Gulftown搭載マシン「MDV-ADG9120X」で“6コア”の威力を体感せよ12スレッドでぶん回せ(2/2 ページ)

» 2010年03月31日 17時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
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GeForce GTX 285を搭載、3-Way SLIやCrossFire Xにも対応

評価機には「ZOTAC GeForce GTX 285」が搭載されていた

 MDV-ADG9120Xに標準搭載されるグラフィックスカードは、1Gバイトのグラフィックスメモリを積んだNVIDIAのGeForce GTX 285だ(試用したマシンには「ZOTAC GeForce GTX 285」が装着されていた)。DirectX 11に対応する新世代アーキテクチャ“Fermi”を採用するGeForceシリーズが登場したため、GeForce GTX 285は世代的に古くなってしまった感はあるものの、現状の3Dゲームをプレイするのであればまったく問題はなく、十分以上の性能を持っている。

 ただ、このグラフィックスカードが例によって2スロットを占有する大柄で重いカードのため、ネジ2本でブラケットに固定するのは少々心許ない。このためMDV-ADG9120Xのケース内部には、側面からグラフィックスカードをがっちりと支える「VGAサポートバー」が用意されている。また、このマザーボードにはPCI Express x16スロットが3基あるので、NVIDIA製GPUなら3-Way SLI、ATIならCrossFire Xをサポートする。例えばハイエンドGPUを搭載した大柄なグラフィックスカードを3枚装着するような場合、前述のVGAサポートバーが大いに役立つはずだ。

 以上、MDV-ADG9120Xを紹介してきたが、登場直後のCore i7-980Xを搭載するだけあって、価格は25万9980円からとそれなりにする。ただし、これから単体販売されるCore i7-980Xは10〜11万円前後になる見込みで、この価格で換算するとCPUの価格が本体価格の約4割を占める計算になる。CPU以外の構成で残りの6割と考えてみると無難な価格設定だろう。それでは、この高価なCPUがどの程度の性能を持つのか、定番のベンチマークテストで検証していこう。

ベンチマークで6コア12スレッドのパワーの片りんを見た

Windows 7エクスペリエンスインデックスの画面。HDDをのぞく項目で7を超える良好な結果だ。BTOでSSDを選択すると価格は高くなってしまうが、さらに性能を求めるのであれば検討したい

 前述したように、今回試用したMDV-ADG9120Xは、CPUがCore i7-980X、メインメモリが12Gバイト、HDDが1Tバイト、グラフィックスにNVIDIA GeForce GTX 285を搭載し、OSに64ビット版Windows 7 Professionalを採用した構成だ。計測したベンチマークソフトは、PCMark05、PCMark Vantage(x64)、3DMark 06、3DMark Vantage、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、LOST PLANET体験版&ベンチマークDirectX 10版(64ビット)、THE LAST REMNANT体験版&ベンチマーク、CINEBENCH RELEASE10(64bit)だ。標準では1280×1024ドット(32ビット)で計測しているが、このうち3Dゲーム系のベンチマーク(LOST PLANET体験版&ベンチマークDirectX 10版、THE LAST REMNAN体験版&ベンチマーク)では1600×1200ドット(32ビット)でも計測した。なお、今回評価したのは試作機だったため、Turbo Boost動作によるクロック上昇が最大値まで働かず、ベンチマークのスコアが若干低くなってしまっている可能性があることをお断りしておく。

 まずはWindows7のエクスペリエンスインデックスを見てみよう。各スコアはCPUのスコアが7.8、グラフィックススコアはデスクトップと3Dゲームともに7.4、メモリが7.8でHDDの数値が5.8となっており、HDDが全体の足を引っ張る結果になった。総じてハイエンドモデルらしい良好な結果だが、さらに性能を求めるのであればBTOでSSDを選択するのも手だ。

 一方、各種ベンチマークテストの結果を見ると、6コア12スレッドの性能をすべて引き出しているとは言えず、Core i7-975搭載マシンと比べもそれほど大きな差が感じられない数値となった。これは6コア12スレッドをフル活用できる環境がまだ少ないのが原因だろう。しかし、マルチコアに対応したテスト項目が用意されているCINEBENCH RELEASE10(64bit)とCINEBENCH RELEASE11.5(64bit)では、6コア12スレッドによる処理速度を体感することができた。いずれも画面が12分割されてあっという間に処理が完了する様子は圧巻の一言に尽きる。実際、CINEBENCH RELEASE10では、1スレッドでの処理に対し5.43倍速く、CINEBENCH RELEASE11.5では1スレッド処理に対して6.93倍速い結果となっている。6コア12スレッドに対応する3Dゲーム向けパッチやアプリケーションが今後登場してくれば、その性能を余すことなく享受できるようになるはずだ。

CINEBENCH RELEASE10でのマルチスレッド実行画面。画面が12スレッドに分割されてあっという間に完成する。1スレッドでの処理時間と比べて体感できるほどの違いだ(画面=左)。CINEBENCH RELEASE11.5も試してみた。マルチスレッド処理では、CINEBENCH RELEASE10同様、複数に分割されて短時間で描画が完了する。1スレッドでの実行に対して6.93倍の速度となり、圧倒的なマルチコアの性能を実感できる(画面=中央)。12スレッドを同時に実行させたときのWindowsタスクマネージャーのパフォーマンスタブ。12分割されたスレッドを100%フルに使って処理しているのが分かる(画面=右)

PCMark05(画面=左)/PCMarkVantage(画面=右)

3DMark06(画面=左)/3DMarkVantage(画面=中央)/CINEBENCH R10(画面=右)

FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3(画面=左)/LOST PLANET体験版&ベンチマーク(画面=中央)/THE LAST REMNANT体験版&ベンチマーク(画面=右)

いますぐCore i7-980Xを入手したい人におススメ

 RAW現像などの画像処理やHD解像度の動画編集&エンコード、3Dグラフィックス関連のマルチコア対応ソフトウェアを利用している人なら、6コア12スレッドの恩恵は大きい。現状ではCore i7-980Xの持つ性能を100%引き出す環境が整っているとは言えないが、コンシューマー向けCPUの最高峰であることは間違いなく、少しでも作業時間を短縮したいと考えるなら検討すべき選択肢といえる。自作PC向けに供給されるCore i7-980Xの単品販売は4月中旬以降とも言われており、当分は品薄状態が続きそうだ。今すぐに6コア12スレッドの圧倒的な性能を手に入れたいと望むなら、ホワイトボックス系のデスクトップPCしか選択肢はない。その意味でもマウスコンピューターの「MDV-ADG9120X」は魅力的な1台だ。

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