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» 2014年07月08日 15時43分 公開

ようやく始まった台湾の4Gサービス――通信キャリアとメーカーの激しい競争が勃発(2/2 ページ)

[山根康宏,ITmedia]
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端末メーカーも積極的に4Gスマホを投入

 各社の4G開始で端末メーカーの間にも活発な動きが起きている。地元台湾のHTCはフラッグシップモデル「HTC One(M8)」を台湾各社のFDD-LTE全周波数に対応させ、各事業者の店舗でも4Gへの対応を大々的に打ち出している。一方、Samsung Electronicsは新製品「GALAXY S5」の4G対応を大きくアピール。各事業者の4Gの「顔」ともいえるほど、販売店では大きな広告が目立っている。3G時代にはこの2社に加え、Appleとソニーモバイルコミュニケーションズを加えた4社が販売シェアの上位争いをしていたが、LGエレクトロニクスも7機種の4Gスマートフォンを販売するなど、シェア争いに加わってくるだろう。

photophoto HTCストアでも4Gを強力にアピール(写真=左)。どの事業者の店舗店頭でも見かける「GALAXY S5」の広告(写真=右)
photophoto 4Gスマートフォンでシェア奪回を狙うLG(写真=左)。ソニーモバイルも4G機を重点的に投入している(写真=右)

 各社が4Gを開始した2014年6月時点での4Gスマートフォンの種類は41機種。このうち台湾各社のLTE全周波数(700/900/1800MHz帯)に対応するモデルは6機種のみだった。これが6月末時点では全52機種、全周波数対応は10機種と製品の数は増えている。今後各メーカーは上〜中位機種は全周波数に対応、中〜下位機種は事業者ごとに周波数を分けたモデル、と作り分けて製品を投入してくるだろう。

 さて、これら大手メーカー以外にも新機種の投入が活発化している。PC大手のASUSは低価格スマートフォン「Zenfone 5」が台湾で大ヒットしており、2014年5月には台湾国内で最も売れた端末となった。2014年7月には台湾のLTE全周波数に対応した「Zenfone 5 (A500KL)」を販売予定で、4G端末市場で一気にシェア上位に躍り出る可能性もある。ほかにもBenQが低価格な「BenQ F4」を、EMS大手Foxconnが「InFocus M510/511」を販売。3G時代には大手メーカーに太刀打ちできなかった台湾メーカーが4Gでどう巻き返しを図るのか注目される。

photophoto 台湾でヒット中のZenfoneはLTE版も投入される(写真=左)。エントリーからハイエンドまでInFocusのスマートフォンもメジャーになってきた(写真=右)

2社は3G事業者と合併、WiMAXを含め業界再編が始まる

 大手3社にサービス開始で遅れを取っている亜太電信、國碁電子、台湾之星の間では大きな動きが起きている。まず國碁電子と台湾之星は4G免許しか取得しておらず、音声サービスの提供やインフラ整備の点から既存の3G事業者との提携は必須とみられていた。また3Gをサービス提供しながら4G免許落札に参加しなかった威宝電信の動向にも注目が集まっていた。

 その威宝電信は、台湾之星が買収して完全子会社化し、新会社で3Gと4Gを開始することとなった。台湾之星では新ブランド「T Star」で早ければ2014年7月中にもサービスを開始する予定だ。ちなみに、威宝電信は3G市場への参入が2005年と遅く、加入者数で大手3社に引き離されている。また台湾之星も親会社は食品大手の「頂新集団」であり通信ビジネスへは初参入だ。そこで、台湾之星は韓国の通信事業者「LG U+」と提携。同社が韓国国内で4Gシェアを一気に高めたノウハウを参考に、台湾でも加入者の獲得増を目指そうとしている。

photophoto 台湾之星に買収された威宝電信。4G免許はないものの、先行して予約受付を行っている(写真=左)。威宝電信の店舗には台湾之星の名前も掲げられている(写真=右)

 一方、國碁電子は亜太電信と合併し、FDD-LTEと亜太電信がサービス提供中のCDMA2000の両方式で3G/4Gを展開することとなった。合併により両者の所有する4G周波数帯域は國碁電子の20MHz、亜太電信の10MHzを合わせ30MHzとなる。これは新規参入する台湾之星の10MHzを大きく上回るだけではなく、中華電信の35MHz、遠傳電信と台湾大哥大の各30MHzに並ぶものであり、本格的に4Gを展開していく上でも優位に立てそうだ。國碁電子はFoxconnの子会社であり、ビジネスを端末製造だけではなくネットワークソリューションへと拡大するためにも、台湾での4G事業へかける意気込みは強い。

photophoto 4Gの準備を進める國碁電子(写真=左)。亜太電信のWebページには「4G」の文字はない。國碁電子主体で4Gを開始するのだろうか(写真=右)

 このように、台湾の携帯電話市場は4G開始で大きな盛り上がりを見せている。だが忘れてはならないのが既存のWiMAXサービスだ。6社あったWiMAX事業者は現在4社に再編されており(うち1社は携帯電話事業者の遠傳電信)、免許の更新時期が2014〜15年に迫っている。台湾の国家通信放送委員会(NCC)は、2014年3月にWiMAXで利用している2600MHzの再整備案を発表。190MHzの帯域のうち、140MHz分をFDD-LTEに(Band7)、残りの50MHzをTD-LTE(Band38)として再編する予定だという。なお、WiMAX事業者が免許延長を願い出た場合、WiMAX方式の場合は延長6年、LTE方式を選択した場合は15年の延長を許可する予定だ。一方、延長の申し出が出ない場合はオークションによって免許が再発行される見込みだ。

photophoto 「4Gを待つ必要なし」と訴えるWiMAX事業者の全球一動(写真=左)。低料金や無料キャンペーンも限界。国策もあり、WiMAXはLTEへ変換となるだろう(写真=右)

 NCCの統計によれば、台湾のWiMAX加入者数は2014年4月時点で10万強に過ぎない。これは携帯電話総加入者数約3000万の1%にも満たない数字だ。このわずかな加入者が190MHz分もの帯域を使っているのは電波利用の効率から考えても無駄であり、台湾の4G普及のためにもLTEへの転用は必須だろう。国内の通信産業の活性化を図る政府の狙いもあり、台湾の通信業界はこれから4Gを中心に大きな動きが見られそうだ。

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