2番目はインカメラ専用のチューニング。これを引っ張っているのが東アジアから広がった自撮り文化だ。
スマホのカメラってやはり開発しているお国柄が出るもので、アジア系スマホはインカメラで撮ると美肌機能が自動でオンになり、かかり具合をその場でさっと変えられる。
この傾向は数年前からあったけど、インカメラは自撮り用と割り切ったチューニングがなされ、カメラを切り替えたとたんに撮影機能も変わる製品が目立ったのだ。
日本でもXperiaやAQUOSは美肌系機能を持っているけど、アジア系スマホに比べていまひとつなのは、やはりメイン市場が抱えるニーズの大きさによるのかなあと思う次第。
2016年はどのスマホもインカメラの画素数を上げてきたけど、インカメラってどうしてもカメラモジュールが小さいし、AF機構も持たないので、無理に画素数を上げるよりもノイズが少ない(=肌がきれいに出せる)、暗所に強い方向に行ってほしいよねとは思う。
インカメラで自撮りって万人が楽しむわけじゃないけど、そこを抑えないとこの先はきついでしょう。
2016年は動画ニーズが大きく変わった年でもある。
スマホを使ったリアルタイム動画配信が、TwitterのPeriscope(これは2015年だが)、FacebookのFacebookライブ、Instagramのストーリー、LINE LIVEと各社勢ぞろいで、それまでも動画配信システムはあったのだけど、一気にブレークした感があるのだ。
リアルタイム配信以外でも、シン・ゴジラで一部の映像のiPhoneでの4K動画が使われる……という大物の話題は抜きにしても、動画でのニュース配信も増え、それにスマホが使われることも増えた。その場で編集してアップロードできるという強みがあるのだ。
スマホで動画を撮影するための機器、音声をきれいに撮るためのスマホ用マイクプリアンプ、動きながら撮ってもブレを抑えるジンバルなども登場。
特にジンバルは数万円クラスの本格的なものから、2軸だが1万円ちょっとで買える元のブランドは何なのかよく分からないものまで数多く、ここ2年でメジャー化したアイテムといっていいだろう。
動画配信への流れはまだ続きそうだが、スマホって長く動画を回すのに向いた形状じゃない(要するに安定させづらく手が疲れる)。動画撮影用グリップ、スマホ用の簡易スタンド、ジンバルといった機器はまだ伸びそうだ。
スマホもとうとうテキストも音声も静止画も動画のどれでも自由に扱え、発信も受信もそれだけでこなせる新世代のメディアにいつのまにか進化したのだなあ、と実感させられた2016年なのでありました。
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