iOSのアクセシビリティにはどんな用途があるの?――応用編(2/2 ページ)

» 2015年07月07日 11時00分 公開
[杉本純ITmedia]
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こうした機能があるということ

 Appleがアクセシビリティにこれだけ注力していることは賞賛に値すると思います。iOSに標準で搭載されている純正のアプリはひと通りVoiceOverに対応しており、視覚に頼らず操作することが可能です。これらの機能を生かし、多くのデベロッパーが、障がい者向けのアプリを作成しています。次回は代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。

 とはいえ、まだまだ道半ばなのも事実。1点目はApple側の対応の遅さ。VoiceOver時に起きる不具合、特に「日本語でのみ起きる不具合」がまだあり、有志のメンバーが都度バグレポートを英語で書いて報告しています。特に読み上げに関連する不具合は影響が大きいため迅速な対応を願いたいところなのですが、メジャーアップデートまで放置される傾向が見られます。

 2点目はサードパーティ製アプリの対応です。VoiceOverを有効にして、いろんなアプリを使ってみてください。例えばボタンに対して「ボタン」あるいは画像のファイル名しか読み上げず、何のボタンか分からないアプリが多々あると思います。もちろんジャンルによっては無理に対応する必要のないもの(アクションゲームとか)もありますが、一般的なアプリであればさほど難しい作業ではありませんので対応すべきと考えます。Apple WatchやCarPlayの登場でインタラクションの方法が変わることを考えると、アクセシビリティラベルを正しく貼っておくことは後々メリットになる可能性もあります。

 3点目は、そもそもアクセシビリティ機能が知られていないということ。前回と今回ではVoiceOverを中心に紹介しましたが、例えば舌しか動かせない、といった重度の障がいであっても操作が可能になる「スイッチコントロール」という機能も用意されています。でも存在を知らなければ使えません。これら機能の存在をより多くの人が知ることで、アクセシビリティの恩恵から漏れる人を減らせるのではと考えます。

 アクセシビリティを一人でも多くの人に関心を持っていただけたら幸いです。

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