通信事業者との契約セットによる端末の割引販売が中国でも一般的となった。1000元台のスマートフォンは、いまや2年契約で実質無料で販売している。この影響もあってか、最近ではスマートフォンの低価格化がさらに進んでおり、1000元を切るモデルが急激に増えている。この低価格スマートフォンは、中国の中低所得者におけるスマートフォン利用率を一気に引き上げるだけではなく、中国以外の新興国にも今後大量に進出していくことになる。
2013年第3四半期における中国の携帯電話販売台数は、好調なスマートフォン需要の後押しもあり史上初めて1億台を突破した。中国の調査会社EnfoDeskによると、2013年7〜9月の中国国内携帯電話販売総台数は1億266万台となり、前期の9039万台から14パーセントの伸びを示した。このうち、スマートフォンは9308万台で全体の約9割を占めている。
メーカー別のシェアはトップのサムスン電子が18.4パーセントで、その下に10パーセント台でLenovo、宇龍酷派(Coolpad)、華為(Huawei)が続き、さらに5パーセント台にZTE、天語(Tianyu)、そして、Appleが続く。最近なにかと注目の小米科技(Xiaomi)も9位と、トップ10内にランク入りしている。
各メーカーのスマートフォン製品展開は、高価格ハイエンドモデルのみに絞ったAppleを除き、中国メーカーだけでなくそれ以外の国のメーカーもハイエンドからエントリーまでくまなくラインアップをそろえている。年に1〜2機種程度しか市場に投入するXiaomiですら、「Mi3」「Mi2A」「Mi2S」「紅米」と4機種を用意してユーザーに製品選択の幅を広く提供している。さらに、多くのスマートフォンメーカーは中国向けモデルとして、中国主要携帯電話事業者の中国移動(TD-SCDMA)、中国聯通(W-CDMA)、中国電信(CDMA2000)それぞれの通信方式に対応したモデルを用意しているので、実質的な製品の数は20モデル以上にも達する。
このように中国の各メーカーは多品種の製品展開をしているが、その中で最も販売台数が多いのは「1000元スマートフォン」と呼ぶ1000元台(約1万6000円〜2万6000円)の製品……“だった”。
1000元スマートフォンの登場以降、各携帯電話事業者がプリペイドの2年契約で実質無料でスマートフォンを購入できるプランを提供することで、中低所得者でも購入できるようになり、スマートフォンの販売数は右肩上がりの成長を続けている。
その1000元スマートフォンも、最新のモデルではクアッドコアプロセッサや5インチ以上の大画面ディスプレイを搭載したハイエンド製品が続々と登場している。だが、ユーサーの誰もがハイエンドモデルを求めているわけではなく、それを示すかのように、デュアルコアプロセッサで4インチ台のディスプレイを搭載した低価格モデルが次々に登場している。今では、ミドルレンジクラスのスマートフォンの価格でも1000元を切ることが当たり前となり、エントリークラスの製品では500元(約8400円)以下というモデルが各社から多数登場するまでになっている。
では、中国のスマートフォン市場は、2013年後半からどのような価格のモデルが多く販売しているのだろうか? EnfoDeskの国内スマートフォン販売数調査報告を見ると、2012年第2四半期は1001元から2000元の「1000元台スマートフォン」が全体の約半数で、それに次ぐのが1000元以下の製品が23.3パーセントで続いていた。全体で見ると2000元以下の製品が全体の7割を占めており、中国のスマートフォンの売れ筋は1000元スマートフォンが価格帯の中心を占めていたのだ。
ところが2013年第2四半期のデータを見ると、1000元台スマートフォンのシェアは約3割にまで後退する一方で、1000元以下の製品が40.8パーセントと全体の4割を占めるまでに成長している。なお、ここで言う「価格」とはSIMロックフリーモデル単体の一括購入における価格だ。
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