ドコモ新料金プランの不満・疑問を開発担当者にぶつけてきた――「家族長期利用者を囲い込むのが狙い。単身者の不満は想定済み」石川温のスマホ業界新聞(1/2 ページ)

» 2014年05月02日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモが発表した「カケホーダイ&パケあえる」に対して、ユーザーの反応はおおむね良好のようだ。業界関係者の間でも、NTTドコモがまさか完全定額制を導入するとはという驚きの反響が多かった。

 とはいうものの、従来とは異なる全く新しい料金プランになるため、ユーザーからは戸惑いの声も聞かれるのも事実だ。

 そんなユーザーの声にドコモはどう答えるのか。今回、料金変更を担当したNTTドコモ・経営企画部、吉田英樹料金制度担当課長に代表的な不満や疑問点をぶつけてみた。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年4月26日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


「石川温のスマホ業界新聞」バックナンバー

―― 音声定額制の導入を決めたのはいつだったのか。

吉田氏 いつからというものはない。料金担当として、十数年間、毎日、料金について考えている。今回のプランは海外、特にAT&Tやベライゾンを参考している。NTTドコモの弱みをなくしていくために考えたプランと言える。

―― NTTドコモの弱みとは何なのか。

吉田氏 弊社の料金は、あまり理解されていない。高い安いというよりも、複雑でわかりにくいと思われており、見てもらえていない。イメージが先行しているのを苦々しく思っている。

―― やはり【ドコモは高い】というイメージも残っているのか。

吉田氏 ドコモは高いというイメージを持たれていると思います。Xiはパケホーダイ・ライトを出しており、他社よりも安いが、プロモーションが悪いのか、設定が悪いのかユーザーに上手く伝わっていない。ただ、実際に窓口では多くの人がパケホーダイ・ライトを契約している。ドコモに対するイメージを根本から変えたいというのはあった。

―― ドコモ社内としても、かなりの決断があったのか。

吉田氏 かなり議論した。決断までは相当な議論、相談をした。反対、賛成の意見が分かれ、時期尚早という声もあった。

 だが、今回は思い切った。料金戦略は差別化が難しい。サービスや端末は明らかに違いを出せるが、プライシングは誰でもできる。

 一般的に、トップは何もせず、2番手、3番手が料金を仕掛けるのが経営の王道。iモード全盛時代はまさにそうだった。iモードが強かったので、他社が攻めてきたら、カウンターパンチを当てていればよかった。

 しかし、いまではスマホ、iPhoneであり、MNPで万年3位。弊社は強くない。競争力がなく、パケホーダイ・ライトを入れても他社は追随してこない。他社はその弱みにびくともしない。ドコモが負けている状態。

 iPhoneで端末は追いついた。それでも弊社が弱く、危機感を持っていた。

―― 他キャリア関係者に言われると「完全音声定額制はドコモだから実現できた」という声もある。接続料を考えると、やりやすい立場と言えるのか。

吉田氏 若干、社長と私の見解は違う。私としては他社は追随してくると思っている。社長は追っかけにくいと思っているようだが。プライシングは、すぐに追随できると思っており、それを前提にしている。

 固定事業者がNTTだからやりやすいという指摘があるが、導入する上での議論のなかで、そこは全く考えていない。ドコモが40%、他社が30%ずつのシェアで有利と言われているが、この差は小さい。

 われわれの現場レベルではドコモの経営しか考えていない。NTTグループでのアクセスチャージが増えるという視点はなかった。

―― となると、固定宛ての接続料もNTTドコモのコストとして捕らえているのか。

吉田氏 そうですね。今回のプランで通話は増えて欲しいと思っている。メール文化をつくったのは我々だが、通話のコミュニケーション、長電話をして欲しい。ただ、回数は増えると思うが、実際に長電話が極端に増えるとは思っていない。

―― 通話定額は1回10分までというのも検討したのか。

吉田氏 しましたね。そこはいろいろ議論はありました。制限を設けるか設けないかは議論したが、いろいろ難しい。

―― 制限を設けなくてもいいという判断はどこからきたのか。

吉田氏 社内のデータもあったし、ドコモ内でやっていた(Xiカケホーダイの)実績があった。もちろん、FOMAのような無料通話のバンドルも検討した。

 ただ、それよりもお客様の反応、お客様を考えたときに、どれが受け入れやすいのか、インパクトがあるのかという観点で決めた。

―― 新料金プランではフィーチャーフォンにも対応したのには驚いた。これまでの常識であれば、スマホだけ音声定額制にして、フィーチャーフォンからスマホへの移行を促進させるべきという考えになりそうなものだが。

吉田氏 結論からいうと家族。Xiだけにして、FOMAからXiスマホへの移行を狙うのもあったし、VoLTEのみというのも検討した。

 だが、我々の強みはなんだろうということになった。iPhoneの導入が遅れ、若年層が他社に流れた中、我々の経営を支えてくれたのは、お父さん、お母さん世代だった。20年契約の人もいる。そのあたりを含めて対処する必要があった。

 (フィーチャーフォン向けプランを残すことで)Xi移行が進まないという意見もあったが、そこは料金担当者としてはサービスや端末で対処していくべきだと思っている。

 ドコモのお客様を囲い込むというなかで、FOMAを外すという選択肢のはあり得なかった。

―― 実際に新料金プランを発表してみて、ユーザーの反響はどうか。

吉田氏 反応は大きい。料金プランは数年ごとに改定をしているが、SNSが普及して、伝わり度合いが早いという印象がある。時代が変わった。批判的な意見もあるが、好意的な声のほうが多い。この手の料金改定は批判的なものが多くなりがちだが、今回はいままでとは違う。

―― 批判の中には基本料金が高いと言う指摘もあるようだ。

吉田氏 基本料が高い。パケットが高い、少ないとか。ありとあらゆる批判がある。

―― もしかして、2700円という設定は値下げ余地を残しているのか。

吉田氏 ……。

―― VoLTE向けプランは2700円よりも安くなるのか。

吉田氏 ……。

―― パケットを家族で分け合うのは難しくないか。昔の家族はテレビのチャンネル争いをしたが、2014年はパケット残量を争うようになるのか。

吉田氏 人によるが、(パケット残量を)見る方はすごく見るんだと思う。7GBを契約している人の多くは、7GBがあっても見ていない。ケータイを使うときに、気にしていない。昔からそう。

 実際に、今月、1GB余っているからdビデオで動画を見る、いうのではなく、『いまビデオが観たい』からパケットを消費していく。残りのパケット数は関係ないというのが基本にある。

 パケット利用量は月による変動も大きい。

 (家族での分け合いについては)家族における会話のひとつのきっかけになってくれればいいというのもある。家族での争いというか、会話のきっかけになると、それもまた面白いのではないか。なんでそんなに使ったのか、という親子間での音声通話につながってくれれば個人的には嬉しい。

―― 長期割引は16年という設定があるが、結構長いように感じる。この16年という設定はどこからきているのか。

吉田氏 プレミアクラブの設定にほぼ合わせている。ファースト、セカンド、サード、プレミア、グランプレミアとあり、その年数の区分と合わせている(筆者注、プレミアクラブでは15年以上という表記になっているが、それぞれが数え方が違うためズレが生じているが、結果としては同じになる)。

―― 16年が適用されるユーザーの割合はどれくらいいるのか。

吉田氏 一定程度いる。結構、いる感じ。特に男性社会人、30代、40代、50代。

―― 今回の新料金プラン、そもそもわかりにくいという声もあるが。

吉田氏 わかりにくくなったというご指摘はその通り。その理由としてあるが、ユーザーは基本料金、パケット、ISPというこれまでの料金プランに慣れている。

 全く新しい料金プランは基本の考え方を変える必要がある。変化に対して、人は難しいと感じる。いま、弊社のスタッフを含めて、研修に全力を上げている。

 社長からも全社員がこの料金プランを覚えろと指示が出ている。営業、フロントだけでなく、ドコモとして新たなステージに行く中で、この料金体系は全社員が覚えるべきだとしている。

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