「libretto W100」誕生秘話――なぜ2画面タッチパネルのミニノートPCなのか?:完全分解&ロングインタビュー(6/6 ページ)

» 2010年10月12日 16時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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libretto W100で到達できた地点、これから目指す場所

―― libretto W100は本当に難産だったようですが、振り返られて、ご自身で高評価されている点と、今後の課題があれば聞かせてください。

三好 まずよかった点ですが、世間の反応を見て、スペックで妥協してはいけないと身に染みました。CPUはAtomにしなくて正解でしたね。逆に、バッテリー駆動時間と重量はもう少し何とかしたかったです。重量499グラム、つまり500のマジックナンバーをクリアしたかったので、これを次なる課題にしたいです。

 libretto W100だけではタッチパネルオンリーのPC市場を確立するに至りませんが、そのスタートは切れました。こうしたスタイルのPCに興味を持っていただけることは分かったので、今後はこの流れで新しいモノを出し続けたいですし、出し続けなければいけないと思いました。

高橋 僕は重量は許容範囲だと思っていますが、バッテリーライフはやはり延ばしたかったですね。放熱面でもやり尽くせなかった部分があり、正直にいうとここは悔いが残ります。もちろん、いいところも多くあります。2画面タッチパネルという新しいコンセプトのモデルを世に出せて、しかも「思った以上に使える」という反応を多くいただいているのは励みになりました。開発は苦労しましたが、新しいものを出せた、新しい扉を開いた達成感はありますね。

 次のステップとしては、libretto W100に連なるモデルの数を出して普及させたいです。そのためには価格を下げる、バッテリー駆動時間を強化する、といった現状での弱点を補強しなくてはいけません。そのために、トレードオフになる部分も出てくるかもしれませんが、多少大きくなっても普及版を作れるならば、取り組んでみたいです。

上條 販売サイドとしては、価格で10万円を切りたかったのが正直な思いですね。立場上、継続的にたくさん買っていただけるモデルにつなげていきたいです。もっとも、現在のPCラインアップは、東芝として自信を持っておすすめできます。libretto W100だけでなく、ほかのPCも含めてご期待いただければと思います。

―― 今後の展望を熱く語っていただきましたが、これからもlibrettoシリーズは存続すると期待していいですよね?

三好 今後もぜひlibrettoブランドとして新製品を出していきたいですね。librettoの名を冠するにふさわしいものを作れる限り、やりたいです。幸いなことに、それにストップをかけるような人は、社内にいません。

 最後に、わたしは世界一、Googleで「W100」と検索している人間だと自負しています。大げさではなく、検索結果として表示されるlibretto W100のご評価は本当にすべて読んでいますので、ぜひ購入した方のダイレクトな感想を聞かせてほしいです。本当に次の開発に生かしますので、生の声をぜひ発信してください。

libretto W100開発陣へのインタビューを終えて

 インタビューを終えて感じたのは、libretto W100開発陣の実直さだ。こうした開発インタビューでは、製品の強みをアピールする一方、弱点に対してはあまり明確な回答が得られないこともあるが(それぞれの事情もあるので、批判はしないが)、libretto W100の開発陣は製品の特徴や満足している部分はもちろん、現状での問題点や今後の課題についても包み隠さず語ってくれた。苦労に苦労を重ね、技術的に高い壁も乗り越えて作り上げた製品に対して、意外なほど冷静、そして謙虚なのだ。

 このような対応は「どこもやらないことをやってやった」というプライドの裏返しもあるのかもしれないが、東芝のノートPC事業が25年間続き、市場でのシェアを伸してきた背景には、開発陣の真摯(しんし)な姿勢があることを再認識した。

 確かにlibretto W100は粗削りの部分もあるが、各社のPCラインアップで保守的な製品が目立つ中、斬新で志の高い新機種を投入してきたことは素直にたたえたい。現状では新しいデジタルガジェットに目がないコアなPCユーザー向けの製品といえるが、これほど個性派のミニPCを国内大手PCメーカーが発売するのは珍しいので、単純に2画面タッチパネルのPCに興味を持ったなら、一度は店頭で触れてみるといいだろう。そして、その独特の操作性が楽しいと感じたなら、お気に入りの1台となるかもしれない。今後はミニPC愛好家からユーザーのすそ野を広げるような新機種も期待したいところだ。

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