KDDI(旧KDD)、米AT&T、ハワイアンテレコムが1964年に運用を開始した、世界初の太平洋横断電話ケーブル「第一太平洋横断ケーブル(以下、TPC-1)」が、「IEEE マイルストーン」に認定された。IEEE マイルストーンは、電気、電子、情報関連の分野で特に優れており、社会に大きく貢献した発明や技術開発をたたえる制度。発明・開発から25年以上が経過したものが認定の対象となる。
1964年から1990年まで運用されていたTPC-1は、日米間の国際電話を実現した世界初の太平洋横断電話ケーブル。日本からグアム、ハワイまでの約1万キロメートルに渡って敷設された。当時の国際電話で一般的に使われていた短波通信には、接続に40〜50分かかる、雑音が多い、相互に同時に会話ができないなど、現在の国際電話では考えられないような問題があったが、TPC-1によってこれらの問題が解消された。
TPC-1の技術は、その後の光ファイバー海底ケーブル建設技術の基礎となり、現在の主要な通信インフラ技術に大きく貢献したことが認められ、IEEE マイルストーンに認定された。
2016年には、光ファイバーを用いた、日米をつなぐ新しい太平洋横断ケーブル「FASTER」の運用を予定している。伝送容量は60Tbpsで、電話7.2億回線分をカバーする。日本ではKDDI、米国ではGoogle、中国ではChina Mobile、China Telecomが出資している。
贈呈式に登壇したKDDIの田中孝司 代表取締役社長は、「このような立派な賞をいただけたのも、諸先輩方、メーカーさん、NTTさんのご支援があったからだと認識している。長年の技術の進歩は計り知れないと思っている。50年の間に、海底ケーブルは光ファイバーと波長多重技術によって非常に進歩し、2016年にはFasterというケーブルが日米間で運用を開始する予定」と喜びを語った。
52年前の太平洋横断ケーブルは、日米の国際電話のために建設されたものだが、現在はインターネットや携帯ネットワークの基幹網としての役割も担っている。KDDIによると、新たにFASTERを建設したのは「太平洋を横断するトラフィックの中で、スマートフォンでYouTubeなどの動画視聴が増えたこと」が1つの要因になっているようで、スマホの普及が新技術の運用を加速させたと言っても過言ではない。
KDDIは、2020年の東京オリンピックに向けて、放送分野では8K動画の商用化、通信分野では10Gbpsを実現する第5世代通信サービスの提供を目指す。
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