各社が「5G」への取り組みを展示――Ericssonは5.3Gbpsを実現、“免許不要”の「LTE-U」も注目集めるMobile World Congress 2015(1/2 ページ)

» 2015年03月13日 16時30分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 2014年から通信事業者やベンダー各社が本格的に取り組み始めた「5G」通信の試み。3月2日〜5日にスペイン・バルセロナで開催された世界最大規模のモバイル関連見本市「Mobile World Congress 2015」でもさらに大きな注目を浴びていた。

 モバイル業界の話題は最新のスマートフォンやウェアラブル端末が中心だが、例えばスマートウォッチはスマホを介してネットに接続するし、新たにSIMカードが入る機種も登場している。さまざまな機器がつながるIoT(Internet Of Things:モノのインターネット)の時代が現実のものになりつつあるが、ネットにつながる機器が爆発的に増えるため、これを支えるには5Gなどネットワークの進化なしには実現が難しい。

2020年の「5G」実現に向け、協力ベンダーを増やすドコモ

 5Gは各社が2020年までの商用化を目指している次世代の通信規格だ。その通信速度は最大10Gbpsを実現するともいわれている。MWC 2015では、Ericssonがブースに5Gの基地局と端末を持ち込み、実際の通信を見せていた。デモは、15GHzの周波数帯を用いて400MHzの帯域幅(100MHz帯4本のキャリアアグリゲーション)と4×4 MIMOを用いた環境で行われた。端末はカートに乗せられ、歩く程度の速度で移動させることもできる。通信速度は下り5.3Gbpsを実現し、会期中に最大5.8Gbpsを記録したこともあったという。

photo Ericssonの5G通信デモ。手前のカートに載せられているのが現時点で端末で、左上に設置された四角形の基地局と通信していた

 同社をはじめ、Alcatel Lucent、富士通、日本電気(NEC)、Nokia Networks、Samsung Electronicsらと5Gの実験で提携しているのがNTTドコモだ。ドコモブースでも5Gは大きな注目を集め、2月にEricssonと屋外実験で下り4.5Gbpsを実現したことを紹介していた。

photo NTTドコモのブースでは、屋外で4.5Gbpsを、屋内で5Gbpsを実現したことを案内

 またドコモは、Nokiaの「mmWave」技術を用いた実験も披露した。これは70GHz帯という高い周波数帯を使い、移動する端末に電波をビーム状に発射して追従させる技術。帯域幅は1GHzで、歩行速度で移動する端末が2Gbpsの通信を実現したと報告していた。このデモはNokiaブースでも行われていた。

photophoto 奥にあるアクセスポイントから手前の端末をビームで追従する(写真=左)。デモの説明図(写真=右)

 ドコモは会期中、現在の6社に加えてHuawei、三菱電機と新たに5G実験で提携したことを発表した。より高い周波数を利用するミリ波帯での性能改善を目指すという。5Gが商用化される年といわれる2020年は、東京オリンピックが開催される年。ドコモはこれを目指して研究開発を進めていくとしている。だが5Gの標準化はこれからで、周波数帯も決まっていない。そのため、2020年の商用化はフルの5Gではなく一部機能のみというのが現実的なところだろう。

photo ドコモのブースでは2020年のローンチを目指した計画を案内。まだ研究開発と実験の段階であり、標準化作業はまだ始まっていない

 また、Huaweiのワイヤレス・ネットワーク事業部門CMO Yang Chaobin(楊超斌:ヤン・チャオビン)氏は、会期中記者向けのセミナーで自社の5Gの取り組みについて語った。チャオビン氏は、「専用の研究開発センターを世界9カ所に設置し、2018年までの5年間で5Gの研究に6億ドルを投資する」と話す。5Gではスマートフォン、スマートメーター、自動運転カーなど、特性が異なる機器がネットワークに接続されるため、無線技術についても柔軟性を持たせる「Adaptive Air Interface」コンセプトに取り組んでいるという。

 SCMA(Sparse Code Multiple Access)ベースの非直交アクセス技術、F-OFDM(フィルター直交周波数分割多重)など、新しい無線インタフェースの研究も行っており、「SCMAでは周波数効率を従来の3倍以上改善できることが分かった」とチャオビン氏は報告した。

photo Huaweiのワイヤレス・ネットワーク事業部門CMO Yang Chaobin(楊超斌:ヤン・チャオビン)氏
photo Huaweiは無線インタフェース関連の技術開発をアピール
photo Huaweiの無線インフラブースでは5G、仮想化などさまざまな技術を展示していた(ブース内は写真撮影禁止)

 これまでの通信技術がそうであったように、5Gもすぐにカバーエリアが広がるとは考えにくい。LTEとの共存という点で、EricssonはLTEと5Gを同時に使うデュアル接続のデモも披露。ストックホルムから4K動画をストリーミングするもので、LTEをメインに5Gの高速性を活用していた。下り通信速度は5Gで3.8Gbps、LTEでは97Mbpsだった。

photo LTEと5Gのデュアル接続のデモ。右の画面にスウェーデンのEricssonラボからの4K動画がストリームされている

 Nokiaのネットワーク事業部は、無線アクセスネットワークのクラウド化を進める「Nokia Radio Cloud」を展示。コアネットワークに加えて無線機能もクラウド化して汎用サーバー上で動かし、一元管理するというもの。スマートクラウドスケジューラを使ったリソースの配分が可能で、無線アクセスネットワークの効率を高めるという。同技術は現在実験段階で、2016年内の商用化を目指す。すでにSK Telecomがこのコンセプトを支持しているということだ。

photo 中央のデータセンターからリソースを柔軟に配分。例えば18時ならMWC会場への配分は少なくし、サッカースタジアムへ多く配分するといった具合だ
photo Nokia Radio Cloud。HPのサーバー上でほとんどの無線機能を動かす

 5Gについては、日本と同様に最新の無線規格をいち早く導入する韓国のオペレーターKTの会長 Chang-Gyu Hwang(黄昌圭:ファン・チャンギュ)氏が基調講演に登壇し、5Gが可能にする世界について語った。チャンギュ氏は自動運転カーでテレビ会議をし、適宜クラウドにある翻訳サービスを使ってやりとりするなどの動画を披露。「自動運転カーでは1Gbps以上の通信速度が必須」と述べ、5Gにより何が実現できるのかを示した。同社はドコモ、中国のChina Mobileと5G技術開発で提携することを発表している。

photo KT会長のChang-Gyu Hwang(ファン・チャンギュ)氏
photo KTが描く5Gの活用例。自動運転カーでテレビ会議をするなど「車がオフィスになる」という
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