UQコミュニケーションズは、首都圏、京阪神、名古屋などの政令指定都市におけるWiMAX 2+のキャリアアグリゲーション(CA)拡大を9月上旬より開始し、9月末にはCAによる下り最大220Mbps対応サービスを「全国エリア化」することを、8月10日に改めて発表した。
これは従来より明らかにされていた方針のため、新情報ということではないが、9月末までに首都圏などトラフィックの多いエリアでWiMAX 2+の高速化が急ピッチで行われることが改めてアピールされた。
9月13日時点でWiMAX 2+のCAに対応するモバイルWi-Fiルーターは「Speed Wi-Fi NEXT W01」の1機種のみ。だが、CA対応エリア内での通信速度改善はCA非対応機種にも恩恵がある。その理由は、利用可能となる2つの20MHz幅の帯域から「空いている方の帯域」に接続できるためだ。イメージとしては道路の車線拡張が近いだろうか。
UQコミュニケーションズがWiMAX 2+のCA対応エリアを9月末に向けて急拡大する理由は、親会社のKDDI(au)が「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」を発売するためだ。両機種はiPhoneシリーズとしては初めてWiMAX 2+のCAにも対応しており、KDDIとしては両機種で快適なネットワークが全国で利用可能であることをアピールすることが目的といえる。
WiMAX 2+の帯域追加は既存のWiMAXサービスの帯域を削ることで実現するため、WiMAX 2+のCA対応エリアでは、WiMAXの通信速度が下り最大40Mbpsから13.3Mbpsへ3分の1に遅くなる。
このため、UQコミュニケーションズおよびそのMVNOは、初代WiMAXユーザーが料金的な負担なくWiMAX 2+へ移行できるよう、端末代などが無料になるキャンペーンを9月末まで実施している。このキャンペーンは10月以降も継続されるが、契約変更に伴う事務手数料3000円(税別)がかかるようになる。
※各種価格は税別 |
少々悩ましいのは、10月から12月末までのWiMAX 2+移行キャンペーンの内容は、9月末までと比べてそれほど大きな違いがない上に、新たな期間中に新機種が発売される可能性も考えられることだ。
ユーザーが利用する地域や求める通信速度によりけりだが、WiMAX向けの帯域が減少したあとも通信速度低下の影響をそれほど感じることがなければ、新機種の発表を待ってみるのも案かもしれない。
UQコミュニケーションズは8月27日、KDDIバリューイネイブラーと合併することを発表した。KDDIバリューイネイブラーは2014年8月18日に設立、設立後約1年でUQコミュニケーションズに吸収されることになった。KDDIバリューイネイブラーは消滅会社となるが、現在提供中のサービスはひとまず継続される。
2015年8月末時点でコンシューマ向けのKDDI系MVNOサービスは、ケイ・オプティコムの「mineo」と、KDDIバリューイネーブラーの「UQ mobile」のみ。KDDIバリューイネイブラーは自社ブランドでサービスを提供するだけでなく、パートナー企業を獲得し、提携先ブランドでMVNOサービスを提供することも目的としていた。
これまで、UQコミュニケーションズおよびKDDIバリューイネイブラーの両社は「UQ」ブランドを利用してはいたが、サービス面での連携などは行われていなかった。買収の発表時点では今後の具体的なサービス展開については紹介されておらず、具体的な連携内容などについては今後の発表を楽しみに待ちたい。
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