iTunes LPは楽曲向けの機能だが、iTunes Storeのほかのコンテンツも充実が図られている。例えば映画「Wall-E」では、登場キャラクターのクリップ集ほか、これまでになかったビジュアルでのチャプター選択画面などが増えている。DVDやBDでしか楽しめなかったコレクション要素がオンライン販売でも加わったといえるだろう事前リポートでも書いたように、今回のスペシャルイベントではAppleが複数の大手レコード会社と共同でアルバムをコレクションする楽しみを増やす新サービス「Cocktail」を提供することが予想されていた。ジョブズ氏によれば、これは「iTunes LP」の名称でサービスメニューの1つとして実装されることになったようだ。
iTunes LPに対応したアルバムでは、画面右上に「LP」のマークが表示されている。これらアルバムでは単純に楽曲が複数聴けるだけではなく、フォトギャラリーやビデオクリップ、ライナーノーツなど、アルバムを購入するとついてくる“オマケ”のようなコレクションアイテムが多数用意されている。オンライン販売ではアルバム全体よりも特定の楽曲1つのみをつまみ食いして購入する傾向が強いと言われるが、アルバムをコレクションする楽しみを改めて提案するのがLPの狙いだ。ネーミングの由来は不明だが、かつてのLPレコード時代を懐かしむところから着想を得たのかもしれない。

今回目玉となる新機能が「iTunes LP」だ。「Cocktail」の開発コード名でも知られていたこの機能、iTunesを使って対応するコンテンツをのぞいてみると、右上に「LP」のマークが出ていることが分かる

Grateful Deadのアルバム「American Beauty」を開いてみると、フォトギャラリー、ビデオクリップ、ライナーノーツなどのメニュー項目が出現する。アルバム年代記などのコンテンツも用意されており、純粋に楽曲を聴く以外の楽しみが用意されているiTunes Storeの登場で一躍メジャーな存在となったオンライン販売だが、利用者は個々の作品を単純に1つのアイテムと見なすようになり、その関連性や背景まで気を配ることが少なくなったのかもしれない。またダウンロード販売でコレクション意欲は満たされないという意見も散見される。今回のiTunes LPは、ダウンロード販売で世界一の事業者となったアップルの反省と、原点回帰という意味が込められている可能性がある。
デモストレーションでは楽曲アルバム以外に、映画コンテンツでオマケのキャラクタークリップ集やオリジナルのチャプター選択画面などが追加されている様子が紹介されており、「ダウンロード販売でもコレクション意欲を満たす」という目標がiTunes 9からはかいま見られた。

リニューアルされたiTunes Storeでは、最新アルバムリストやヒットチャートの画面から直接視聴や購入が行えるボタンが用意されている。またiTunes 9ではSNS機能が用意されており、FacebookやTwitterに楽曲の詳細情報を貼り付けて友人と共有することができる
Appleイベント現地リポート:さっそく新型「iPod nano」に触ってみた
お帰り!:ジョブズCEOによる「One more thing...」――目玉はiPod nano!
ビデオ撮影可能な新iPod nano、登場
iPod shuffleはカラバリ充実、AppleStore限定モデルも用意
iPod touchが高速化、価格改定も実施
iPod classicは160Gバイトの“超容量”へ
アップルは低価格音楽プレーヤーでもイノベーションを生み続ける
9月にAppleがイベント タブレットではなく新iPodを発表?
元には戻れない快適さ:Snow Leopardが切り開く、Macの新時代
Snow Leopardのここに注目:これは便利! 「Snow Leopard」を実際に使って感じた新機能“トップ20”
注目の機能を動画でチェック:Snow Leopardを通して考える「これからのOS」(後編)
発売直前!:Snow Leopardを通して考える「これからのOS」(前編)
Macを未来へと前進させる低価格化戦略Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.