総務省は7月19日、電気通信市場検証会議に付属する会議体「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)の第34回会合を開催した。この会合では、事務局(総務省)が取りまとめた「競争ルールの検証に関する報告書」の2022年度版の案について、WGの構成員への報告と意見交換が行われた。
この記事では、報告書に盛り込まれた「モバイル市場等に係る課題」について、主な提言項目を解説する。
通信契約(回線)にひも付く利益提供(端末代金の値引きやキャッシュバック)に対する上限額設定などによって、携帯電話の「通信料金」と「端末代金」の分離はある程度進んだ(※1)。
(※1)利益提供の上限額規制について
利益提供の上限額規制が入るのは、以下の携帯通信事業者(キャリア)です。
1の基準に当てはまるのはNTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンク、楽天モバイル、UQコミュニケーションズの6社、2の基準に当てはまるのはインターネットイニシアティブ(IIJ)とオプテージの2社です。
なお、上記のキャリアには定期契約に関する解約金(違約金)の上限規制も課されます。
しかし、最近は通信契約にひも付かない利益提供を組み合わせることで、法令に基づく上限を超える値引きを提供ケースが増えている(参考記事)。その影響からか、値引きの“内訳”がハッキリとしなかったり、店舗スタッフが値引きの適用可否を誤解して誤った説明をしてしまったりする事例も報告されている。
総務省でもMNOや販売代理店の団体に対して2度ほど販売の適正化に関する要請を行っているが、法令違反やそれが疑われる事例は解消しきれていない。
そこで今回の報告書では、携帯電話端末の販売価格の表示に関するルール策定を求めている他、キャリアに対して代理店指導の強化と独自覆面調査の実施や値引き特例の適切な適用を求めている。
総務省の「スイッチング円滑化タスクフォース」での議論がきっかけとなり、2021年10月1日以降に国内で発売された携帯電話端末は、特段の事情がない限りSIMロックを掛けて販売することが禁止された。
これにより、携帯通信事業者の乗り換えが容易になる……と思いきや、携帯電話端末の対応している電波の周波数帯(バンド)が新たな「乗り換えの障壁」として問題視されるようになった。
議論の結果、WGでは携帯電話端末の対応バンドについて、法律や総務省令による「義務化」ではなく、MNOや端末メーカーに対する「ガイドライン」を整備することを求めることになった。そのガイドラインには、以下の内容を盛り込むように提言をしている。
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