林信行がおすすめする「iPad」プレゼン術iPadが変える未来(3/3 ページ)

» 2010年05月26日 04時00分 公開
[林信行,ITmedia]
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他社製SIMを受け付けない工夫

Wi-Fi版とWi-Fi+3G版の違いは背面を見れば分かる。アンテナ部が黒いプラスチックになっているほうがWi-Fi+3G版

 さて、ここまでは米国版iPadの試用感も含めた2カ月弱の体験記だ。ここからは1週間ほど使ってみた日本市場向け3G版のiPadの試用感と、同製品で驚かされたことを紹介しよう。

 まずは国内向けに投入される3G版iPadの試用感だが、やはりどこにいてもインターネットにつながるという安心感は非常に大きい。筆者はFOMAの通信カードをWi-Fi化するCoviaの無線LANルーターやWimaxの無線LANルーターも持ってはいるが、携帯型無線LANルーターのバッテリー残量を気にしながら通信するのは、それほど快適には思えない。

 ただ、動画の入ったアプリなどは、3G通信では再生が始まるまでの遅延にいらつくことがあった。ソフトバンクの電波の問題かと思って、NTTドコモのFOMAとCoviaのCMR-250を使い、無線LAN経由でも試してみたが、待たされることに変わりはない(具体的には動画再生用アプリではなく、米国のTIME誌やゴルフ教習アプリのGolfplanなど)。iPadには無線LANでの接続を前提に作られたアプリが少なからずあることを、あらかじめ覚えておいたほうがいいだろう。

 さて、最後に日本向けの3G版iPadで1つ驚いたことがあるので、それを紹介する。

日本向けのWi-Fi+3G版はSIMロックがかかっている

 iPadはご存じのように、日本ではSIMロックの状態でソフトバンクのみから限定販売される。同様にXperiaもNTTドコモから限定発売されるのだし、これはこれでビジネスとして、これまで通り普通のことだと思う(海外ではSIMロックフリーで販売されているiPadを、あのスティーブ・ジョブズCEOを説得し、日本市場だけ特別にSIMロックをかけさせた孫正義氏の交渉能力の高さには脱帽するばかりだが)。

 このSIMロックのおかげで、日本で発売されるiPadは、通信方式の違うKDDIはもちろんだが、NTTドコモのmicro SIMでも、利用ができないことになっている。しかし、NTTドコモに執着するファンの中には、「どうしてもドコモでないとイヤだ」と、インターネットで声をあげている人も多い。そうした人の中には、海外からSIMロックフリーのiPad 3Gを輸入して、NTTドコモのSIMで差し替えようとしている人もいるかもしれない。だが、アップルは、(少なくとも当面は)それができない仕組みを用意していた。

 日本国内でiPad 3Gを使いたいならソフトバンクから買うしかない。そのカラクリはこうだ。

 国内で通信用の電波を発する機械には技適マークの表示が必要だ。最近、総務省が法律を改正したおかげで、この技適マークの表示は、本体に印刷されなくても、画面上にソフトウェア的に表示されれば問題なくなった。こうした一連の流れがあったため、多くの人々がiPadの日本発売にあわせて、iPadのOSがアップデートされ、ソフトウェア的に技適マークが表示されることを期待していた。そうなれば、アメリカのiPadも、日本で合法的に使えるようになる。

 しかし、国内販売開始時点のiPadはそうはならないようだ。日本版のiPad 3Gには、本体背面に技適マークがきちんと印刷されており、その代わり本体側の認証画面には、技適マークが表示されない。技適マークは本体に印刷されたマークだけ――つまり、日本でiPadを合法的に使うには、ソフトバンクから日本製のiPad 3Gを買うしか手立てがないというわけだ。

一時、技適マークはソフトウェア的に表示されるはずだと話題になっていたが、その裏をかくように日本版iPadには本体に技適マークが刻印され、ソフトウェアでの記載がない。つまり現時点で合法的に3Gモデルを国内利用するためには、ソフトバンク以外の選択肢がないということになる

 もちろん、今後のiPad OSのアップデートで技適マークをソフトウェア的に表示する可能性はあるが、もし仮にOSアップデート後もこの形式を維持するのであれば、アップルとソフトバンクのどちらの思惑にしても、その戦略には驚かされずにはいられない。

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