ドコモ夏モデルとVoLTEの狙い/好発進の「au WALLET」/au回線を活用した「mineo」の新しさ石野純也のMobile Eye(5月12日〜23日)(3/3 ページ)

» 2014年05月23日 22時55分 公開
[石野純也,ITmedia]
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au回線を活用した「mineo」が6月から開始、端末のセット販売も好調

photo 6月3日からサービスを開始する「mineo」

 5月12日から23日にかけての2週間は、ドコモやKDDIといったMNOだけでなく、MVNOにも大きな動きがあった。関西圏でFTTHのサービスを提供するケイ・オプティコムは、5月15日にMVNOとしてモバイル通信事業に参入することを発表した。新サービスの名称は「mineo」。料金はSIMカードのみで、1Gバイト月額980円(税別、以下同)となる。音声通話つきは月額1590円で、通話料は30秒20円。どちらのプランも、1Gバイトを超えた場合は、通信速度が200Kbpsに制限される。100Mバイトあたり150円で追加容量を買うことも可能だ。

photophoto 料金は1Gバイトで980円。音声通話つきのプランも用意する

 格安SIMとしてにわかに注目を集めているMVNOだが、そのほとんどがドコモから回線を借りている。今回発表されたケイ・オプティコムのmineoが他社と大きく異なるのが、KDDIの回線を利用している点だ。もともと、KDDIとケイ・オプティコムは「auスマートバリュー」で連携していたが、mineoでau回線を選んだのは「希少価値があるから」(ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャー 津田和佳氏)だそうで、次のように語った。

 「今のMVNOはドコモさんの回線が大半だが、我々がドコモさん以外の事業者を選ぶことで、MVNOの提供するサービスを利用したいお客様の選択肢が広がる。また、今、ドコモさんのMVNOをやっても、すでに先行しているところがある。逆に希少価値のあるauと組んだ方が得策と考え、今回auを選んだ」

photo 新サービス投入の狙いを語る、ケイ・オプティコムの津田氏

 MVNOはMNOから回線を借りて事業を行うが、この貸し出し料ともいえる「接続料」が今最も安いのはドコモだ。そのような中、あえて割高なKDDIを選んだのは、他社との差別化になるという判断が働いたからだ。LTEのエリアが実人口カバー率で99%を超えてる点も、評価されたのかもしれない。

 ケイ・オプティコムがもう1つの差別化要素として考えているのが、端末の提供だ。mineoでは、京セラ製の「DIGNO M」をセットにしたプランを用意。端末価格は4万8000円で、24回払いの場合、通信量と込みで月額3590円となる。1000名限定でこの料金が2610円になる先行予約キャンペーンも開始したところ、翌朝には予定数に達してしまったといい、好評を博していることが分かる。

photophoto 端末は、京セラ製の「DIGNO M」を販売する
photo 1000名限定で毎月の料金が2610円になるキャンペーンも実施した(現在は終了)

 京セラ製の端末を用意したのは、もともとauで販売されていたからというのはもちろん、分かりやすさを重視したため。先の津田氏も「各社端末とのセット販売をしているが、海外製だったり、速度が出なかったりいろいろ。MVNOを使っているから端末の魅力が劣るというのでは、楽しく豊かなモバイルライフに到達できない」と述べ、他社との違いを強調した。

 実際、MVNOでも端末をセットで販売するケースも増えているが、まだLTE対応のものは数えるほどしかない。単体で販売されるSIMフリー端末も、LTE対応となると「iPhone 5s/5c」「Nexus 5」「TORQUE」などに選択肢が限定されてしまう。こうした中で、LTEにきちんと対応した、MNOと同じ端末をセットで販売するというのがケイ・オプティコムの戦略だ。こうした差別化が功を奏し、予約数は端末あり、なしを合わせて6000(5月20日時点)を突破した。

 一方で、いくら回線が安くても、端末が大手キャリアと同じではコストに敏感な層は動かない。ケイ・オプティコムもこうしたユーザーを狙い、「機能を絞ってできるだけ安くしたものと、最新のもの、2面でそろえていきたい」(津田氏)とラインアップは拡充していく方針だ。料金プランについても、「今は1Gバイトのみだが、2Gバイト、3Gバイトともっと容量の大きなもの。ほかには1日だけといったプリペイド方式など、いろいろなメニューを検討している」とのことで、期待が持てる。

photo 夏以降、端末や料金プランを拡充していく方針だ

 ケイ・オプティコムは「黒字化して軌道に乗せる節目が100万。5年以内に100万契約を突破したいという希望はある」(代表取締役社長 藤野隆雄氏)といい、MVNOを事業の次の柱にしていく方針だ。予約数は5月20日時点で端末あり、なしを合わせて6000を突破したそうで、好調な滑り出しとなった。ただし、当面のプロモーションは「Webを中心に展開していく」(津田氏)ため、量販店などのリアルな店舗では販売されない。プロモーションなどもWebに絞って行われるため、すでに店頭販売やテレビCMを行っている他社とどこまで渡り合えるのかは未知数だ。とはいえ、これまでドコモ回線一辺倒だったMVNOに選択肢が広がり、料金やサービスに多様性が生まれることを、まずは歓迎したい。

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