ドコモより一足先に発表会を行ったKDDIは、5月21日に「au WALLET」のサービスを開始した。ただし、システムは稼働させたが、肝心のカード自体は21日から生産を開始したという。事実上、今週末から来週にかけての開始と見てよさそうだ。なお、イベントにゲストとして駆け付けた所ジョージさん、藤本美貴さんには特別にカードが発行されており、利用もできたという。
21日のイベントに登壇した、取締役専務執行役員の石川雄三氏によると、21日時点でau WALLETカードの申し込み数が20万2299件に達したという。このペースは「5.3秒に1枚が増えている。今しゃべっている間にも枚数が増えている」と自信をのぞかせた。店頭での申し込みが21日からだったことを考えると、このペースはさらに上がる可能性がある。
au WALLETは、MasterCardと提携した、リアルな店舗で利用できるプリペイド型の電子マネー。「使われる回数でいえばクレジットカードの3割、相当な市民権を得てきた」(石川氏)という電子マネー市場を意識して開発されたサービスだ。マスターカードのクレジットカードと同様、磁気ストライプのカードとなり、同ブランドに対応するリーダーであれば、どこでも読み取ることができる。世界3810万の加盟店で使えるのは、そのためだ。
とはいえ、電子マネーはau WALLETが持つ2つの顔の、片面でしかない。au WALLETはauのポイントプログラムと連携しているためリアルな店舗でポイントを使えるのと同時に、リアルな店舗での買い物でポイントがたまる。これまでは、端末の買い替えや周辺機器の購入などにしか使い道のなかったポイントが、通貨に近い感覚で利用できるところにインパクトがある。
20万を超える申し込みは、キャンペーンが功を奏した。申し込みをするだけで1000円がプレゼントされたり、au WALLETへの初回チャージが10%増額されたりと、さまざまな施策を用意。これらを組み合わせれば、最大で総額4750円を受け取ることが可能だ。20万のユーザーすべてがこの額を受け取れるわけではないが、仮にこれらのキャンペーンを全員が活用したとすると、その額は9億5000万円。これに加えて抽選で当たる4億円(1万人に4万円)や、店舗でのポイント増額などを考えると、KDDIの気合の入れ方が理解できるだろう。
店舗での申し込みが始まった21日からはさらにペースが上がっている可能性もありそうだ。また、KDDIが三菱東京UFJ銀行と共同で設立したじぶん銀行とのシナジー効果もあったようだ。石川氏によると、「じぶん銀行の口座開設がデイリーで3〜4倍ぐらいに増えている」と言い、チャージ額が5%増えるキャンペーンが成功していたことが分かる。
au WALLETは、石川氏が「auポイントから移行していただくもの。自動移行はしないが、せっせとご案内を出している」と述べているように、既存のポイントプログラムを置き換えるものだ。また、「au WALLETにしかポイントもつかなくなる」(同)。auのポイントは4月利用分から付与が終了しており、11月末までにau ID発行の手続きをしないと消滅する予定だ。
ポイントはau IDさえ発行していれば「WALLETポイント」としてたまっていくが、カードを作ることでのデメリットは特にない(しいて言えば、財布の中のカードが1枚増えてかさばるぐらいだろう)。こうした事情を考えると、auポイントからWALLETポイントに移行したユーザーが、どうせならとカードを発行することも十分考えられる。発行数のペースはさらに上がっていきそうだ。
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