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» 2015年12月04日 15時46分 公開

MVNOが「帯域を借りる」ってどういうこと?格安SIM Q&A

具体的に何をどう借りているのでしょうか? 大手キャリアが使う分が減ってしまうことはないのですか?

[堂前清隆,ITmedia]

質問

 MVNO各社はMNOから「帯域を借りる」という説明がありますが、具体的に何をどう借りているのでしょうか。エンドユーザーのようにデータ量を借りているのか、データを流す幅(?)を借りているということなのでしょうか。幅の場合、MVNOが増えるとMNO本体が自分で使う分が減ってしまうのではないかとも思え、不思議に思っています。

解答

photo

MVNOが借りているのは、「ある瞬間に一度に流せるデータ量」です。
(IIJ 堂前)


 MNOは日本中に携帯電話の基地局を設置しており、基地局とスマートフォンの間は電波でやりとりしています。これらの基地局は光ファイバーなどにより接続され、他の電話会社やインターネットへと接続されています。この、インターネットと接続されている部分で、MNOとMVNOの通信が分離されます。このポイントを「相互接続点」(POI……Point Of Interface)と呼びます。MVNOが「借りている」のは、POIより手前の区間です。

 このとき、MVNOがどれだけの通信量を借りるかの計り方は2種類あります。1つは「回線単位」で借りる方法、もう1つが「帯域」で借りる方法です。

 回線単位で借りる場合は、MVNOはMNOが用意するプランを指定して回線を借り受けます。このプランはMNOが一般の利用者に提供しているものと同じような体系で、通信量のカウントや制御もMNOが行います。MNOにとっては回線を直接利用者に提供するのか、MVNOを通して提供するのかが違う程度で、設備上は自社の顧客が増えたのとあまり変わりはありません。

 一方、帯域で借りる場合は少し事情が異なります。帯域で借りる場合は、MNOはMVNOが利用している個別の回線の通信量には関知しません。MVNOが借りている全ての回線の通信量の合計をMNOとMVNOの間で取り決め、それを上限として通過できるデータ量を制限するのです。この制限は、先ほど説明したPOIで行われます。日本中の基地局を通してやりとりされるMVNO利用者の通信は全てPOIを経由するため、ここで制限をかけることでMVNOが使う通信の量を制限することができるのです。

photo POIでMVNOが使う通信量に制限を設けている

 MVNOがMNOから設備を借りる際は、POIを通過することができる通信の量で費用が決まります。例えば、100Mbpsや1Gbpsといった数字で、これは「ある瞬間に一度に流せるデータ量」を示しています。例えば、ある瞬間に日本中で100人の利用者がそれぞれ1Mbpsの速さで通信を行うと、POIを通過するデータは100Mbpsとなります。この100Mbpsや1Gbpsを指して「MVNOが借りている帯域(幅)」と呼んでいます。

 MVNOが借りている帯域には上限があるため、一度に利用が集中すると、必要なだけのデータを流すことができなくなります。流しきれないデータは後から送り直すのですが、利用者から見ると通信速度が低下したように感じます。このような状態になるとMVNO利用者全体の通信速度が遅くなります。よく言われているMVNOの混雑というのはこの現象を指しています。また、MVNOが設備を増強するというのは、借り入れ帯域を増やし、ある瞬間に流せるデータ量を増やすことを意味しています。

 MVNOが提供するサービスの多くは、「1カ月あたり3Gバイト」など、ある瞬間の通信量ではなく、ある期間の通信量が定められています。これは、MVMOがMNOから借りる帯域の考え方とは異なります。このため、同じ3Gバイトでも利用者が時間を分散して通信するのと、特定のタイミングに集中して通信するのでは、混雑の発生の仕方が異なります。各MVNOは、自社の利用者がどのようなタイミングで通信をするのかを想定しながら、どれだけの帯域をMNOから借りるのかを決定しています。これがMVNOビジネスにおける最も重要なポイントです。

photo MVNOサービスの料金プランは「月」や「日」などの期間ごとに決められている(こちらはIIJmioのプランの例)

 また、MVNOに設備を貸し出すと、MNO自身が利用する設備が減ってしまうという印象を受けます。これはある意味では正しいのですが、実際には問題になることはありません。MNOが設備を貸し出す際には、例えば基地局や電波の何分の一かをMVNO専用に予約しているわけではありません。基地局が同時に通信を行っている多数のスマートフォンの中に、MNO利用者のスマートフォンとMVNO利用者のスマートフォンが混在しており、どちらも区別無く通信が行われています。

 もし、その基地局の周辺でスマートフォンの利用者が増え、基地局のキャパシティを超えるスマートフォンが通信を行った場合は、MNO・MVNOの区別なくそれぞれのスマートフォンの通信速度が、まんべんなく遅くなります。これが基地局の混雑といわれる状態です。

 そのような混雑が恒常的に発生している場合は、MNOがその周辺の基地局や設備の増強を行い、キャパシティの拡充を行います。こういった増強に用いられる費用には、MVNOが設備を借り受ける際に支払った利用料金も利用されます。MVNOの利用が増えたとしても、MNOが設備を増強するための資金が確保できるように、MVNOが支払う利用料金はMNOの設備コスト+適正な利潤と定められています。

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