信がなくなってきたと感じている人は、利用を検討してみてはいかがだろうか。

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