「1年後。数光年先」――WWDC 2009開幕直前リポート:新iPhone、新型Macは出るのか?(2/2 ページ)

» 2009年06月08日 16時43分 公開
[林信行,ITmedia]
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新型iPhoneに先駆けてライバル製品が先行発売

Sprint

 新型iPhoneの発表の可能性に包まれるサンフランシスコ。Moscone Center周辺の携帯電話キャリア直営店は、どんな様子なのかを覗いてみた。どこも比較的、落ち着いた様子だったが、その中で1番熱気があったのが現地時間の土曜日に発売されたばかりのPalm Preを扱うSprintのショップで、「iPhone初の本格的ライバル」と呼ばれる同端末に大勢の人が群がっていた。

 Palm Preは、日本ではPDAの会社というイメージが強いPalmに、元スティーブ・ジョブズの右腕、ジョン・ルービンスタイン氏がやってきて誕生した新スマートフォンだ。

 Web時代を前提にしたすべての機能がWebベースで動作するOS、webOSを採用しているが、同製品のWebブラウザは、iPhoneやAndroid、そしてNokiaの一部の端末と同じWebKitという技術がベースになっている。

 iPhoneに迫る直感的操作は、アップルに告訴をほのめかされたこともあるほどのよいできだが、残念ながら日本では発売の話が浮かんでこない。アーチを描いてスライドするキーボード内蔵型端末で、iPhoneよりも一回り小さく、石ころを手に握ったような感触が心地よい。

 ちなみに、同製品は端末だけでなく、ドックも非常によく工夫されている。斜めにカットされただけのシンプルな台なのだが、底面にはイモリの足底に近い材質を使うことで、ホコリがついてもしっかりと机に張り付いて固定できる。また斜めにカットされた上面部分には磁石が埋め込まれており、Palm Preを置くだけで、かなりしっかり固定してくれる。この状態で非接触充電が可能だが、その先もすごい。この状態で電話がかかってきたら、ドックにくっついていたPalm Preを手でピックアップするだけで自動的に電話に応答でき、通話中のPalm Preをドックに置くと、自動的にスピーカーフォンモードに切り替わるといった具合に、人間の自然な操作に直感的に反応してくれるように考え抜かれている。

Palm Preを販売している(写真=左)。“iPhone初の本格的ライバル”と言われる「Palm Pre」(写真=中央)。斜めにカットされたPalm Preの台座(写真=右)

 Palm Pre以外の端末というと、やはり人気の筆頭はiPhoneで、同製品を発売するAT&Tのショップはやや人が多めだったが、同じ時間、GoogleのAndroid端末G1を発売するT-mobileのショップは人影がまばら、そのすぐ近くにあるVerizon Wirelessのショップも人が少なかった。ちなみに、こちらではiPhone、Android、Palm Pre以外でも、キャリアの直営ショップでは、NokiaやLG電子、Samsungなどの端末のポスターが掲げられていた。

T-mobile(写真=左)とAT&T(写真=右)のショップ

買い方にも革新!?

ATMにもiPhone連携の宣伝が

 サンフランシスコの市街地を歩いていると、不景気の影響を日本以上に強く感じる。少し前までCDショップとして人気があったVirgin Megastoreがなくなり、米国を代表するパソコン販売チェーンだったはずのCompUSAも姿を消している。

 そんな中でも、大勢の人を集めて賑わっていたのがApple Store San Franciscoだ。実はここでも、店外ディスプレイの目玉はiPhoneアプリケーション。店内に展示されたiPhoneには、ホーム画面ぎりぎりいっぱいまで厳選されたアプリケーションが並べられている。

 その中には、Pocket GuitarやiKoto、塊魂など日本製のものも数多くあったが、おもしろかったのが老若男女、すべての年代層や性別にアピールするアプリケーションを厳選していたことだ。大人がiPhoneの使い勝手を真剣に調べているすぐ横で、小学生ほどの女の子が、iPhone用の着せ替えアプリケーションを、必死になってやっている姿が強く印象に残った。

 なお、iPhoneにはまったく関係がないが、Apple Storeでもう1つ驚かされたのが、新しい清算システムだ。まずは米国のApple Storeでスタートするというウワサは聞いていたが、自分で体験したのは初めてだった。

 これはどういうものか状況を説明すると、筆者ははじめ購入予定の商品を持って、レジの列に並んでいた。すると、近くをフラフラ歩いていた店員が近寄ってきて「支払いはクレジットカードか」と聞いてきた。「そうだ」と答えると、店員が「それなら私が支払い処理をするのでこっちへ来てください、と近くのテーブルへ誘導された。

メールで届いた領収書

 店員は専用端末を使って会計をすると合計金額を告げた。ここで私がクレジットカードを差し出すと、端末でカードをスキャンした。しばらくして店員が言う。「これはあなたのメールアドレスですか?」どうやら過去にアップルのオンライン販売ストアで購入した情報を元に、メールアドレスを引き出してきたらしい。

 端末には私のメールアドレスが表示されていたので「そうです」と答えると、店員は「領収書を印刷する代わりにメールしましょうか?」と聞いてきた。そこでまた「はい」と答えると、店員は「たった今、領収書をメール送信しました。袋はいりますか?」と聞いてきた。そこで「いりません」と言うと、「それじゃあ、はい」といって、商品をそのまま渡されたのだ。クレジットカードをスキャンしただけで、レシートもなしで、そのまま買った商品をカバンの中に詰め込む。最初は、正直、ちょっと抵抗もあったが、店を出た瞬間、あれはすごい革命だと思った。店内の業務効率改善の観点からも、そしてエコの観点からも、このやり方は革命的かもしれないと思った。

 ハードのデザインやユーザーインタフェースと行った表層的な部分だけで語られることの多いアップルだが、実はこうしたモノの売り方1つにしても、当たり前を当たり前として受け入れず、改善を図っているのだ。

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