―― 現状、ユーザー層はどのような分布になっていますか。
野坂氏 前は20代、30代が中心でしたが、40代、50代、60代と均等に分布してきて、女性比率が増えましたね。WiMAXの男性ビジネスマン中心というところから、180度変わってきました。ある意味、キャリアっぽいといえばキャリアっぽいのでしょうか。
満足度も87%と高くなってきました。ただ、やはり知られていない。そこはきちっと知っていただくことが重要で、タッチポイントやサービスをそろえてきた結果の行き着くところがテレビCMです。やはり認知度を上げないことには、認知、理解、利用というステップに進まないですからね。
―― ラインアップはそろってきましたが、通話定額が始まるのが来年(2017年)2月です。なぜここまで時間がかかるのでしょうか。
野坂氏 これはシステム的な問題です。大変お恥ずかしい話ですが……。単体で出しても「そうか」で終わってしまうので、だったら一緒にと先日発表しました。
―― 先ほど端末では「松竹梅」で選べる重要性をお話していましたが、料金プランが現状2択です。やはりもう1つ、追加もあるのでしょうか。
野坂氏 「S」「M」「L」のようなものはあった方がいいと、最近思っています。今回、「ぴったりプラン」「たっぷりオプション」と言っていたのを、「ぴったりプラン」「たっぷりプラン」に改めました。とはいえ、やはり「L」の方向性はあった方がいいですね。日本人は松竹梅が重要で、選べることが重要ですから。
―― 夏の発表でお話のあったauとの連携は、どの程度うまくいっているのでしょうか。
野坂氏 量販店での連携ということで、うちが1500人、相手が2500人で、双方に(ユーザーを)紹介しています。まあまあ形はついていますが、当初もくろんでいたほどかというとそうでもなく、自分たちの商品を売らなければいけないノルマもあって、理想的には行っていません。1回やることにした以上、お互いよく話をしてやるべきだと思っていますが、逆の意見があることも知っています。
ただ、地方まで行くと、僕らのスタッフがいないこともあります。われわれはセールスアシスタントセンターというコールセンターの営業版を持っていて、対面でやらなければいけないこと以外はできるようにしていますが、これが思った以上に成果を上げています。UQの人がいないところで、auがいるというときは、このセールスアシスタントセンターを活用しています。
―― 「UQスポット」として、リアルな店舗を出されましたが、出してみていかがでしたか。
野坂氏 UQスポットは47が目標でしたが、もうちょっと増やさなければいけないと思っています。東名阪ではもっといるはずですからね。これだけの規模で宣伝する以上、やはりタッチポイントがないといけない。各県1店舗というのは義務としてやっています。
上野のお店には、東北から遠路はるばるいらっしゃった方もいました。やはりリアルで見て、触って選びたいという方はいます。コスト効果がどうかという議論はありますが、mineoさんも、楽天モバイルさんも、皆さんシャカリキになられている。ちょうど僕たちも今、同じことを経験しているのだと思います。
―― 修理時に代替機が借りられるのは、いい取り組みだと思いました。
野坂氏 スマホがないと、音信不通になってしまいますからね。サポートは、やはりわれわれの強みです。
―― 出店する地域などは、どのようなところを考えているのでしょうか。
野坂氏 今、勉強中です。出店にこれだけいろいろな要素があるということも、初めて分かりました。代理店にヒアリングをかけたりもしていますが、若干消化不良気味で、今整理しようとしているところです。
―― 300kbpsでSNSを無制限に利用できることをアピールされていますが、これは売りになっているのでしょうか。
野坂氏 SNS使い放題は、思った以上にウケていると個人的には理解しています。これをもっともっとやっていきたいということで、ネインの「APlay」も入れています。ネインはベンチャー投資の話をいただき、5件ぐらいの中で残った1件ですが、“ヒアラブル”の分野では先を行かれている。ちょうど先日ソニーさんが「Xperia Ear」を出したり、Appleさんが「AirPod」を出したりしていますが、これは3000円ぐらいで、基本的なことができます。
―― ゼロレーティングではなく、あくまで300kbpsでの使い放題という形にしたのはなぜでしょうか。
野坂氏 それをやるのは違うような気がするからです。もともと、われわれは通信屋なので、やはり通信の中身を見るというのはあまり感心できません。通信の秘密などは入社したころからベースとしてたたき込まれているので、ちょっと気持ち悪さがありますね。
KDDIバリューイネイブラー時代には十分な存在感を発揮できていなかったUQ mobileだが、1年がたち、ようやくアクセルを踏み込めるようになった。急ピッチで進めてきた準備が、日の目を見るようになったというわけだ。大々的にテレビCMを展開し始めたのも、同社の自信の表れだといえる。大手キャリアでもMVNOでもない“第3の選択肢”としてUQ mobileがどこまで伸びるのかは、注目しておきたい。
一方で、今の市場を見ると、このポジションを独占しているのはY!mobileで、UQ mobileは挑戦者という位置付けだ。Y!mobileはMVNOではなく、あくまでソフトバンクのサブブランドというポジション。帯域を大手キャリアから借りる必要がなく、イー・アクセス、ウィルコムがもともと持っていたショップ網も広い。そのため、MVNOであるUQ mobileにとっては、分が悪い戦いのようにも見える。将来的には、KDDIとの今以上に密接な連携が必要になってくるかもしれない。
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