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KDDIがソラコムを子会社化した狙い IoTだけでなく次世代ネットワークでも相乗効果を(2/2 ページ)

» 2017年08月09日 16時34分 公開
[佐野正弘ITmedia]
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子会社化でMVNOの限界を超え、第2の創業に

 では子会社化されるソラコム側は、なぜKDDIの傘下に入る道を選んだのだろうか。ソラコムの玉川憲社長は、「単独ではチャレンジだと感じたところ」として4つの課題を挙げている。

KDDIとソラコム ソラコムが抱えていた4つの課題を、KDDIの子会社化によって解消できると玉川氏は説明する

 1つ目はグローバルでの営業・交渉力、2つ目は資金やリソースの調達といった、ベンチャー企業ならではの課題である。こうした点はKDDIの傘下に入ることによって大きな後ろ盾が得られ、信頼が向上するとともに、KDDIが持つ法人営業力やビジネス提案力、そして海外でのコネクションなど、大企業ならではのリソースを活用できるなど、多くのメリットが生まれる。

 3つ目は、LPWAの“本命”といわれる「NB-IoT」などの携帯電話網を用いた「セルラーLPWA」や、5Gによる通信サービス提供に時間がかかってしまうことだ。KDDIも2017年度中にはセルラーLPWAのサービスを提供するとしているが、MVNOがセルラーLPWAを利用できるようになるのは、あくまでキャリアがMVNOにその利用を開放した後となり、どうしてもサービス提供が遅くなってしまう。だが今回、大手キャリアの一角であるKDDIの傘下に入ることによってその問題が解消され、いち早くセルラーLPWAを活用できるようになるという。

 そして4つ目は、やはりMVNOという立場上、ソラコム単体ではコアネットワーク構築に関わることのできる範囲が小さく、限界があるということだ。この点もKDDIの子会社となり、KDDI自体の次世代ネットワーク基盤構築にソラコム自身が関わることによって、解消できるとしている。

 一方で、ソラコム自体が現在提供するサービスに変更はなく、ドコモの回線を用いたSORACOM Airも、現状のまま利用できる。また玉川氏を中心とした経営体制もそのまま残るとのこと。それゆえ玉川氏は、今回の子会社化は「“Exit”ではなく“Entrance”。第2の創業期を迎えたと考えている」と話し、KDDIと共にソラコムの事業拡大に努める考えを示している。

KDDIとソラコム ラコムの今後の戦略。ソラコムの強みを生かしながらもKDDIのリソースを活用し、IoTプラットフォームやSORACOM vConnect Coreの拡大につなげていくという
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