ドコモ、ソフトバンク、KDDI――三者三様の株主総会を振り返る:石野純也のMobile Eye(6月8日〜19日)(2/3 ページ)

» 2015年06月20日 07時30分 公開
[石野純也,ITmedia]

まるで孫正義氏のファンミーティング――ロボット、野球、メーカー買収と多岐に渡るソフトバンクの株主総会

 厳しい質問も飛び出したドコモに対し、どこかファンミーティングのように経営者を後押しする“応援の声”が多かったのが、ソフトバンクの株主総会だ。株主からの質問内容の広さでは、3社でソフトバンクがダントツ。これも、同社がインターネットカンパニーを掲げつつ、モバイルにとどまらない幅広い事業展開をしているからこそだろう。ソフトバンクの株主総会では、代表取締役社長兼CEOの孫正義氏が登壇。先の決算説明会で解説された、「SoftBank 2.0」について改めて説明があった。

photo 総会の冒頭、メガネをかけて原稿を読み上げる孫氏。普段はアドリブでの受け答えが多いため、メガネをかけた姿は珍しい

 孫氏は、その違いを「今までのソフトバンクは『SoftBank 1.0』で、日本を中心に海外にも提携先を持っている状況。これに対して『SoftBank 2.0』は世界を中心に日本でも事業を行っている状況」と、今後の方針を端的に解説。アジアを中心に伸びるインターネット事業者をグループ化し、「それらの国にいる野心あふれる起業家とともに、パートナーシップで事業を展開した方がいいと考えている」と語った。それに伴い、副社長にGoogle出身のニケシュ・アローラ氏を迎え入れており、経営体制のグローバル化を進めている。

photophoto 「SoftBank 1.0」と「SoftBank 2.0」の違いを解説

 また、孫氏は6月18日に一般販売の開始が発売されたロボットの「Pepper」にも言及しつつ、次に狙いを定めている分野として「IoT」「AI」「スマートロボット」を掲げた。スマートロボットはPepperで、AIはIBMとの提携を通じた「Watson」の提供ですでに事業化が目前に迫っているが、孫氏によると、IoTについてもソフトバンクとして取り組んでいく方針だという。先に発表された夏モデルでも、「IoT関連製品」としてモバイルプロジェクターの「モバイルシアター」や、テレビ搭載のフォトフレーム「PhotoVision TV2」を披露していたが、孫氏は、今後はこうした製品の数が飛躍的に伸びていくとして、次のように語った。

 「今、インターネットにつながっているのは1人あたり2台だが、これが1人あたり1000台になる。靴もメガネもシャツも、もちろん自動車も洗濯機もエアコンも時計も、ありとあらゆるものがつながる。そういう時代がやってくると信じている。おそらく30年後には、ユニクロ(ファーストリテイリングの代表取締役会長 柳井正氏はソフトバンクの社外取締役を務める)のシャツもズボンも下着ですら、インターネットにつながっている。すでにさまざまな技術革新の芽が出ている」

photophoto ソフトバンクが次に取り組む分野は3つ。IoT、AI、スマートロボットだ

 IoTにどう取り組んでいるのかは明らかにされなかったが、この分野についてはドコモも強化していく方針。これまでM2M(マシン・トゥ・マシン=機械同士の通信)を手掛けてきた、キャリアとの相性もいいビジネスだけに、今後、競争はさらに激化しそうだ。

photophoto デバイスは飛躍的に増えていく見込み。ここに対して、ソフトバンクがどういった取り組みをしていくのかが、気になるところだ

 こうしたソフトバンクのビジョンに対し、株主からは「うれしい」「ありがとうございます」「また大ぼらを吹いてほしい」など、温かい応援が寄せられた。一方で、サポート体制の強化を求める声も。この株主はソフトバンクでiPad miniを購入したが、使い方が分からずストレスがたまってしまったという。これに対し、孫氏は最終的に、そうしたサポートが不要になる製品の必要性を力説。「そのための人工知能で、お客様に自発的に説明するものも、合わせて実現していきたい」とした。ソフトバンクはIBMの人工知能「Watson」をスマートフォンに搭載していく方針を発表しているが、孫氏のこの回答からも製品の今後の方向性が垣間見える。

 また、米国ではDISHがT-Mobileと合併交渉を行っていると報じられており、ここにSprintがどう対抗していくのかも問われた。これに対し、孫氏は「昨日も夜10時からうちの技術者全員と、Sprintも含めて、20人から30人ぐらいの陣頭指揮をして、1時半ぐらいまでネットワークの次の設計と方法論を打ち合わせしていた」と述べ、自信をのぞかせる。先の決算説明会でも「次世代ネットワーク」で他社と差別化する方針を語っていたが、その準備は着々と進んでいるようだ。

photophoto 純増数、解約率といったオペレーションデータは好転しつつあるが、まだSprintは再建の途上にある

 一方で、ソフトバンクモバイルについては「インフラへの投資がほぼ一巡した。これからはフリーキャッシュフロー、現金による収益が何千億の規模で継続的に入ってくる。そういうステージを迎えた」と語り、株主からの関連する質問は少なかった。国内のモバイル事業は宮内謙氏に任せており、孫氏が言及する機会も減ってきているが、現状ではソフトバンクの“稼ぎ頭”だ。競争も激しい分野だけに、ソフトバンクとしてどう取り組んでいくのか、次の一手はもっと聞きたかった。

photo モバイルは稼ぎ頭で安定してきているためか、言及が少なかった

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