「好奇心」と「感動」がソニーのモノ作りの原動力――平井社長が基調講演で語る2014 International CES

» 2014年01月08日 20時41分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 2014 International CESの開催初日、オープニングセッションにソニーの代表取締役社長兼CEOの平井一夫氏が登壇。基調講演を行った。

photo 基調講演を行うソニーの平井一夫代表取締役社長兼CEO

イノベーションを生み出すには好奇心が必要

 平井氏はまず最初に自分の子供時代の体験談を話し、テレビで子供番組を見ているうちに「テレビを通して自分の知らない世界と通じ合える」ことを体験。一方でテレビの中の世界と自分のいる現実の世界のギャップを通じ、「なぜだろう?」「どうしてだろう?」という好奇心が常に湧くようになったという。「この好奇心がイノベーションを生み出すために最も必要であり、好奇心こそが新しい技術や製品を開発し続けるソニーの原動力になっている」

 しかしソニーの船出は順風満帆だったわけではない。「1979年に発売されたWalkmanや1994年発売のPlayStationなど、人々に新しい経験を与えた製品がある一方で、規格競争に負けたビデオのベータマックスなど、失敗の経験も多数積み重ねてきた」と平井氏は振り返る。だが失敗することよりも、新しいことにチャレンジすることが重要だと説く。ベータマックスも発売時は「好きな時間にテレビが見られる」「過去の番組を繰り返し見ることができる」という、それまでのテレビにはない自由なコンテンツ視聴を可能にした。また、コンシューマー向けには失敗したものの、業務用途にはベータカムとして業界で広く使われ成功を収めたことから、「失敗したアイディアでも、それを進化させることで、ユーザーニーズ応えられる」とした。

photo 失敗した製品もあるがチャンレジするころが重要である

ユーザーは製品に対する情緒的な価値も求めている

 ソニーの商品開発の根本にある精神は「感動」を与える製品作りだという。「ユーザーが製品に望んでいるのは、製品価値や機能だけではない。その製品を使うことや所有することで得られる情緒的な価値も求めている」(平井氏)

 例えばコンテンツやゲーム配信、そしてテレビ番組などは今やクラウド化され、いつでもどこでも視聴できる便利な時代になった。だが「その利便性だけでは消費者に大きな感動を与えることはできない」と平井氏。臨場感ある4Kコンテンツや、息をのむような瞬間をそのまま伝えることができるようなハイレゾオーディオなど、最新テクノロジーを通じ、消費者に新たな感動を与えることができる製品――それがソニーの製品だとした。

 「感動を与えるためには、移り行く時代の中で常に消費者の行動や文化を見続けていく必要がある。例えば最近の若い世代は、生まれたときからテクノロジーを使うことに慣れている。そのような若者たちはテクノロジーに使われるのではなく、自分たちでそれをツールとして使うことが当たり前のものになっている。では彼らの世代にどんな製品で感動を与えられるのか? それは過去の成功体験ではなく『新しいことにチャレンジすること』、つまり我々がさまざまな挑戦を繰り返していくことで見つけ出せるだろう」(平井氏)

Playstation 4はゲーム体験を大きく変える

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のアンドリュー・ハウス社長は、ソニーのゲーム端末「Playstation 4」が、発売以来すでに420万台が売れているヒット商品になった述べたが、そのゲーム体験を無限に広げるために、さまざまな端末で利用できる「PlayStation Now」を発表した。PlayStation Nowはクラウドベースのサービスであり、スマートフォンやタブレットなどからも利用できる。「リビングに据え置きのゲーム体験を大きく変え、消費者に新しい感動を与える製品になるだろう」と胸を張った。

photo PlayStation Nowを発表するSCEアンドリュー・ハウス社長

4K対応の小型プロジェクター「Life Space UX」から見える未来

 平井氏は「子供時代のテレビで見て驚いたりびっくりしたものは、今や現実のものとして手の届くものになっている」と話す。しかし今でも「次は何が起きるのだろう?」という好奇心を持ち続けており、それが自身の仕事での情熱につながっているとのこと。そしてその好奇心を通じ、これからも多くの人々に感動を与える製品を提供し続けていきたいと同氏は考える。

 ソニーはテレビ、ゲーム、モバイル端末、放送機器などさまざまな製品を販売している。またコンテンツ配信やソーシャル連携についても余念がない。しかしまだ物理的な制約があり、思い描いているサービスのすべてを実現できているわけではない。これからも、その境界をなくしていくような製品を開発していきたいとした。

 その一例として平井氏は「Life Space UX」という4K対応の小型プロジェクターを紹介した。この製品は、家庭内のどこにでも設置できる147インチのプロジェクター。映画はもちろん、景色を投影することで、家の壁をまるごと窓のようにもできる。さらに、コンサートや海辺の映像などを映し出すことで、リビングや自宅での仕事部屋の環境を自由に変えられる。Life Space UXは2014年の夏に米国で発売される予定だ。

photo 家庭の壁を「窓」にする「Life Space UX」は、ハード、ソフト、コンテンツを融合させた製品だといえる

 世界、そして将来に向けて、ソニーは「感動」をキーワードとして製品を開発していく構え。「CES 2014のソニーブースにも、その感動が詰まった製品が多数展示されているので、ぜひ来場して感動を味わってほしい」(平井氏)

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