10月7日〜11日に開催されている「CEATEC JAPAN 2014」にて、スマートウォッチ、活動量計、体組成計、スマートグラスなど、各社がさまざまなウェアラブル製品を展示している。製品だけでなく、ウェアラブル業界の実態や課題など、説明員の話も交えながらまとめて紹介していきたい。
ウェアラブルの中でも健康・スポーツの分野はキャリアや大手・中小メーカーなどさまざまな企業が入り乱れて参戦する激戦区になっている。米Fitbitが提供する活動量計「Fitbit」シリーズは、リストバンド型の「Fitbit Flex」の日本展開に意欲的だ。スマートフォン向けアプリでは、歩数や消費カロリーだけでなく、カロリーの摂取状況がより分かりやすくなるように10万件以上ある食品データベースも利用できるのが特徴だ。
エムティーアイは生理周期の予測や女性の健康管理に特化したサービス「ルナルナ」を筆頭に、女性向けのサービスに強みを持つ。専用のゴムバンドやベルトで腕にはめるタイプの活動量計「カラダフィット」は2980円(税込)と他社製品と比べて低価格なのが特徴だ。Android向けにはNFCを搭載し、iOS向けにはBLEを採用している。直径27ミリ、厚さ9.1ミリと小型ながらも3D加速度センサーを備え、消費カロリーや移動距離、歩数のほかに睡眠時間も計測できる。
体組成計でおなじみのTANITAは、スマートフォンとBluetoothで連携する「体組成計 インナースキャンデュアル」シリーズや、iPhone専用の活動量計「カロリズム」を展示。かわいい女の子のキャラクターがユーザーの運動を応援する「ねんしょう!2+」や、ユーザーが運動することで太った男性キャラクターふとしがイケメンに変身していく「ふとしの部屋」など、ユニークなスマホアプリと連携することでユーザーが運動を続けるモチベーションを維持させる取り組みをしている。説明員は、「体組成計やダイエットというと女性が使うイメージだが、実際は男性を意識したデザインにしたこともあり、男性ユーザーが多い。男性はきっちりトレーニングした結果を数値化して管理していく傾向がある」と話す。
カロリズムは、ユーザーが安静状態なのか、歩いているのか、走っているのか、日常生活を送っているのかなどをセンサーで自動検知する機能を備える。
加賀ハイテックは、スイスのスマートウォッチメーカー「MYKRONOZ」の腕時計型デバイスを展示。防水性能を備えた「ZeSplash」、腕時計型の「ZeWatch2」、ブレスレット型の「ZeBracelet2」、リストバンド型の「ZeFit」の4製品をラインアップする。ZeFit、ZeWatch2、ZeBracelet2は運動や睡眠などを計測できる活動量計として利用できる。ZeWatch2は男性向け、ZeBracelet2は女性向けを意識したデザインだ。説明員によると、「Fitbitやナイキの『Nike+ FuelBand』などが出てきたことで、睡眠に対する意識が高まっている。睡眠状態の記録に特化した『SLEEPTRACKER』も、出張の多いサラリーマンや新生活に慣れない学生などに安定して売れ続けている」ということだ。
説明員が「ガジェット好きなアーリーアダプターを中心に売れている」と話すのが、エプソンのスマートグラス「MOVERIO」だ。microSDに取り込んだ映画のデータをグラスを通して見ることを第一義的な目的としているが、アプリケーションを追加することで、観光地でARを使った説明を表示したり、外国語のオペラや演劇の際にグラスに日本語字幕を表示させたりと、使い方は多岐にわたる(いずれも実証実験の段階)。両目タイプのグラスであることも特徴だが、シースルータイプは屋外に出ると画像が薄く表示されて、はっきりと視認しにくい面もある。
標準で搭載されるコントローラーにはBluetoothやWi-Fiを搭載し、グラス本体にはGPSを採用。説明員は「通話機能はあえて搭載していないが、通話アプリを追加することで実質的には通話することも可能だ」と説明する。本体にはカメラも搭載されており、コントローラーでシャッターを切ることが可能。今後ウェアラブルが普及していく上で盗撮の問題なども顕在化していくことになりそうだ。
他社との差別化について聞くと、説明員は「他社製品では家庭内でのみ楽しむものがあるが、MOVERIOは電車の中で映画を見るなど屋外でも楽しめる。クックパッドのレシピをグラスに投影しながら料理をするなど、これまでPCやスマホなどに視線を移動させないといけなかった煩わしさから解放されていく」と語った。通常価格はヘッドセットとコントローラー合わせて6万5000円だが、アウトレット品だとエプソンダイレクトショップにて2万4980円で購入できる。
また、オムロンはVUZIXが提供するグラス型のハードウェアにリアルタイム翻訳アプリ「TranScope」を搭載した展示を披露。同アプリはオムロンが従来より有料アプリとして提供していたものだが、今回はウェアラブル向けに開発したものを試験的に紹介している。日本語、英語、韓国語、中国語に対応しており、該当言語の標識や料理メニューなどをグラスから見ると、グラスに翻訳された文字が表示される。商用化に至っていない理由は「まだハードウェア市場が成熟していない。さらにウェアラブルの市場が盛り上がってユーザーのニーズが顕在化すればアプリの商用化も検討していきたい」(説明員)とのことだ。
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