モバイルもタブレットもOK!なニクイやつ――日本HP「HP Compaq 2710p Notebook PC」二刀流の切れ味は?(2/2 ページ)

» 2007年11月21日 11時21分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
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新型タブレットセンサの内蔵により使い勝手は良好

液晶ディスプレイをたたんだタブレットPCスタイルの状態。ディスプレイ部分はこの状態で固定できるため、ぐらつく心配はない。

 本機の特徴となるタブレット機能だが、ワコムのペナブルテクノロジー「G5」を内蔵することで、実現している。付属のデジタルイレーサーペンで画面を直接タッチして操作でき、信号を検知する領域が広がったことで、ペンを液晶面から多少離しても(約15ミリ程度)問題なく扱えるようになった。このデジタルイレーサーペンはバッテリーが不要で重量が約13グラムと軽く、適度な太さがあるので扱いやすいが、感圧式のタッチパネルと異なりタブレット操作にはペンが必須となる。

 Windows VistaにはVista Home Basicを除いて標準でタブレット向けの機能が搭載されており、文字認識対応の入力ツール「Tablet PC入力パネル」のほか、紙のノートのような感覚で、ペンで書いたものをそのまま保存できる「Windows Journal」、画面キャプチャー機能を備えた「Snipping Tool」といったアプリケーションがインストールされている。OS標準の機能ながらこれらの機能はかなり洗練されていて、本機でも快適に利用することが可能だ。本機のスイッチや端子類はタブレットPCスタイルでの利用を考慮して配置されているため、使い勝手の面で不満はない。

デジタルイレーサーペンは左側面の奥に収納でき、押すだけでペンが飛び出す(写真=左)。ペンは長さが約118ミリ、直径が約9ミリだ。ペン先は定期的に交換する必要がある(写真=右)

さすがにキーボードのようにスピーディな入力はできないが、「Tablet PC入力パネル」の文字認識は検索用キーワードなどちょっとした文字入力に使う程度なら十分実用的だろう(写真=左)。「Snipping Tool」では画面のペンで囲んだ部分をキャプチャーし、さらにそれにペンや蛍光ペンで説明などを加えることができる。ファイルはHTMLのほか、JPEGやPNGなどに出力可能だ(写真=中央)。iPAQなどでも採用されている「Q Menu」(写真=右)

充実のインタフェースはタブレットPCスタイルを意識したレイアウトを採用

主要キーで19ミリピッチを確保する。右上にタッチセンサの音量調節、消音、プレゼンテーションボタンがある

 続いてキーボードやインタフェースを見ていこう。

 キーボードは主要キーのピッチが縦横ともに19ミリあるので打ちやすく、キーストロークも2ミリを確保し、タッチ感はしっかりとしている。レイアウトに変なクセもないが、最下段はややキーの詰め込みが見られ、使用頻度の比較的高い「Fn」キーや「Ctrl」キーが約12〜13ミリピッチと狭い点は少し気になった。

 ポインティングデバイスはスティックタイプを採用する。指の圧力に応じてなめらかに動くスティックの操作感は快適だが、ThinkPadシリーズやHP Compaq 8510w Mobile Workstationとは違ってスクロール機能をもたないシンプルな2ボタン式のため、操作時に少々もどかしく感じることがあった。

 なお、キーボードユニットの下にフィルム(デュポン製マイラー)を挟んでキーボード部分の液体こぼれを防ぐ「スピルレジスタントキーボード」、液晶天面部やキーボード、パームレストなどに「Dura Keys」や「HP DuraFinish」といったコーティングを施すことでキズを付きにくくする、同社のビジネス向けPCシリーズでおなじみとなる堅牢性は本機でも健在だ。

液晶天面部分に折りたたみ式のHSDPA用アンテナ(写真=左)、右側面に指紋認証ユニットがある(写真=中央)。液晶上部には「HP Night Light」が用意され、丸い部分を押すだけでライトが点灯する(写真=右)

スティックにはシナプティックス製のドライバを採用する(写真=左)。Quick Launchではワンタッチボタンに割り当てるプログラム(写真=中央)や、Q Menuで表示する項目を選択可能だ(写真=右)

 本体装備のインタフェース類に関しては種類、配置ともに不満はない。カードスロットはExpressCardスロット(ExpressCard 54/34対応)とSDメモリーカード(SDHC/MMC対応)スロットを1基ずつ装備。USB 2.0ポートは両側面に1基ずつ、 そして4ピンのIEEE1394aポートも備える。有線LANとDC入力端子、アナログRGB出力などケーブルを常時接続しておく種類の端子は背面にまとめられている。細かいところでは、飛行機内など暗い場所での作業時にキーボードを照らすLEDライト「HP Night Light」を液晶フレーム中央上部に内蔵し、ワンプッシュで利用が可能だ。音量調整のタッチセンサも直感的に扱える。

 Windowsのログオン認証などに使える指紋認証センサは、液晶ディスプレイの右側面にあり、ノートPCスタイルでもタブレットPCスタイルでも使える。また、PCの状態を示すランプもディスプレイを閉じても確認できるよう左パームレスト部分の端に並ぶ。本体左側面にランチャー(HP Info Center/Quicklook)の起動ボタン、液晶ディスプレイの背面には、ペン先で押せる画面回転ボタンとWindowsセキュリティボタン(Ctrl+Alt+Delに相当)を用意するなど、タブレットスタイルでの使い勝手にも十分配慮されている。

液晶ディスプレイは前面中央にあるスライド式のラッチでロックされているが、スイッチが堅く片手で開けるのには慣れが必要だ(写真=左)。電源スイッチもスライド式で前面にあるのは、タブレットPCスタイルで操作することを考慮してのことだろう。ケーブルを常時接続する必要がある有線LANやFAXモデム、アナログRGB出力、DC入力などは背面にまとまっている(写真=右)

左側面にあるUSB 2.0ポートにはオプションの外付けマルチベイを使うための電源供給端子が用意されている。ExpressCardスロットのほか、無線LANの電源スイッチ、ランチャー起動スイッチなども備える(写真=左)。指紋認証センサは液晶ディスプレイのフレーム側にある。目立たない位置だが、タブレットPCでもスタイルでもノートPCスタイルでも使いやすい

ベンチマークの結果は“平均的”だが低発熱は魅力

Windowsエクスペリエンスインデックスの画面

 ベンチマークテストの結果は下にまとめたが、よくも悪くもスペック通りの結果を示している。全体として性能よりも省電力、バッテリー駆動時間を優先した構成となっており、Vista搭載PCとして見ると少々性能的に物足りない面は残る。その半面、熱や騒音の不安は少ない。ベンチマークテスト中でもファンの音が気になることはなく、数時間使用し続けていると底面左側を中心に熱をもってくるが、タブレットPCスタイルで持つのがつらくなるようなほどではなかった。

 同社の直販サイト「HP Direct Plus」での本機の価格は26万2500円だ。通常のノートPCとして考えると安いとはいえず、タブレットPCスタイルでも使えるということにどれだけ価値が見いだせるかがポイントとなるだろう。同社が長年取り組んできたジャンルの製品だけに、ノートPC/タブレットPCのコンバーチブル製品としての完成度は高く、この手の製品を探しているユーザーにとっては有力な選択肢の1つになるだろう。

左からPCMark05、3DMark06(1280×800ドット/1024×768ドット)、FFXI Bench 3のテスト結果

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