MVNOが提供している「格安SIM」を選ぶうえで、料金はもちろんだが、「通信速度」も重要な決め手になる。料金は各社のWebサイトやカタログに表示されていて比較しやすいが、通信速度は各社一律「下り最大225Mbps」「下り最大375Mbps」などと表記されており、実際のところどれだけの速度が出るのかが分からない。
そこで、2015年7月から各社が提供している格安SIMの“実効速度”を毎月調査し、その結果を横並びで紹介している。今回は2016年9月編として、先月のドコモ系MVNOサービス(格安SIM)の通信速度をリポートしたい。au系MVNOサービスやY!mobileについても同時に調査したので、別途記事化する。本企画が格安SIMを選択する際の一助になると幸いだ。
今回、テストを行ったのは以下の18サービス。
ドコモの純正サービスである「mopera U」を除くと、MVNOサービスは計18。いずれのSIMもLTEの高速通信に対応したものを使っている。その他の調査条件は以下の通り。
今回も、全時間帯においてアイティメディア社内で計測した。「So-net モバイルLTE」については「nuroモバイル」へのリニューアルに伴い計測対象からいったん外している。また、諸事情から夕方の計測のみ別日に実施している。
各サービスの測定を開始した時刻は、以降の各時間帯の表を見てほしい。通信測定のエラー、明らかにありえない速度(理論値超え)が表示された場合は再度測定している。人力のテストなので、全てのサービスを同時に測定しているわけではないことはご理解いただきたい。
本企画で紹介する通信速度は、時間帯や場所によって大きく変化する。記事で紹介されている数値は100%うのみにせず、あくまで参考値としてご覧いただきたい。
午前中の測定。エレベーターは出勤してくる人をどんどん運んでくる。月末しかも「花金」ということもあってか、すでに「アフター」のことを考えている人もそれなりにいそうな雰囲気である。そんな中、編集部員2人でSIMカードを抜き挿しして速度を測っていく。結果やいかに。
下り速度では、「Wonderlink(LTE I)」が平均15.41Mbpsで首位となり、「DMM mobile」が平均14.47Mbpsで2位、「U-mobile PREMIUM」が平均14.29Mbpsで3位に付けた。いずれのサービスもインターネットイニシアティブ(IIJ)をMVNE(MVNOの支援事業者)としており、その観点からすると「IIJ系のサービスが健闘している」と言えるだろう。ただし、IIJ自身が提供する「IIJmio」は平均7.28Mbpsと遅くはないものの、トップ3のサービスと比べると遅いかな、という印象だ。
前月首位だった「FREETEL SIM」は下り平均6.21Mbpsとなった。遅いとはいえないものの、前月の平均16.4Mbpsから比べると半分未満の速度に落ち込んでしまっている。また、「おかわりSIM」(下り平均8Mbps→4.49Mbps)、「楽天モバイル」(下り平均6.5Mbps→3.25Mbps)、「Wonderlink(LTE F)」(下り平均6.4Mbps→3.37Mbps)も前月比で4割以上速度が落ち込んでいる。とはいえ、これだけ速度が出ていれば、ファイルサイズの大きめな画像などをダウンロードしない限り実用上は十分だろう。
しかし、「DTI SIM」(下り平均0.87Mbps)と「0 SIM」(下り平均0.47Mbps)は、相変わらず厳しすぎる結果が続いている。ともすると、この速度ではSNSの利用やメールの受信も厳しいかもしれない。何とか改善をしてほしいところだ。
一方で、上りの通信速度は各サービスともに問題のない速度を確保している。トップ3は下り平均速度と同じ顔ぶれで、U-mobile PREMIUM(平均12.62Mbps)、DMM mobile(平均11.88Mbps)、Wonderlink(LTE I)(平均10.42Mbps)とIIJ系サービスが強い。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
IIJmio | 9:02 | 7.28 | 4.63 |
OCNモバイルONE | 9:05 | 3.66 | 7.78 |
BIGLOBE LTE・3G | 9:09 | 7.66 | 5.68 |
b-mobile(おかわりSIM) | 9:12 | 4.49 | 1.89 |
楽天モバイル | 9:16 | 3.25 | 2.34 |
NifMo | 9:00 | 8.62 | 10.34 |
FREETEL SIM | 9:03 | 6.21 | 5.44 |
ロケットモバイル | 9:06 | 7.03 | 5.61 |
U-mobile PREMIUM | 9:09 | 14.29 | 12.62 |
DMM mobile | 9:12 | 14.47 | 11.88 |
Wonderlink(LTE I) | 9:16 | 15.41 | 10.42 |
Wonderlink(LTE F) | 9:00 | 3.37 | 2.14 |
mineo(Dプラン) | 9:04 | 8.48 | 4.69 |
DTI SIM | 9:08 | 0.87 | 2.33 |
0 SIM | 9:12 | 0.47 | 4.32 |
イオンモバイル | 9:16 | 7.67 | 3.09 |
エキサイトモバイル | 9:18 | 10.61 | 5.19 |
ドコモ(mopera U) | 9:22 | 6.12 | 3.75 |
続けて、MVNOサービスにとっての“鬼門”ランチタイムの計測だ。おおむね、この時間帯は大手キャリアのネット接続サービスが強く、MVNOサービスはかなり苦戦するという構図が一般的だ。ただし、前月はFREETEL SIMや楽天モバイルが下り平均2Mbps超えの健闘を見せていた。この健闘は今月も続くのか、それとも……。結果を見てみよう。
今回の計測結果は、下り・上りともにドコモ純正の「mopera U」の圧勝(下り平均10.62Mbps/上り5.57Mbps)だった。やはり、混雑する時間帯はキャリア純正回線が強いという傾向は崩れない。
MVNOサービスの下り平均速度を見てみると、1Mbpsを超えているのがFREETEL SIM(1.94Mbps)、楽天モバイル(1.74Mbps)、「ロケットモバイル」(1.09Mbps)とおかわりSIM(1.03Mbps)の4サービスで、残りの全ては1Mbps未満と厳しい結果になった。特にFREETEL SIMは前月はそこそこ高速だっただけに、不調が際だって見える。
しかし、真に注目すべきは上りの平均通信速度だ。従来、MVNOサービスは「下りはダメでも上りは快調」ということが多かったが、今回はFREETEL SIM(1.23Mbps)と楽天モバイル(1.13Mbps)以外は軒並み1Mbps未満の速度となった。これではSNSや写真共有アプリでの画像アップロードもなかなか進まない。上りの不調は一時的なものなのか、それとも慢性的なものになってしまうのか、注視したいところだ。
計測開始時刻 | 下り平均(Mbps) | 上り平均(Mbps) | |
---|---|---|---|
IIJmio | 12:20 | 0.78 | 0.65 |
OCNモバイルONE | 12:24 | 0.27 | 0.39 |
BIGLOBE LTE・3G | 12:28 | 0.7 | 0.61 |
b-mobile(おかわりSIM) | 12:31 | 1.03 | 0.78 |
楽天モバイル | 12:34 | 1.74 | 1.13 |
NifMo | 12:20 | 0.27 | 0.39 |
FREETEL SIM | 12:24 | 1.94 | 1.23 |
ロケットモバイル | 12:32 | 1.09 | 0.81 |
U-mobile PREMIUM | 12:35 | 0.43 | 0.48 |
DMM mobile | 12:38 | 0.67 | 0.6 |
Wonderlink(LTE I) | 12:42 | 0.74 | 0.63 |
Wonderlink(LTE F) | 12:20 | 0.96 | 0.74 |
mineo(Dプラン) | 12:23 | 0.6 | 0.56 |
DTI SIM | 12:26 | 0.6 | 0.56 |
0 SIM | 12:28 | 0.19 | 0.35 |
イオンモバイル | 12:36 | 0.62 | 0.57 |
エキサイトモバイル | 12:40 | 0.67 | 0.6 |
ドコモ(mopera U) | 12:43 | 10.62 | 5.57 |
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