―― ドコモは今回Qualcommが提唱しているアンライセンスLTEをどう見ていますか。Qualcommはライセンスバンドをアンカーチャネルとして使う方式と、キャリアでなくとも展開できる「MulteFire」の2つの方式を出しています。特に前者の方はキャリアのホットスポット事業と連携できるのではないでしょうか。
吉澤氏 本当にそうなるのではないかと感じています。われわれもアンライセンスLTEに関しては研究していますし、Qualcommと話もさせてもらっています。(実証)実験もやっていますが、主軸は当然ライセンスLTEと組み合わせて使う方式と考えています。
―― 今あるドコモWi-FiをアンライセンスLTEで置き換えて、LTEベースにするメリットはあるのでしょうか。
吉澤氏 ドコモWi-Fiは年間それなりにコストが掛かっていますが、永年無料キャンペーンのため、いただけるお金はほとんどありません。LTEを使ってうまく代替できるのであれば、(その採用を)考えていく必要はあるでしょう。
―― Wi-FiからLTEへの切り替えよりも、同じLTEの中でアンライセンスとライセンスのLTE間で切り替える方が、ハンドオーバー処理はスムーズになります。地下鉄から駅に入った時など、特に日本の都市部では導入のメリットが少なくない。
吉澤氏 そこは検討していますし、実験を行っています。最終的に導入するかどうかは、そういった試験の結果次第でしょう。
―― 2016年のMWCを見ていると、通信キャリアの復権を強く感じました。先進国を中心にスマートフォンの販売が伸び悩みメーカーの勢いがなくなる一方で、キャリアは積極的にビジネスの拡大に取り組んでいる。とりわけ社会インフラ事業にはとても前向きな印象を受けました。
ドコモは、「+d」として通信以外のサービス領域に関し、いろいろな事業者と連携して事業展開を図っていますが、今後そういった社会インフラ事業での取り組みはどのうよに考えているのでしょうか。
吉澤氏 無論、重視しています。「+d」の大きな対象としては、IoT分野や社会課題、地方創生、2020年オリンピック、そういったところに対するインフラを構築していきます。ビジネスやサービス面を含めてパートナーと組みながらやっていくことは、われわれの一番大きな柱となっています。
―― 通信以外の事業が、新時代に向けた投資をしていく、と。
吉澤氏 通信の先にある新しい事業領域を意識して、その中にIoTや5Gを活用してやっていきます。パートナーは自治体だったりするかもしれませんが、最終的にはBto「C」、つまりお客さまがいます。社会インフラに対する貢献は次の使命と思っていますし、「+d」はこれからどんどん広がっていきますよ。2016年以降、われわれは「+d」として進化、発展していきます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.