先週末、HDDの最大容量を更新する3Tバイトモデル「WD Caviar Green WD30EZRS」が複数のショップに入荷した。価格は2万3000円前後から2万7000円の間で、在庫は比較的潤沢だ。750Gバイトプラッタを4枚内蔵したSATA接続の3.5インチHDDで、キャッシュは64Mバイト。回転数は5400rpmとなる。また、同シリーズの2.5Tバイトモデル「WD25EZRS」も2万円前後で出回りはじめている。HDDの最大容量更新は、2009年2月デビューの2TバイトHDD「WD20EADS」以来だ。
WD30EZRSは、11月6日〜7日開催の自作PCイベント「DIY PC Expo 2010 in Akihabara」で展示された際、ブースのスタッフから11月後半の投入と予想されていたが、それよりも若干早く入手可能な状況となった。各ショップでは早くも話題を集めており、売れ行きも悪くない様子。
ツートップ秋葉原本店は「まもなくの登場を見据えていた人もいて、初回分はすぐに売り切れそうな状況です。まあ、2TバイトHDDが8000円以下で買えるので、3倍程度する3TバイトHDDを狙う人は全体でみれば少ないですけど。やはり“2.19Tバイトの壁”に直面するモデルということで、開拓欲を持つ人もいるということでしょう」と話していた。
この「2.19Tバイトの壁」とは、データを記録する最小単位(セクタ)を512バイトとする従来のMBRディスクで起こる認識領域の限界値のこと。 Windows VistaとWindows 7ではあらたにGPT(GUIDパーティションテーブル)をサポートしており、4Kバイトに拡張したセクタを使うことで2.19Tバイト以上の容量が利用できるようになる。ただし、GPTディスクのドライブはLAN内のWindows XPマシンからはアクセスできないなどのデメリットもある。
加えて、Windows Vista/7環境でも、GPTに設定したHDDから起動するには、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)に対応したマザーボードが必要になる。現時点ではUEFI対応のマザーボードが少なく、ハードウェアの選定も課題だ。前述のツートップ秋葉原本店は「Windows 7マシンでボリューム用に使うならフォーマットの流れを覚えるだけで問題ないですが、起動用にするには未知の問題をクリアしていかないといけません」という点から、POPに「人柱(向きモデル)で!」と書き込まれていた。
※“2.19Tバイトの壁”にかんする記述で、一部訂正、補足しました。
逆にこの難易度の高さが、2TバイトHDDと比べて割高ながらも高い注目度につながっていると推測する声もあった。某ショップは「今後も各社から3TバイトHDDは登場するでしょうから、将来的には多くのユーザーが2.19Tバイトの壁に直面することになります。それを今のうちに解決しておけば、多くの人の役に立つことができる。つまり、人柱といっても、ニッチな小道ではなく、誰もが通る大通りの礎になる可能性が高いわけですよ。そりゃ、名誉欲やパイオニア欲に駆られるマニアが放っておくわけないですって」と話していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.