このように他社と比較しても、dポイントのインパクトは非常に大きいことが分かる。既存のポイントを利用できるようにしたり、他社のポイントプログラムと提携したりするのではなく、自分たちで共通プログラムを運営するという点が、ドコモの独自性といえるだろう。
ただし、課題もある。他の共通ポイントと比較すると、dポイントは加盟店の数が少なく、業種の幅も限られている。街で自然に「dポイントがたまります」といったPOPを見かけるようにならなければ、認知度や利用頻度は上がっていかない。もちろん、加盟店はあくまで現状発表されている情報だ。加藤氏が「できるだけ早く増やしていきたい。今もオンゴーイングなものがあるが、社員がそれぞれのお店に出かけていきたい」と意気込むように、ここにはドコモとしても本腰を入れているようだ。
他キャリアユーザーの開拓も、積極的に行っていく必要がある。現状ではdポイントカードそのものをローソンなどに設置する予定があり、こうしたところで会員を獲得していく方針だ。dポイントという名称を採用して「ドコモ色を薄くした」(ドコモ関係者)というが、キャリアにひも付いていない共通ポイントであるという認知を広げていくことが、普及の鍵になりそうだ。
また、現状では、ややポイントの仕組みが複雑なように感じた。dカードはiDが利用できる一方で、iDのリーダー/ライターがdポイントの読み取りに対応していない。(ローソンやマクドナルドでの買い物時の)割引を受けつつdポイントをためるには、まずdポイントカードもしくはdカードを店員に渡して読み取りをしたあと、iDで決済するという二度手間が発生する。ドコモとしてはリーダー/ライターの開発を行っていくようだが、これが広がるにはまだ時間がかかりそうだ。
この問題は、dポイントカードがおサイフケータイに非対応である点にもつながってくる。ドコモとしては、今後に向け、開発を進めていく意向だが、現状ではあくまでプラスチックカードのみの対応だ。そのため、おサイフケータイのiDで決済しながらdポイントをためようとすると、財布の中からdポイントカードを取り出さなければならない。これでは、クレジットカードやポイントカードなどをひとまとめにできるという、おサイフケータイの長所が台無しになってしまう。
おサイフケータイの利用率が高くても3割、調査によっては2割と伸び悩んでいることや、iPhoneの普及で対応機種が減っている現状を考えると、まずはプラスチックカードで始めるという方針も理解はできる。ただ、逆に考えれば、dポイントをおサイフケータイの起爆剤にもできたはず。キャリアならではのポイントプログラムとしては、こうした技術面での独自性も出してほしかった。
このように課題はあるが、共通ポイントになりうるポイントプログラムをドコモが始めたインパクトは非常に大きい。12月1日のスタートを期待したい。
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