調査会社Gartnerが5月に発表したスマートフォンのメーカー別世界シェアを見て驚いた人も多いだろう。1位Samsung、2位Apple、3位Huaweiに続き、中国のOppoが4位だったからだ。
中国スマートフォンの“顔”でもあるXiaomi(シャオミ、小米科技)はもちろんのこと、大手メーカーのLG ElectronicsやLenovoを抜き去ったOppo。その強さはどこにあるのか? ここのところ勢いにやや陰りが見えているXiaomiとの違いを比較してみた。
Oppo(広東欧珀移動通信)は今や中国国内だけではなく、世界各国で端末を販売するグローバルメーカーの仲間入りを果たそうとしている。現時点での主な海外展開先は東南アジアなどの新興国だが、オンラインでは先進国向けの販売も開始した。
Oppoの2015年の販売台数は5000万台で、同年は世界シェア10位以内にランクインした。とはいえOppoの製品を海外、特に先進国のメディアが大きく取り上げることは多くはない。一方、ライバルともいえるXiaomiの最新モデルは、たとえ中国国内だけでの販売であっても「Snapdragon820採用」「価格はわずか3万円台」といった、派手な報道合戦が繰り広げられる。
その「安くて高性能」なXiaomiよりも、Oppoの製品が販売台数で上回ったのはなぜなのだろうか? Xiaomiは最初の製品が誕生した2011年から「価格」「スペック」を製品の特徴として強くアピールしてきた。それに対してOppoは全く異なる戦略で地道に生き残りをかけた勝負を続けてきたのだ。今回の順位の逆転は、そんなOppoの独自戦略が実を結んだものといえるだろう。
Oppoの強み、それはXiaomiの弱さであるかもしれない。つまりXiaomiが持っていないものをOppoは全て持っている、という関係でもあるのだ。
Xiaomiの躍進は、自社展開するオンラインストアとソーシャルサービスの活用が源泉だ。最新モデルの情報は発売前からSNSで発信され、製品の予約や販売も真っ先にオンラインストアで行われる。ここ1〜2年、カスタマーケア及び製品を展示する実店舗の「小米之家」を中国国内に展開しているが、基本的に端末販売はオンラインが中心だ。
Oppoは音楽プレーヤーやフィーチャフォンを手掛けていた10年以上前から代理店など実製品を販売する店舗を展開してきた。ここ数年はオンラインストアでもスマートフォンを販売しているが、それよりも前から同社のコーポレートカラーの緑色を基調とした実店舗を中国各都市に多数展開、大手家電量販店内にも積極的に出店している。そのOppoストアには同社の最新スマホも整然と並べられ、カバーや保護フィルムなどアクセサリーも豊富だ。マイナーメーカーの製品はアクセサリーの購入が難しいが、Oppoストアならば新品の端末と同時にアクセサリーも買うことができる。もちろん店内は明るく清潔で、こじゃれたブティックのようだ。
オシャレなお店というとAppleストアがその代表だろうが、高価な端末に高価なアクセサリーや周辺機器がならぶAppleストアは、新興国の一般庶民には入りにくいだろう。しかもiPhoneだけならまだしも、ケースだけでも数千円、モバイルバッテリーやスピーカーも価格はかなり高い。一方Oppoストアにある純正のケース類は、ノーブランドの格安品よりは高いだろうが、せいぜい1000円程度で気軽に買える価格だ。
このようにOppoは「街中のちょっとおしゃれな専門店」を中国国内で展開してきた。そして今、その経験をそのまま新興国にも広げているのだ。国によっては低価格モデルの数を増やすなどラインアップも変えている。だがそこに「格安品」はなく、安い端末でも1万円台後半と、新興国の地場メーカーがそろえる低価格モデルよりもワンランク上の価格帯の製品を置いている。「Oppoの店に行けば、海外から輸入されたいい端末が置いてあり、しかもお店の作りも上品」。そんな実店舗を数年かけて展開していった結果、Oppoの名前と製品を各国の消費者の間に浸透させることに成功したのだ。
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