安売りの向こう側へ――適正価格を望む「売る側」の戦い古田雄介のアキバPickUp!(1/4 ページ)

» 2010年07月26日 11時23分 公開
[古田雄介&ITmedia アキバ取材班,ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

「値崩れって売る側にしたら怖いもんなんですよ」――PCパーツの新たな売り方

日立GSTの1Tバイトモデル「0S02601」

 先週、日立GSTからリテールパッケージの3.5インチHDD「DESKSTAR」シリーズが発売された。2Tバイトと1Tバイト、500Gバイトの3種類で、価格はそれぞれ1万1000円弱から1万3000円弱、6000円弱から7000円強、4000円弱から5000円強となる。すべて回転数は7200rpmで、2Tバイトと1Tバイトモデルは32Mバイトのバッファを備える。500Gバイトモデルは16Mバイトバッファで、在庫は潤沢だ。

 ツートップ秋葉原本店は「今後、2.5インチタイプのリテールパッケージ版も登場するようです。同じ仕様のバルク品と入れ替えていく考えのようで、同社の売れ筋のラインアップは徐々にリテールパッケージのみになっていくでしょうね」と語る。

 ただし、今回出回ったリテール品は、型番も新調されており、中身のHDDの詳細な型番は封を開けないと判別できない。これについては「プラッタの変更など、細かい仕様変更の影響を市場価格に与えないためでは」(某ショップ)という意見を多く聞いた。

 さらに、「今回の日立GSTの動きはHDDの値崩れを防ぐための対応策だと思います。今までは、海外からの並行輸入版が国内の代理店を通したものより安く店頭に並んで、価格をどんどん下げていくという現象が普通に起きていました。国内の自作市場向けに型番と外観の異なるリテール品を投入することで、そうした値崩れの動きに歯止めをかける狙いがあるとみますね」(別のショップ店員)という声もある。実際、リテール品はメーカー保証期間が3年あり、並行輸入版に対するアドバンテージともなっている。

 こうした値崩れへの対抗策とみられる動きは、グラフィックスカードでも起きている。PCパーツ代理店のアクスが、XFX製のRadeon系カード6モデルを対象に「夏休み延長Warrantyキャンペーン」をフェイス秋葉原本店とツートップ秋葉原本店で開始した。7月24日から8月末までの間、対応モデルを購入して1カ月以内であれば、故障でなくても返品と返金を受け付けるという。対象製品は「HD-585X-ZABA」と「HD-577X-ZNFC」、「HD-567X-YNF3」、「HD-545X-ZAF2」、「HD-545X-YNH2」、「HD-435X-YNH2」だ。

 ツートップ秋葉原本店は「市場実験の意味合いをこめたキャンペーンですね。お客さんは『気に入らなかったらお金が戻ってくる』という安心感込みで購入できるわけです。そういう独自の付加価値をつけることで、無茶な値下がりの流れに合わせなくても済むようになるかもしれません。ただ、実際の返品率などをリサーチしないと実効性が見えてこないので、今回のキャンペーンに協力させていただきました」と語る。

 故障以外の返品と返金に対応するのは、2008年2月にサイズの巨大CPUクーラー「OROCHI」が登場し、干渉の問題が多発することを懸念してTSUKUMO eX.が採用した例があるが、汎用性の高いグラフィックスカードでの実践は初めて。フェイス秋葉原本店は「タイミング的にFF14ベンチやβテストの結果などが大きく反映されるでしょう。ただ、どうなるかはフタを開けないと分かりません」と少し不安げに話していた。

日立GSTのリテールパッケージシリーズ(写真=左)。返品返金キャンペーン対象のXFX「HD-567X-YNF3」(写真=中央)。過去に返品と返金キャンペーンの対象となったことがある、サイズの「OROCHI」(写真=右)

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月16日 更新
  1. 「JBL Tune 310C USB」レビュー USB Type-C接続×ハイレゾ対応でAndroidスマホやiPhone 15シリーズにもお勧め! (2024年04月15日)
  2. Amazonのタイムセールが「スマイル SALE」に変更 4月19日からゴールデンウィークセール開催 (2024年04月13日)
  3. Synology「BeeStation」はNASより便利な一面も 家族の“秘密”も守れるストレージ、共有リンクや写真管理もある (2024年04月16日)
  4. アキバでは散りはじめた桜 それでも桜デザインが注目を集める理由 (2024年04月15日)
  5. Googleが生成AI向け独自CPU「Google Axion」プロセッサを発表/Intel N100を採用した超小型コンピューティングモジュール「LattePanda Mu」 (2024年04月14日)
  6. これを待ってた! ロープロ版GeForce RTX 4060搭載カードがASUSから登場! (2024年04月13日)
  7. 玄人志向、M.2 NVMe SSDを2枚装着可能なUSB外付けスタンド クローン作成も可能 (2024年04月15日)
  8. 「ASUS ZenScreen MB16QHG」は従来モデルの弱点を解消した高評価の16型モバイルディスプレイだ (2024年04月16日)
  9. 自宅の「スマートロック」にありがちな誤解 家から締め出されないために心掛けている実践的な5つのこと (2024年04月12日)
  10. 8コア16スレッドのRyzen 9 7940HS×Radeon 780M搭載! 片手で握れるミニデスクトップPC「GEEKOM A7」の“強さ”をチェック! (2024年04月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー