10月31日のメインステージで最も注目を集めたのが、AMDのセッションだ。“兄貴”こと日本AMDの土居憲太郎氏が壇上に立ち、同社のCPUとGPUにおける2011年までのロードマップや強みを解説した。
セッションは、Windows 7で活躍するAMDのテクノロジーのおさらいから始まった。土居氏は「CPUは4年前から64ビットOSとバーチャル環境に対応しているので、Athlon以上ならWindows 7の機能がフルに使えます。また、GPUはUVDやUVD2が動画再生支援やリモートメディアシェアリングで役立つうえ、最新のRADEON HD 5000シリーズならDirectX 11も利用できると万全です」とアピールした。
その延長で、同社テクノロジーを採用した最新マシンも紹介。とくに観衆の注目を集めたのは、工人舎から発売予定のデュアルディスプレイを搭載したモバイルノート「Dual Display PC」だ。開発中で世界に2台しかないうちの1台を、今回のために持ってきたという。


Socket 939時代のマシンとSocket AM3の2台による「新旧対決」ベンチの結果も披露した。性能は時代により順調に伸びているが、消費電力はハイエンド構成でもピーク時で235ワットに抑えられていた。これについて土居氏は「Phenom IIとRADEON HD 5800シリーズの組み合わせでも、場合によっては500ワット電源で十分に使えるほどです」と解説した

DirextX 11の効果もデモを交えて解説。DirextX 11対応の3D環境では、テッセレーターを活用することでより精巧な表現が無理なくできるようになるという。DircetX 11の効果は階段の段差の表現などではっきりと分かる。右図がDirectX 11を有効にした状態だAMDはセッションのほかに、地下一階に専用ブースを使って、マルチモニター技術「ATI Eyefinity」を生かしたフルHDパネル6画面のゲーム体験デモを実施していた。そのマシンは発売時期未定の「Radeon HD 5870 Eyefinity Edition」カード1枚で動作している。
セッションでも、ATI Eyefinityについて言及。現在は6画面対応の「Eyefinity 6」モデルは登場していないが、RADEON HD 5800シリーズは最大3画面が使える機能を搭載している。ただし、3画面を構築するには「最低1台のモニターはDisplay Portで接続する必要があります。あとはアナログVGAやHDMIを組み合わせても大丈夫です」という。
続いて、デモ機で実現している合計7680×3200ドット画面のすごさをアピールしていった。「SILKYPIX Developer Studio Proで写真をサムネイル表示したところ、1220枚も一度に表示できました。また、『Excelインベーダー』をフル画面でプレイすると、インベーダーはなんと8万6156匹になりました。これは攻略できませんね」と画面を見せながら語ると、会場からは笑いが漏れた。Excelインベーダーは、Excelのマクロを使ったゲームで、画面が広くなっても自陣の奥行きが変わらず、上から攻めてくるインベーダーだけが増えていく特性がある。


ATI Eyefinityの構築例を紹介。画面の組み合わせは自在だが、接続端子のうち1基はDisplay Portを使う必要がある(写真=左)。7680×3200ドットの巨大画面を使い、SILKYPIX Developer Studio Proで写真のサムネイルを表示(写真=中央)。Excel インベーダーの表示結果を紹介。セッション後にブースの6画面で実演した(写真=右)※記事初出時、巨大ディスプレイの解像度を7860×3200と記載しておりましたが、正しくは7680×3200です。おわびして訂正いたします。
そして、最後は恒例のCPUロードマップの解説で締めた。デスクトップCPUでは、2010年中に6コアを搭載したコードネーム「Thuban」が登場する予定という。その後、2011年に製造プロセスが45ナノメートルから32ナノメートルに移行し、4コア以上を搭載するコードネーム「Zambezi」が登場する流れだ。そのほか、GPUも内蔵する「Llano」や「Ontario」も計画されている。土居氏は「少なくともThubanはSocket AM3で使える予定です。現在のリソースはかなり先まで使えると思いますので、安心して買っていただければと思います」と語った。
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