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» 2008年07月09日 11時59分 公開

低価格ミニノート第2波:見た目はフツー、だがそれがいい――MSI「Wind Notebook U100」を検証する (2/2)

[坪山博貴,ITmedia]
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新世代ミニノートのパフォーマンスをチェック

起動時間などの手動計測結果。なお、OS起動、休止からのレジュームに関してはBIOS表示時間を含んでいない。OS起動はタスクバーアイコンが出そろい、砂時計マークが消えるまで

 それではパフォーマンスはどうだろうか。実際に試用した印象では、OSの起動やWebブラウズでストレスを感じることはなく、非常に軽快だった。少なくともCPUパワーが足りないという印象は受けない。OSがWindows XPなので標準の1Gバイトメモリでも必要十分といったあたりもプラスに働いているのだろう。ほぼ出荷状態でのOS起動や休止の時間などを掲載したので参考にしてほしい。

 定番ベンチマークのPCMark05も実行してみたが、一般的なノートPCとして見た場合は、特に秀でた結果ではない。メモリスコアは2375と、VIAプラットフォームの製品と比較すると確かに優秀だが、CPUは1414でそれほど処理能力が高いわけではない。グラフィックスのスコアは、本機のディスプレイドライバが1024×768ドットのフルスクリーン表示をサポートしないという都合上、結果を出すことができなかった。FFベンチを見る限りでも、Highで1013、Lowで1412というスコアとなっており、3D描画性能に関して期待はできないだろう。

バッテリー駆動時間をチェック

 それでは、バッテリー動作時間はどうだろうか。現時点では標準バッテリーしか用意されておらず、これは3セルと決して容量は大きくない(大容量バッテリーは提供予定)。モバイル利用ではちょっと心もとない印象だ。そこで内蔵無線LANおよびUSB接続の3G通信モジュールであるイー・モバイル「D02HW」を利用してのインターネット接続と、内蔵HDDから動画再生を行いながらのバッテリー駆動時間をチェックしてみた。

 基本は電源設定を「ポータブル/ラップトップ」、画面輝度を50%に設定し(これでも十分明るい)、ショートカットキー操作(Fn+F10)で切り替えが可能な「Turbo Battery」と呼ぶ、バッテリー駆動時間の延長動作モードも利用している。

 計測したのはバッテリー残量が満充電から5%になるまでの時間だ。インターネット利用は、タブブラウザの「Donut P」を利用して、5つのサイトを30秒間隔で自動リロードしている。一方、動画再生では640×480ドット/30fpsのWMVファイルを連続再生させた。

 ちなみに「Turbo Battery」をオンにすると画面輝度が3段階低くなり、電源設定が「バッテリーの最大利用」に切り替わる。「バッテリーの最大利用」に設定されるとCPUの動作クロックが800MHzに固定されるが、この動作クロックでもWebブラウズに支障はなく、WMV動画の再生もコマ落ちがないことも確認している。

バッテリーベンチマークテストの結果

 結果はグラフのようになり「Turbo Battery」をオンにしなくても、内蔵無線LANでのインターネット利用と、動画再生はおおむね2時間はバッテリー駆動が可能だった。また「Turbo Battery」をオンにすると2時間20分程度まで駆動時間が延長される。

 一方、D02HWでインターネットを利用すると、約1時間半と大幅にバッテリー駆動時間が短くなってしまったが、これは使用するUSBモデムにも大きく影響されるので、参考程度にとどめてほしい。ただ、内蔵無線LANの消費電力がかなり低いとは言えるかもしれない。

 バッテリー駆動時間は、カタログスペックに対してという意味では、かなり優秀と感じる。もちろんモバイル利用と言う視点で見れば厳しいとも言えるが、倍の容量(6セル)を持つ大容量バッテリーが提供されれば、ヘビーなモバイルユースにも耐えることができそうだ。

ハイビジョン動画もいける? 優秀な動画再生能力

 最後に、おそらく気にしている人も多いであろう、動画再生能力について調べてみた。ここでは利用の実態を考慮してバッテリー動作での検証とし、「Turbo Battery」は基本的にはオフにしている(オンの状態は個別に触れる)。

 筆者が他機種のレビューでも使用してきた、ビットレート1.5Mbps前後のDivx、WMVファイルを使ってみたが、まったく問題はなく再生され、CPU使用率にも余裕があった。「Turbo Battry」オンのCPU 800MHz固定動作時でも問題ない。なかなか優秀だ。

 さらに意外だったのは、限定的ながらハイビジョン動画の再生にも耐えられたこと。サンプルとして利用したのは、筆者がTMPGEnc Xpress 4.0を利用して作成した1280×720ドット/30fps、平均2.5Mbps程度のビットレートになるWMVとH.264コーデック(プロファイルは4.1)の動画ファイルだ。平均ビットレート2.5Mbpsとはいえ、可変ビットレートなのでH.264のほうはビットレートのピークは10Mbpsを超えている。なお、再生にはWindows Media Playerを使い、H.264の再生のためにCoreAVCコーデックとMP4スプリッターをインストールしている。

 WMVに関してはまったく余裕であり、H.264も十分実用に耐えるフレームレートだった。H.264では動きの激しいシーンや画面全体がパンするようなシーンではCPU使用率が100%に達する場合もあるが、大きく音ズレが発生することもなく実用レベルで再生できる。

 さすがに「Turbo Battery」をオンにすると派手にコマ落ちが発生して実用レベルにならないが、条件付きとはいえディスプレイ解像度を超えるような動画、特にH.264コーデックで実用的に再生できたのは意外だった。ちなみに、ストリーミングに関しては、Gyao、Yahoo動画などもまったく問題なく、「Turbo Battery」オンでも余裕で再生できる。YouTubeも問題なしだ。

 さて、ニコニコ動画に関しては、いわゆる超高画質に分類されるコンテンツも実用レベルで再生できた。画面を横に流れるコメントの量しだいではコマ落ちがはっきり分かる場合もあったが、そうでない限り問題なる場面は少ないだろう。ただし「Turbo Battery」をオンにすると実用に耐えないレベルになるので、CPU処理能力としては結構タイトなのも事実。それでもCeleron MVIA C7の採用が多い競合製品ではニコニコ動画の視聴は難しかったわけで、この点だけでも本機に魅力を感じる人は多そうだ。

左が公式コンテンツである「ぺんぎん娘」第1話再生時、右が超高画質と呼ばれるコンテンツ再生時のCPU使用率で、どちらも結構高めで推移している。ハイビジョンのWMV、H.264よりもCPU使用率が高めな点は、改めてニコニコ動画のハードルの高さを思い知らされる

「普通」がすばらしい低価格ミニノート

 本機は比較的良好な動画再生能力もさることながら、やはり魅力は「普通」の小型ノートPCであることだろう。ディスプレイ解像度が気になる人も多いと思うが、モバイル中心なら割り切れるし、きちんと外部出力もできる。キーボードもレイアウトに不自然さがなく慣れで対応できるレベルだ。SSDを採用したモデルがないという点を残念に感じる人がいるかもしれないが、その代わりに購入して追加コストをかけずに普通にノートPCとして利用できる。

 もちろん、本機のパフォーマンスはAtomに依存する部分も多いだろう。これから続々登場するAtom搭載のノートPCは同程度のパフォーマンスを持つと思うので、本機だけが突出したパフォーマンスを持つ存在であり続けることはない。だからこそ普通であることがポイントかもしれない。コンパクトで軽量で、実用的なノートPCが欲しい、そんな人であれば、今後登場するであろうAtom採用のノートPCを待たずに本機を購入しても、決して後悔しないのではと思える。

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